カンジダ症の薬と治療期間 ヨーグルトや市販薬の効果、塗り薬・飲み薬の種類も解説

  • 作成:2016/05/02

カンジダ症で病院を受診すると、塗り薬や飲み薬を処方されます。一体どのようなものなのかや、市販薬の注意点、ヨーグルトが効く可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は3分です

カンジダ症に使う塗り薬とは?

カンジダ症では、主に薬物治療が行われます。主な治療方法は、カンジダ症の原因となる菌に対して抗菌力のある外用薬(塗り薬)が使われます。また、「カンジダ性爪囲爪炎(爪周辺の炎症)」「口腔カンジダ症(口の症状)」など、治りにくかったり、広範囲に症状が出るタイプの場合は、内服薬(飲み薬)が用いられます。

外用薬は「イミダゾール系」と呼ばれるものが、カンジダに対して有効性が高く、第一選択薬(優先的に処方が検討される薬)として用いられています。具体的には、「塩酸ネチコナゾール」「ネチコナゾール」「ケトコナゾール」「ラノコナゾール」などがあり、カンジダ症に対する抗菌力等の違いから使い分けされています。

また、「皮膚カンジダ症」というタイプでは、びらん(ただれ)が確認されることが多いので、皮膚に対して刺激が少ない、クリーム剤か軟膏剤が使用されています。

外用薬は、その使用用途によって、軟膏、クリーム、液体、ローション、スプレーといった様々な形があるため、状況に合わせた使い分けが可能です。

カンジダ症に使う飲み薬とは?副作用は?

外用薬と共に、カンジダ症の治療薬として用いられるのが内服薬(飲み薬)です。内服薬には「イトラコナゾール」「アムホテリシンB」「フルコナゾール」などがあります。うち、「イトラコナゾール」は、様々な真菌に効果があり、第一選択薬となっています。

内服薬の副作用は比較的少ないのですが、他の薬と併用すると、効果を強めたり、弱めたりする可能性に注意する必要があります。元々飲んでいる薬があり、新たにカンジダ症の飲み薬を使う場合は、医師や薬剤師に相談する必要があります。

カンジダ症の治療期間は?

また、内服薬の治療期間は2週間くらいで完治する場合もあれば、治療に数カ月を要するものまであります。治療期間は症状が現れている部位により異なり、特に爪にできるカンジダ性爪囲爪炎では治療に数カ月かかることもあります。

カンジダに市販薬はある?

カンジダ症の治療薬は、医師が処方する薬だけでなく、カンジダによる膣炎に対する市販薬と、カンジダ症のかゆみに対する市販薬もあります。カンジダによる膣炎に対する市販薬は、カンジダ菌の殺菌に対して有効な成分を配合しています。しかし、膣炎に対する市販薬は、「カンジダ膣炎と以前に診断されている方に適している」旨が記載されています(後述)。

一方、カンジダ症のかゆみに対する市販薬もカンジダ症に有効な成分と、軟膏に含まれるステロイドが含まれています。

ただ、いずれの薬も過剰な利用は、副作用をもたらす可能性があります。また、かゆみに対してステロイド剤のみを使う方もいますが、カンジダ症であった場合には、症状を急激に悪化させる可能性もありますので、医師や薬剤師に相談するのが良いでしょう。

カンジダの市販薬の対象

薬局ではカンジダ症を対象とした市販薬はありますが、あくまでも再発を対象としている治療薬である点には注意が必要です。「初めて発症した方」「15歳未満の方」「妊娠してる方」「授乳中の方」「アレルギーの方」「その他疾患をお持ちの方」「カンジダ症かどうか不明の方」は、自己判断で市販薬を使用することは大変危険ですので避けてください。

カンジダにヨーグルトがきく?患部に塗る?

「カンジダ症にヨーグルトが効く!」「ヨーグルトを患部に塗ると、カンジダ症が収まる!」という記事がインターネット上に散見されます。こういった記事が生まれた根拠となる論文が、2006年にある科学雑誌に掲載されました(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16783294 リンク先:英文)。論文によると、細菌性膣炎が起きている、もしくは細菌性腟炎が疑われる18歳から40歳の健康な女性60人に対して、ヨーグルトに含まれる「アシドフィルス菌」という菌を使った治療を行いました。結果、両方のグループで、自覚症状が軽快したという結果が得られました。現在、カンジダ症に対する治療は上述の薬剤しか存在しませんでしたが、論文の結果から、ヨーグルトが、新たな治療方法につながる可能性が見込まれています。

確かに、論文の治療には、ヨーグルトに含まれるアシドフィルス菌が用いることから、「ヨーグルトはカンジダ症に効く!」という解釈も可能です。ただ、この論文の治療で使われたアシドフィルス菌の量と、一般に販売されているヨーグルトに含まれるアシドフィルス菌の量の差は明確でありません。また、論文での治療対象は細菌性膣炎であり、カンジダ(真菌性)膣炎ではありません。つまり、「ヨーグルトの効果があった」とされる腟炎は、カンジダ菌のものではありません。

もちろん、カンジダ症に対して、ヨーグルトが効果がある可能性は否定できませんが、2016年現在、「確実な治療方法」ということはできません。むしろ、科学的にしっかりと治療を受けるまでの期間が長くなってしまうことが考えられます。医療機関を受診するのをためらう方がいるかもしれませんが、自分でどうにかしようと考える前に、一度、医療機関を受診してみるのが安全と言えます。



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カンジダの治療薬などについてご紹介しました。「何らかの性病かもしれない」と不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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