金属アレルギーの原因 接触量と時間の目安は?遺伝する?
- 作成:2016/10/07
金属アレルギーになる原因は、汗が関係しています。金属との接触量や接触時間の目安の有無や遺伝する可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
金属アレルギーになる原因 汗も関係?
金属アレルギーのメカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。
まず、金属接触アレルギーの場合、皮膚に触れた金属が「イオン化」し、体内に入りこみます。「イオン化」とは。簡単に言うと溶けて体の組織に浸透しやすくなった状態だと考えてください。
しかしイオン化した金属が体内に入るだけでは金属アレルギーにはなりません。その金属が体内のタンパク質などと結合すると、体の免疫機能はそれを異物と判断し、抗体を作って待機します。この状態を「感作(かんさ)」といいます。感作されただけでは症状は起こりません。感作された人に対して、アレルギーの原因となる金属が侵入してきた時、免疫が反応を起こし、かゆみや湿疹など症状として表れます。
全身型金属アレルギーの場合、金属を溶かすのは唾液や消化液です。皮膚からではなく、粘膜・気道・腸管から金属を取り込みます。体内に入った不要な金属は尿や便から排出されますが、一部は汗として皮膚から排出されるので、すでに感作されている人は皮膚にアレルギー反応を起こすことがあります。
金属接触アレルギーの場合も全身型金属アレルギーの場合も、「汗」が大きな役割を果たすことが分かります。
金属アレルギーになる金属への接触量や時間はどんなもの?
金属アレルギーは、「遅延型アレルギー」というアレルギーの一種です。「遅延型」とは、アレルギーの原因物質を取り込んでから症状が現れるまでに時間がかかるという意味です。一方、すぐにアレルギー反応を起こすのが、花粉症、気管支喘息、食物やハチの毒での即時型アレルギーです。血圧が下がって気分不良となるアナフィラキシーは即時型アレルギーの1つです。
金属アレルギーになるまでの時間はそれぞれです。ただ、生まれつき金属アレルギーであるということはなく、多くの場合、期間をかけて濃度の高い金属に触れ続けて、はじめてアレルギーが成立します。一度アレルギーが成立すると、その後その金属と接すると症状が現れます。
金属に接する量(濃度)が多く、接する期間が長いほど、金属アレルギーになる確率が高まります。汗をかくときに金属製品を皮膚に密着させておくことは、アレルギーを成立しやすくしますので、注意してください。
アレルギーになりやすさは人それぞれです。実際、ほんのわずかな金属量ですぐに発症してしまう人もいれば、どんなに金属に囲まれて暮らしても、一生発症することのない人もいます。
一度発症すれば、金属が体内に入ったのをきっかけとして数時間から48時間以内にアレルギー反応が出ると言われています。ただ、反応が出るのが遅れることがあり、高齢者の場合、3、4日経ってから出てくる場合もあります。
金属アレルギーは遺伝する?
金属アレルギーは、親から子に直接遺伝することはありません。金属アレルギーになる原因は「汗や唾液で溶けた金属成分が体内に入る」ことです。したがって、遺伝よりも、金属の取り込み条件をどれだけ満たしているかが重要です。親が金属アレルギーだからといって、子供が同じ金属にアレルギー反応を示すとは限りません。 とはいえ、間接的ではありますが、金属アレルギーになりやすい素因が遺伝する可能性はあります。金属アレルギーの成立には汗が深く関係しているので、子供の金属アレルギーが心配な場合は、遺伝を気にするより、皮膚に原因不明な湿疹やかぶれがないかこまめに確認をし、汗をかいた状態で金属や革製品と直接接触することをさけることが、予防には近道です。
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金属アレルギーの原因などについてご紹介しました。「金属アレルギーかもしれない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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