トリコモナス症の治療、治療期間、検査 薬の効果と副作用は?市販薬は要注意?

  • 作成:2016/09/29

トリコモナス症の原因は、「トリコモナス原虫」という寄生虫ですので、寄生虫に効果のある薬を使うこととなります。検査や治療期間の目安、病院でもらう薬の副作用、市販薬の注意点を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

目次

トリコモナス症の検査

トリコモナスは、腟や前立腺からの分泌物を、顕微鏡で調べることでわかります。女性では、腟分泌物を採取して検査を行います。トリコモナスは非常に小さいため、肉眼で確認することはできません。もし、顕微鏡ではっきりとわからない場合には、分泌物を数日間培養して調べます。

これに対し、男性からトリコモナスを検出するのは容易ではありません。男性では、朝の性器からの分泌物を採取して培養して調べる検査や、尿を採取して顕微鏡による検査が行われます。ただし、尿の中にはトリコモナス原虫が少ないため検出は難しく、数日間尿を培養した後に調べることもあります。

検査は婦人科や泌尿器科などで行うことができますが、性病の検査を病院で行うことに抵抗がある方は少なくありません。そのような方のために、最近では、自宅で検査できるサービスもあります。特に女性は恥ずかしいという気持ちが働き、なかなか病院に行けずに放置して、症状を悪化させてしまうこともあります。しかし、トリコモナス症が自然に治ることはありませんから、早目に検査して早期に治療することが重要です。

自宅で行う検査は、インターネットから申し込むことができます。郵送で検査キットが送られてくるので、必要なものを郵送で提出するだけで、検査結果を郵送で受け取る、またはインターネットで見ることができるサービスです。ただし、検査で陽性と診断された場合は、専門医に受診して早期に治療を開始する必要があります。

またトリコモナス症の人は、淋病やクラミジアなど他の性病にかかっていることも多いため、同時に他の性病の検査を検討するのが合理的です。

トリコモナス症の治療概要 男女で違いがある?

トリコモナス症の治療では、「メトロニダゾール」や「チニダゾール」という抗原虫薬が処方されます。女性ではこれらのお薬を一回のむだけで、ほとんどの場合には症状が治まります。しかし男性の場合には同様の薬を、1週間ほど服用する必要があります。

性感染症の治療は、性交渉のパートナーも同時に治療することで効果があらわれます。完治するまでは、お互いにうつしてしまわないように、性交渉は控えましょう。

また男性では、女性側が感染していれば高い確率で感染している可能性があります。症状が表れていない場合でも、パートナーと同時に治療をすることを強くお勧めします。また、治療中は他の人にうつす可能性があるため、温泉や公共のプールなども控えましょう。

トリコモナス症の治療期間の目安

セックスパートナーも同時に治療すれば,メトロニダゾールを1回投与するだけで、女性の95%までが治るとされています。しかし、パートナーも同時に治療しなければ、再び感染する恐れがあります。男性については1回の投与による治療が効果的かどうかはわかりにくく、服用は1日に2回、1週間から10日程度服用します。

トリコモナス症の処方薬の作用機序と副作用

トリコモナスの治療に用いられる「メトロニダゾール」は、抗原虫薬の代表的な薬です。内服薬(飲み薬)で、耐性を示す場合は、静脈注射によって効果を示す場合がありますが、現在国内で認可されていて使用できるのは、内服薬と腟錠のみです。

メトロニダゾールは、原虫に特有の代謝によって分解され、活性酸素を生じます。その活性酸素により原虫のDNAを傷つけることで、原虫の働きを抑える作用があります。

副作用として、メトロニダゾールを服用すると金属の味がするという報告や、白血球の減少をまねくことが知られています。また腟炎を起こす「カンジダ」とよばれる菌が繁殖しやすくなります。

またアルコールと同時にメトロニダゾールを服用すると、気分が悪くなったり肌が赤くなったりすることがあります。そのためメトロニダゾールによる治療中は、アルコールを控える必要があります。

トリコモナス症に市販薬はある?

トリコモナスの治療に効果的な薬は、一般には市販されていません。メトロニダゾールを購入するには、医師の処方箋が必要です。 自己判断で他の薬などを代用して、重大な副作用を招いてはいけませんから、症状がある場合には、早めに医療機関を受診して医師の診断を仰いでください。

トリコモナス症の治療薬を通販で買ってよい?危険?

日本国内では一般に売られていませんが、海外の治療薬を個人代行などで輸入して販売しているサイトがあります。ただし、トリコモナスの治療薬は、使い方によっては副作用があり、またカンジダ腟炎など他の性病を引き起こしやすいなど、使用には十分な注意が必要です。そのため自己判断による薬の使用はお勧めできません。トリコモナスの治療は短期間で済みますから、感染がわかったら早目に病院を受診して治療を開始するようにしてください。



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トリコモナス症の治療や検査などについてご紹介しました。「何かの性病にかかったかもしれない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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