炎症とは?冷やせばOK?仕組み、使う薬、食べものの効果を解説 炎症マーカーの種類も知ろう
- 作成:2016/04/06
「炎症」という言葉は良く聞きますが、実際どのような状態なのかや意味を正しく理解している人は多くないと思います。「炎症」のメカニズムや炎症に使う薬、食べ物の効果も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
炎症は「炎症反応」?
生体は、細胞や組織が傷つけられた時に、傷ついた部分を取り除いて再生するための防御的な反応を起こします。初期の反応の結果として、傷害を受けた部位(局所)には、(1)熱感(熱をもつ)、(2)発赤(赤くなる)、(3)疼痛(とうつう、痛み)、(4)腫脹(腫れる)といった変化が現われます。
「炎症反応」という言葉は、炎症とほぼ同じ意味でも使われますが、現われた変化に対しては「炎症」、炎症の起こるメカニズムに対しては「炎症反応」という言葉を使う傾向があります。
炎症のメカニズム 炎症細胞とは?
病原体の侵入(いわゆる感染症)や外傷などによって体の組織が傷つくと、壊れた細胞や「血小板」という血液組織から、「ヒスタミン」などの化学伝達物質が放出され、炎症反応が始まります。
化学伝達物質により、局所の細い血管が広がり、結果として、熱を持ったり、赤くなったりします。また、血管の透過性がます、つまり物質が漏れ出しやすくなり、血液中のタンパクなどが局所に漏れ出て、痛みや腫れが起きます。
さらに「炎症細胞」といわれる物質の浸潤(しんじゅん、しみ出すこと)が促されます。「炎症細胞」の正体は、主に白血球です。炎症の初期に病原体などを処理する「好中球(こうちゅうきゅう)」や、炎症の後期になって組織の修復の過程で働く「マクロファージ」や「リンパ球」といったものがあります。
炎症に使う薬はどんなもの?
本来、生体の防御的な反応である「炎症」ですが、炎症が過剰になり、生体にとって不利益に働いていると判断される場合に、炎症反応を抑えるお薬である抗炎症薬が使われます。大きく2つに分けられ、「非ステロイド系」と「ステロイド系」の薬があります。
1. 非ステロイド系抗炎症薬;
炎症における痛み、腫れ、発熱などには、「プロスタグランジン類」という物質が関与します。プロスタグランジン合成を促進する酵素である「シクロオキシゲナーゼ系」を阻害することで、抗炎症、鎮痛、解熱といった効果を発揮します。
2. ステロイド系抗炎症薬;
上記の酵素系の抑制作用に加え、炎症を悪化させる情報伝達物質である炎症サイトカインなどを抑えることにより、強力な抗炎症作用を示します。
炎症は冷やせばOK?
炎症による痛みなどに対しては、「温熱療法(温める)」と「冷却療法(冷やす)」の両方が行われます。一般的に、腫れや熱感、強い痛みを有する急性期の炎症に対しては、冷やすことが有効とされています。逆に、急性期の炎症に対して温める方法をとると、炎症反応が助長されてしまいます。
対して、慢性的な炎症における血流不全(血流が不十分であること)による慢性痛は、温めることが血流を改善させ効果があるとされます。
炎症に効果のある食べものがある?
青魚に含まれることで有名な「DHA」や「EPA」という物質は、「オメガ3」というタイプにわけられる不飽和脂肪酸です。オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があることが知られ、えごま油、亜麻仁油(あまにあぶら)、シソ油などにも含まれます。エクストラバージンオリーブオイルには、オリーブ由来のポリフェノールが、炎症に対して効果があることが認められます。
また、生姜には「ショウガオール」「ジンゲロール」、ターメリックには「クルクミン」という物質が含まれていて、これらも炎症に効果があります。食べ物の中では、食用油や香辛料に多いようです。
炎症マーカーとはどんなもの?何がわかる
炎症マーカーとは血液検査のうち、炎症の有無や重症度、経過の観察に役立つ検査項目です。
1. CRP;
CRPのPはProtein(プロテイン)の頭文字で、炎症の急性期にあらわれるタンパクの代表的な成分です。したがって、体内の炎症または組織が壊れている状態になると、約6時間にわたって血中の濃度が上昇し、回復すると速やかに下降します。また、上昇の程度(数値の高さ)は、急性炎症の勢い、つまり「どれくらい重症か」の判定にも有用です。
2. 白血球数と分画;
「分画」とは、白血球の種類(好中球、リンパ球など)の割合をみることです。白血球数の増加と、好中球の割合の増加は、最も早く反応する炎症のマーカーです。
3. 赤沈;
炎症によりあらわれるタンパクや抗体によって進みます。急性炎症の場合、あまり敏感に反応するものではありませんが,慢性炎症での経過観察に有用性が高いマーカーです。
炎症のメカニズムや薬についてご紹介しました。体の痛みに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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