ジカ熱の感染経路や症状 小頭症?「妊婦は注意」の理由は?
- 作成:2016/02/07
ジカ熱は2016年2月の時点で、南米や中米をで流行が確認されている感染症です。ジカ熱自体は、重い病気ではありませんが、胎児への影響があるために、世界的に注目を集めています。ジカ熱の感染経路や日本での流行可能性について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
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2016年2月初めの流行地域 日本では感染が広がりそう?
WHO(世界保健機関)が発表した現在ジカ熱の流行が確認されている地域は、ブラジル、パラグアイ、コロンビア、ドミニカ共和国、バルバドスなどの南米と、メキシコ、エルサルバドルなどの中米です。また、それらの地域を訪れていた人が自国に帰ってから発症したとみられるケースが、日本やアメリカ、ヨーロッパなど世界各国で確認されています。
現在日本は気温の低い冬季であるため、すぐにジカ熱が流行する恐れはありません。しかし、ジカ熱を媒介する蚊が活発に活動する5月以降には感染が広がる可能性があります。
ジカ熱の原因と感染経路
ジカ熱は、「ジカウイルス」と呼ばれるウイルスに感染することが原因で発症する感染症です。ジカウイルスを媒介するのは「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」といった、温かい地域に生息する蚊で、ヒトは蚊に刺されることで感染します。
ヒトスジシマカは日本でも多く見られる種類の蚊であるため、気温が上がりヒトスジシマカの活動が活発になると、2014年に東京の代々木で流行したデング熱のように大きな流行を起こすことが懸念されます。
ジカ熱の潜伏期間と感染経路
ジカ熱に感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、およそ7日から10日です。発熱、肌のかゆみ・発疹、下痢、筋肉痛、関節痛などの症状が報告されています。2016年はじめの時点では、ジカ熱に対する特効薬やワクチンがないため症状を抑える対処療法で治療が行われています。
米国の疫病対策センター(「CDC」と呼ばれ、信頼度の高い感染症情報を発信する組織として知られています)の発表によると、2016年2月初旬に性交渉(セックス)によるジカ熱の感染が確認されました。性交渉でジカ熱が感染した例はまれですが、2013年にもフランスで同様の症例が報告されています。同センターは、ジカ熱感染者の精液に触れないように注意を呼び掛けています。
ジカ熱に妊婦が注意すべき理由 胎児が小頭症になる?
様々な症状が現れるジカ熱ですが、中には自然治癒するケースもあり、致死率は非常に低い感染症です。それでもジカ熱が世界的に深刻な脅威として警戒されているのは、ジカ熱が「小頭症(しょうとうしょう)」と呼ばれる子どもの病気を誘発する可能性が懸念されているためです。
小頭症とは、小児の頭がい骨の発達が不十分で、同年代の小児と比べて頭が小さい状態の病気で、知能障害や発育不良などの症状を引き起こします。主に栄養失調や染色体異常(ダウン症など)、妊娠中の母親の感染症などが原因で発症すると考えられています。
2015年11月にブラジル保健省が発表した内容によると、妊婦のジカ熱への感染と小頭症の発生には関連があることが分かりました。2015年5月にブラジルでジカ熱が確認され、約130万人が感染したと推定されていますが、同年の小頭症新生児は例年の10倍にも上ると報告されています。
そのため、妊娠中あるいは妊娠予定のある方は、ブラジルを始めとするジカ熱流行国への渡航を控えることが強く推奨されます。やむを得ず渡航する場合は、蚊に刺されないよう肌の露出を極力控えるなど十分に注意して下さい。なお、現在ジカ熱は南米だけでなくハワイなどのリゾート地でも発症が確認されています。海外へ渡航する際は、他の感染症の情報と合わせて、滞在する国のジカ熱流行状況をしっかりと確認しましょう。
ジカ熱の流行地域や症状、影響などについてご紹介しました。ジカ熱に不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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