大人のプール熱(咽頭結膜熱)の感染、症状、治療 妊婦は要注意?
- 作成:2016/06/29
プール熱の患者のほとんどは、子供ですが、大人に感染する可能性もあります。大人にどのように感染するのかや、症状、治療、妊婦さんの考え方を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
プール熱は大人にも感染 子供がきっかけ?
プール熱の好発年齢(よくなる年齢)は5歳以下の幼児が中心で、10歳以上の感染者は6%ほどしかいません。10歳以上でも、15歳以下がほとんどなので、大人がかかることは非常にまれです。しかし、大人が感染する危険性がまったくないわけではありません。
大人の感染率が低いのは、免疫力が高いからです。また、過去にプール熱になったことがあるおかげで、体内に免疫ができており、原因ウイルスに感染しても、プール熱発症にまでいたることが少ないためです。しかし逆に言うと、過労や睡眠不足、他の病気などによって免疫力が低下している場合、プール熱にかかる可能性があるということです。
免疫力が低下していても、体内にプール熱の抗体があれば問題ありませんが、プール熱の原因となるアデノウイルスは数種類あり、違う型であれば感染する可能性はあります。
大人がプール熱に感染するきっかけとなるのは、主に「感染した子供の看病」です。学校や保育施設からアデノウイルスをもらってきた子供がプール熱を発症し、大人が看病のためにひんぱんに接触し、吐しゃ物や排せつ物を処理することによって感染してしまうのです。
プール熱の症状は大人と子供で違う?
大人のプール熱の症状は、基本的に子供の場合と同じです。38度から40度の高熱、喉の腫れや痛みを伴う咽頭炎、目の充血や目やになどの結膜炎の3つが主な症状です。どの症状がどのくらい重くなるかについても、子供同様、個人差がありますが、どちらかと言うと、熱や目の症状よりも喉の痛みが強く出ることが多いようです。大人は一般的に、子供と比べて、症状が軽めのことが多く、1週間以内に治ることがほとんどです。
ただし、体力の落ちた高齢者の場合、重症化の可能性があるので注意が必要です。もともと心肺機能低下や免疫機能低下の状態にある人は、呼吸障害が原因で、症状が悪化したり、細菌による二次感染(ある病気が完治する前に、別の病気になること)を引き起こすことがあります。プール熱は、基本的に予後の良好な病気ですが、乳児と高齢者にとっては髄膜炎や肺炎などの合併症に注意が必要です。
プール熱の治療は大人と子供で違う?
プール熱に特効薬はなく、熱や結膜炎に対する対症療法をしながら自然に治るのを待ちます。それは大人も子供も同じです。
プール熱を早く治すには、体調を整えて免疫力を高めることが大切です。安静と十分な睡眠を取り、体を休めるようにしましょう。水分と栄養の補給も重要です。食欲がなくてもアイスやゼリーなど喉の通りが良い食品をこまめに摂るようにしましょう。また、脱水症状を避けるために、水分補給を欠かさないようにしましょう。
プール熱は妊婦には特別な注意が必要?
妊娠中は免疫力が低下しているため、感染症には注意が必要です。ただし、プール熱は胎児に悪影響を及ぼすような病気ではないため、その点は心配する必要はありません。
胎児に悪影響を及ぼす恐れのある代表的なウイルスには、風疹、水ぼうそう(水痘)、麻疹(はしか)、サイトメガロウイルス、伝染性紅斑(リンゴ病)などがあります。プール熱の原因であるアデノウイルスは特に胎児への有害事象は報告されていません。
とはいえ妊娠中に高熱を出すことや咽頭炎・結膜炎に悩まされることは好ましくないので、かからないに越したことはありません。
妊婦がプール熱にかかってしまう主な原因は、子供からの感染です。看病の際に感染しないように、手洗い・うがいを徹底して、子供の唾液、目やに、吐しゃ物、排せつ物に直接触れないよう注意してください。もし妊娠中にプール熱にかかった場合は、かかりつけの産婦人科を受診してください。解熱剤や目薬などが必要な場合は、妊娠中でも使用可能なものを処方してもらう必要があります。
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大人のプール熱についてご紹介しました。高熱や喉の痛みに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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