抗生物質とは?「抗生剤」「抗菌薬」と同じ?違う?主な副作用、種類、市販のものが少ない理由も解説
- 作成:2016/02/22
抗生物質は、微生物が作った化学物質のことで、働き方によって、主に3種類に大別されます。副作用や、飲み薬の抗生物質が市販されていない理由も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
抗生物質とは?抗生剤や抗菌薬とは違う?同じ?
「抗生物質」とは微生物が作った化学物質で、病気の原因となる微生物を殺す作用を持つ薬です。世界で初めてみつかった抗生物質は、青カビから発見されたペニシリンです。
そして抗菌薬とは、「(抗生物質を含めて)病原体に対し殺菌的もしくは、静菌(細菌の働きをや増殖を抑える作用)的に作用する薬」を総称したものです。抗菌薬のうち、抗生物質を除いたものは、化学的に合成される合成抗菌薬とよばれます。
なお「抗生剤」は、正式な医学用語ではありません。しかし抗生物質と同義語として使用されているのが現状です。
抗生物質の3種類
抗生物質の効果は殺菌と静菌に分けられます。殺菌は菌を死滅させる効果のことで、静菌とは菌の発育をおさえる効果です。
抗生物質の効き方は主に3種類です。1つ目は細胞の「細胞壁」と呼ばれるもの合成をできないようにするものです。細菌には人間の細胞と異なり細胞壁があります。その細胞壁を作れないようにして殺菌するのがこの薬の効き方です。人間の細胞には「細胞壁」がありませんので、人間の細胞にはあまり害がない特徴があります。抗生剤の種類としてはβラクタム系、グリコペプチド系、ホスホマイシンなどがあります。
2つめはタンパク質の合成を阻害するものです。細菌の細胞の中にはタンパク質を作り出す「リボゾーム」という部分があります。リボソームを妨害することで、タンパク質が作れなくなり、菌が破壊されるのです。人間の細胞にもリボゾームはありますが、菌のリボゾームと構造が異なるため、抗生物質の影響は受けません。この種類の抗生物質にはテトラサイクリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系などがあります。
3つめは核酸の合成を阻害するものです。核酸は細胞の核の中あり、核酸の情報によって、菌は必要な細胞タンパク質を合成しています。この核酸がつくられないようにすることで菌の増殖を防ぎます。種類としてはキノロン系、サルファ剤、リファンピシンがあります。
抗生物質の副作用 下痢、眠気、アレルギーも起きる?
抗生物質には副作用があります。抗生物質は細菌に効く薬ですが、それは腸内細菌でも同様です。そのため、抗生物質を服用すると腸の中の善玉菌も壊されて、結果として、下痢になることがあります。この状態は「抗生物質起因性腸炎(抗生物質が原因の腸炎)」とも呼ばれます。
また、種類によっては眠気が出やすい抗生物質もあります。これは薬そのものの副作用である場合と、併用している睡眠薬の効果を強めている場合があります。薬は抗生物質に限らずアレルギーが出る可能性はあります。ひどい場合には血圧が低下し呼吸困難となり意識を失う「アナフィラキシーショック」という状態になることもあります。
市販の抗生物質にはどんなものがある?数が限られている理由は?
抗生剤は適正に使用しないと効果がないばかりか、副作用だけが出たり、体内の菌が薬の効きにくい「耐性菌」と呼ばれる菌に変化したりします。このような事態を防ぐため、現在飲み薬の抗生物質は市販されていません。飲むような抗生物質を入手するためには医者の処方箋が必要です。
市販されている抗生物質は塗り薬があります。これはいわゆる化膿止めです。細菌が感染し化膿した部分に塗って使用します。
抗生物質の種類や副作用などについて、ご紹介しました。自分の飲んでいる薬に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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