金属アレルギーの治療 薬の効果は?市販薬あり?そもそも治る?副作用も解説
- 作成:2016/10/07
金属アレルギーは、残念ですが、一度発症すると、完治はしないため、原因となる物質を特定したうえで、避けることが大事となります。治療に使う薬の効果や副作用、市販薬の有無を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
金属アレルギーは治る?
現時点では、金属アレルギーはいちど発症すると治らないとされています。したがって、原因となる金属を遠ざけることが何よりも大切になります。パッチテストで原因物質が特定できたら、その成分が含まれるものの使用は避けるようにしましょう。なおピアス穴を自分で開けると、感染などを起こしてアレルギーを起こしやすくなることがあるため、特に注意が必要です。
本当に歯科金属が原因であった場合には、銀歯や詰め物を除去することで症状が軽減することが期待されます。最近では「ノンメタル治療」といって金属を使わない治療法があります。ただし、歯科金属を撤去しても効果が現れない場合があることや、費用が高額になるケースがあるので、医師とよく相談してから治療するようにしましょう。
皮膚疾患に関しては、皮膚科で塗り薬を処方してもらうことで症状を軽減することができます。ただし、薬物療法は症状を抑えるだけの対症療法です。金属アレルギーを治療するためには、原因物質を特定して、生活環境から排除することが大切になります。
金属アレルギーの治療 薬はどんなもの?副作用は?塗り薬?
金属が皮膚に直接触れることによって起こった金属アレルギー反応は、ステロイド外用薬(塗り薬)による治療が基本となります。ステロイド外用薬は、局所的なアレルギー反応を抑えるはたらきのある薬で、アレルギーによる皮膚疾患に対し一般的に使用されています。ステロイドは副作用が強いというイメージがありますが、それは強い内服薬の場合に起きることであり、塗り薬である外用薬に関しては、それほど心配する必要はありません。
ステロイド外用薬の主な副作用は3つで、1つは皮膚が薄くなること、2つは毛細血管が拡がること、3つは免疫を抑えてしまうことです。ステロイド剤は、皮膚の細胞の増殖も抑えてしまい皮膚が薄くなるので、拡張した毛細血管が目立つようになってしまいます。また、免疫を抑えられることにより、にきびなどの皮膚感染症を起こしやすくなります。
ステロイドで見られる副作用が少ないと言われているのが、「免疫抑制剤」という種類の外用薬(塗り薬)です。顔や首など皮膚が薄いところの治療や、長期間の使用が必要な場合、ステロイドでは効果が得にくい場合に使用されます。ただし、使用開始時のほてりやヒリヒリ感などの刺激症状や、皮膚感染症を引き起こしやすくなる副作用があります。
ステロイド外用薬や免疫抑制外用薬と合わせて、保湿剤が処方されることもあります。保湿剤は皮膚の乾燥を防ぐ働きがありますが、接触皮膚炎自体を改善することはできません。
薬物療法は外用薬がメインですが、補完的に抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などの内服薬が処方されることもあります。いずれもかゆみを和らげる作用があります。眠気やだるさといった副作用がありますが、薬の種類や体質によっては副作用の現れ方はさまざまです。
金属アレルギーに市販薬はある?どんなもの?
金属アレルギーの場合、原則として治療薬は、医師の処方薬を使用することが望ましいですが、効き目のゆるやかな薬であれば市販されているものもあります。
ステロイド外用薬は効果の強さによって5段階のランクに分けられています。
Ⅰ群:最強(strongest)
Ⅱ群:非常に強い(very strong)
Ⅲ群:強い(strong)
Ⅳ群:おだやか(medium)
Ⅴ群:弱い(week)
普通に薬局など市販で買えるのはⅢからⅤ群のステロイド外用薬です。Ⅲ群としては「フルコートF」、「ベトネベートN軟膏」、「リンデロン-VG軟膏」が有名で、Ⅳ群には「ドルマイコーチ軟膏」、「オイラックスPZ軟膏」、Ⅴ群には「テラ・コートリル軟膏a」、「エマゼン軟膏」などが代表的なものです。
どの薬を使ったらいいのかは、塗布する箇所や炎症の度合い、年齢によって異なります。最初から自己判断で市販薬を買うのではなく、皮膚科で薬の種類や正しい使い方を聞いてから購入するのであれば問題ないでしょう。
【金属アレルギー関連の他の記事】
- 金属アレルギーの概要と起こる仕組み 取り込み方は2種類?
- 金属アレルギーの原因 接触量と時間の目安は?遺伝する?
- 金属アレルギーになりやすい、なりにくい、ならない金属とは?
- 食べ物、化粧品、銀歯で金属アレルギーになる?ブラジャー、ベルト、カミソリとの関係も解説
- 金属アレルギーの症状、出る部位、セルフチェック項目 蕁麻疹や脱毛?突然発症する?
- 金属アレルギーの診療科、検査 皮膚科?パッチテストの意味は?
- 金属アレルギー対策と注意点 食べ物、汗にどう対応?アクセサリー、化粧品、歯科治療の考え方も解説
金属アレルギーの治療などについてご紹介しました。「金属アレルギーかもしれない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。