訪問看護とは?訪問診療との違いは何?料金は?保険適用になる?
- 作成:2016/02/10
訪問看護は、訪問診療と違って、医師が自宅に来るわけではありません。ただ、看護師や理学療法士などの職種の方が自宅を訪問して、生活に必要な指導などをしてくれいます。保険の適用範囲については、医療保険と介護保険で異なります。訪問介護でできることなどを、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
訪問看護とは何?訪問診療との違いは?
「訪問看護」とは、主治医の指示の元で看護師等の医療スタッフが、患者さんの生活する自宅などを訪問し、健康管理や療養上必要な生活の世話をしたり、診療の補助を行うことです。訪問看護という言葉から看護師だけが訪問の対象となるイメージがありますが、看護師だけでなく必要に応じて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが訪問する場合もあります。訪問診療は医師が中心となって患者さんの自宅を訪問し診察や治療を行うのに対し、訪問看護は看護師等が訪問し看護やリハビリを行います。
訪問看護師が行うケアには以下のような内容があります。
・健康状態の把握(血圧や体温の測定など)
・病状の観察
・服薬の管理(飲み忘れ、飲み過ぎがないか)
・排泄のケア
・清潔ケア(入浴、清拭など)
・栄養状態の管理
・褥瘡(じょくそう、いわゆる「床ずれ」)の予防と発見、管理
・リンパ浮腫のケア
・精神的なケア
・療養上の生活指導や介護指導
・ご家族への精神的支援や療養上の相談
・医師の指示による医療措置
・認知症のケア
・終末期のケア
よく聞く「訪問看護ステーション」って何?
「訪問看護ステーション」とは、訪問看護を行う目的で運営される事業所のことで、最近は駅や街角などでも看板を見かけることが多くなりました。看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが所属し、医師や医療機関と連携して訪問看護サービスを行います。患者さんを担当するかかりつけ医の所属医療機関を問わず利用することができます。
訪問看護はどんな人が使える?
訪問看護を利用できるのは、病気や障害があり、療養しながらご家庭で生活されている方です。年齢、性別、病気や怪我、障害の種類等を問わず利用することができます。また療養中の患者さん本人だけでなく、患者さんを支えるご家族も療養上の相談やアドバイスなどのサポートを受けられます。
また訪問看護は医療保険や介護保険などの公的保険を利用する場合と全額自費で受ける場合があり、介護保険と医療保険では料金の体系、利用できる訪問看護の回数や時間に違いがあります。どちらの保険を利用出来るかは法令で細かく定められており、以下のような条件があります。
介護保険で訪問看護を受けられるのは以下の方です。
主治医により訪問看護が必要と判断された方の中で、
・65歳以上で要支援、要介護と認定された方
・40歳以上65歳未満かつ16特定疾患にあてはまり、要支援、要介護と認定された方
医療保険で訪問看護が受けられるのは上記の介護保険の条件にあてはまる方以外で、主治医に訪問看護が必要と判断された方になります。
訪問看護はどれくらい利用できる?医療保険適用になる?
上述のように、訪問看護は公的保険(介護保険、医療保険)を利用して受ける場合と、自費で受ける場合があります。公的保険を利用すると自己負担額を軽減できますが、サービスを受けられる回数や時間に制限があり、この制限の中だけでは十分に満足のいくサービスを受けられない場合が多くみられます。
一方、自費で受ける訪問看護サービスについては上記のような回数、時間の制限はありませんが、全額自己負担となるため費用が高くなります。公的保険と自費の両方を併用してサービスを受けることも可能です。
利用できる回数や時間についてですが、介護保険の場合は利用回数に制限はありません。しかし実際には介護保険の支給限度額(利用したサービス料金に対して介護保険から支給される額)によって上限が定められています。介護保険を利用される方は通常、訪問看護以外にも複数のサービスを受けている場合が多く、他のサービスの利用状況により訪問看護を何回受けられるかが変わります。利用時間については(1)20分未満(2)30分未満(3)30分以上60分未満(4)60分以上90分未満までの4区分のなかから、 必要に応じて選択します。他の介護サービスも利用しながら介護保険の支給限度額の範囲内で月間の費用を収めようとすると、実際には訪問看護は週に1回から2回程度の利用となる場合が多くなります。
医療保険で訪問看護を受ける場合は週に1回から3回まで、一回の利用時間数については30分から90分の範囲で訪問看護を利用することができます。また更に、医療保険では以下のような特例が定められています。
<医療保険の訪問看護の特例>
・厚生労働大臣が定める疾病等の患者は週4回までの訪問の利用が可能
・厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者は、週1回に限って1回90分までの長時間の利用が可能
・医師から特別訪問看護指示書(病状の急な悪化、終末期、退院直後などの場合に医師が交付する書類のこと)が交付された場合、月に1回だけ最長14日連続の利用も可能
・「気管カニューレ(たんなどを吸引する道具)」を使用している場合や真皮を超える褥瘡(じょくそう:床ずれのこと、皮膚の表面だけでなく、奥まで達している場合)のある者は月に2回まで特別訪問看護指示書の交付が可能。つまり28日連続で訪問看護が受けられる
訪問看護サービスの自己負担額も条件により異なります。まず介護保険の場合、要介護度(要支援1、2、要介護1から5)によって支給限度額がそれぞれ決められています。利用者の自己負担額はサービス利用額の1割となっており、自分の要介護度に合わせて定められた支給限度額を超えた分については全額自己負担となります。
対して医療保険の場合、月間の支給限度額はありません。医療保険の自己負担は、かかった医療費の1割から3割です。(年齢や所得によって違います) また医療保険制度で定められている利用時間や回数を越えて利用した分については全額自己負担となります。
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訪問看護の定義や対象者などについてご紹介しました。自宅で見てる家族などに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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