湿布は適当に貼ると効果半減?成分や正しい貼り方について解説
- 作成:2022/04/07
湿布を患部に貼る際、湿布の成分やタイプについて気にかけたことがありますか?例えば、温湿布と冷湿布は症状によって使い分けた方が、湿布の効果を得やすいです。 このように湿布にもいくつか種類があり、そして使い方があります。 本記事では、湿布の成分やタイプを踏まえた正しい湿布の使用方法について解説していきます。 自分の症状にどんなタイプの湿布が合うのかわからない方は、ぜひ本記事を参考にしてみましょう。
この記事の目安時間は6分です
湿布の作用について
市販されていたり病院で処方されたりする湿布は、鎮痛消炎成分を配合した貼り薬のようなものです。湿布に配合されている鎮痛消炎成分が皮膚から患部へと吸収され、腫れや痛みなどの炎症を一時的に抑えます。
湿布に含まれている成分について
湿布には腫れや痛みなどの炎症を一時的に抑える成分が含まれています。
サリチル酸メチル
一般的によく見かけるタイプの白い厚めの湿布(温湿布・冷湿布)。カバノキ科やツツジ科などの植物に含まれている自然の物質で、古くからある外用の鎮痛・消炎薬で、関節痛や筋肉痛、打撲や捻挫などの症状をやわらげるために使用します。
カプサイシン
温湿布。皮膚を刺激して血管を広げることで血流量を増加させ、その刺激により感覚神経を鈍らせて痛みを感じにくくするはたらきがあります。
非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン・ケトプロフェン・ロキソプロフェンなど)
肌色の薄い布のような湿布(プラスター剤)。サリチル酸メチルよりも高い消炎効果や鎮痛効果が期待されています。成分の含有量が多いものは痛みを抑える効果が高い一方、刺激が強いことによって肌のかぶれなどの副作用が表れやすくなるため注意も必要です。
湿布の形状について
湿布には大きくわけて2つの形状があります。パップ剤とプラスター剤と呼ばれる湿布です。
パップ剤
昔からある白くて厚めの湿布がパップ剤です。パップ剤は患部の熱を下げるはたらきがメリットです。一方、肌との密着性が弱くネットや包帯などで抑えていないとはがれやすい点がデメリットです。
プラスター剤
肌色の薄いタイプの湿布がプラスター剤と呼ばれるものです。パップ剤よりも皮膚との密着性が高いため、よく動かす関節や筋肉に貼っても剥がれにくいです。
プラスター剤の多くには非ステロイド抗炎症薬が含まれており、鎮痛効果が高い傾向にあります。
一方で、非ステロイド抗炎症薬の副作用として皮膚にかゆみやかぶれなどの症状が出ることもあります。肌が弱い方は使用する前に医師に相談した方がよいでしょう。
冷湿布と温湿布の使い分け方
パップ剤の湿布には冷湿布と呼ばれるものと温湿布と呼ばれるものがあります。ここではそれぞれの湿布の使い分け方法について解説していきます。
打撲や捻挫など急性のケガは冷湿布
捻挫・打撲・ぎっくり腰などの急性のケガの場合、患部が炎症することで腫れたり、赤みを帯びてくることがあります。一刻も早く患部を冷やし、炎症を抑えることが重要です。よって、急性のケガの場合は患部を冷やす冷湿布を使って患部の熱を下げます。
慢性的な痛みには温湿布
慢性的な痛みは、血行の悪さや筋肉の緊張が原因であると考えられます。そのような痛みには温湿布やプラスター剤タイプの湿布が適しているでしょう。
温湿布は血行を促進し、慢性痛の症状を改善させます。また、プラスター剤タイプに含まれている非ステロイド抗炎症薬も痛みを和らげてくれるでしょう。
湿布の作用時間
湿布薬は用法に注目すると「1日1回貼付」のものと「1日2回貼付」のものとに分けられます。
「1日1回貼付」のものは効果が約1日(24時間)持続し、「1日2回貼付」のものは効果が約半日(12時間)持続すると考えましょう。
1日1回貼るタイプは、たとえ半日間しか貼っていなくても成分の多くは皮膚にすでに浸透しているため、はがした後も効果は持続します。
湿布を貼るタイミングとはがすタイミング
一般的に湿布を貼るタイミングはお風呂上がりがおすすめです。皮膚の汚れが洗い流された状態であるため湿布が吸着しやすく、かぶれも起こりにくいと考えられるからです。
温湿布は皮膚に対する刺激が強いため、最低でもお風呂上がり30分くらい経ってから貼るとよいでしょう。
はがすタイミングについては成分にもよりますが、1日1回貼り替えタイプは8〜12時間くらい貼れば成分の多くは皮膚に浸透し、はがした後も効果が持続します。
1日2回貼り替えタイプであれば4〜6時間で問題ありません。
皮膚が弱くかぶれやすい方は皮膚への負担のことを考えると早めにはがした方がよいでしょう。
皮膚に特に問題がない方でも毎日同じ場所に貼り続けるのであれば、はがしてから貼るまで最低1時間ほど皮膚を休ませてあげる時間を作ることをおすすめします。
湿布を使用する際の注意点
湿布は飲み薬とは異なり副作用が存在しないと考えている方もいるでしょう。しかし、湿布にも副作用は少なからず存在します。
ここでは、副作用を含めた湿布の注意点について解説していきます。
皮膚炎に注意
湿布薬は皮膚に直接薬剤を浸透させるため、それが刺激となって皮膚炎を引き起こす可能性があります。
使ったことがない湿布を使用する際は、貼ってからもこまめに皮膚の状態を確認しましょう。
光過敏症の原因にもなるケトプロフェン
有効成分にケトプロフェンという物質を使用している湿布は、紫外線に反応して「光過敏症」が起きてしまう可能性があるため、注意する必要があります。
特に夏場にケトプロフェンを含有する湿布を使用する場合は、はがした後も数週間は皮膚に成分が残っているため、日光に当たる部分の使用は避けましょう。
【まとめ】湿布で痛みが改善しない場合は受診を
本記事では、湿布の成分やタイプ、正しい湿布の使用方法について解説してきました。
湿布には一時的に腫れや痛みなどを和らげる効果はありますが、腫れや痛みの原因を根本的に解決することはできません。これらの症状が続く場合は、整形外科への受診をおすすめします。
また、湿布には副作用といった危険性が少ないと考えている方もいるかもしれませんが、薬であることにかわりはありません。使用する際は必ず添付書を確認しましょう。
これから湿布を使用する際は、成分や湿布のタイプに注目して選んでみてください。
【参考文献】
総合南東北病院.“冷湿布と温湿布の使い分け”
EPARKメディカルルック.“湿布の効果は何時間?短い時間でも効果はある?薬剤師が湿布の使い方を解説”.
医療法人メディカルフロンティア.“腰痛は湿布で改善できる?気になる効き目や効果的な貼り方をご紹介”.
総合南東北病院.“湿布の使い方”
あかまる整形外科・脊椎クリニック.“【診療トピックス】温シップと冷シップの使い分けについて”
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