結核の診断と検査 レントゲンや血液検査の意味は?検査費用の目安は?信頼度の高い「喀痰検査」も解説

  • 作成:2016/03/14

結核は、診断が難しい病気で、検査も複雑になっています。確実な検査でも、結果が出るまで最大で2カ月かかる難点もあります。どのような検査があるかなどを、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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結核の検査を知ろう

結核の検査は2種類ある

結核の検査には、「これまでに結核菌にかかったかをみるもの」と、「現在結核菌にかかっているかをみるもの」、2種類の検査があります。

なぜこのように複雑になっているかというと、現在結核菌にかかっているかをみる検査は結果が判明するまでに時間がかかるからです。そのため、症状がある人はこれまでに結核にかかっているかをみる検査をまず実施して、それが陰性であった場合は「結核菌にかかっていない」という判断して、結核の感染可能性を否定して検査が終了となります。

レントゲンをや血液検査の意味合いは?

ただ、「これまでにかかったかをみる」検査が陽性であった人が必ず現在も結核かというとそうではありません。過去に結核にかかったけれども、現在発症していないということはよくあります。陽性の場合、現在結核を発症しているかをみる検査をおこなうこととなります。

具体的には胸のレントゲンで現在の肺の状態をみますが、レントゲンの結果だけでは、結核を診断することは困難です。そのほかに、以前は「ツベルクリン反応」という検査を行っていましたが、この検査は過去にBCGの予防接種を行った人も陽性になってしまうため、BCGの影響を受けない血液検査である「インターフェロンガンマ遊離試験」と呼ばれる検査が、現在の主流になってきています。しかし、「インターフェロンガンマ遊離試験」、1つだけでは、結核であるかどうかを断言できません。あくまで補助的な検査となります。

もっとも信頼できる喀痰検査

もっとも信頼できる検査は「喀痰検査(かくたんけんさ)」という検査です。喀痰検査には主に3種類あります。

1つ目は塗抹検査で、痰をスライドグラスに塗り付けて、結核菌だけが染まる染色を行って顕微鏡でチェックする方法です。ただし、結核と似た「非定型抗酸菌」という菌でも「陽性」という結果が出ることがあります。また結核菌の死骸でも陽性になることがあります。

2つ目は「核酸増幅法検査」というものです。これは遺伝子を増幅させて結核の遺伝子があるかどうかをみる方法で、非定型抗酸菌との区別も可能です。ただし、遺伝子をみるだけなので、結核菌の死骸でも陽性で出てしまいます。

一番確実な検査は「培養検査」です。これは痰の中の菌を培地で増やして肉眼で菌を確認する方法です。この検査では生きている結核菌だけが陽性で出るため、本当に治療が必要な人だけを見つけることができます。ただし、培養検査の結果は、判明までに最大で2か月かかるという弱点があります。

結核の検査費用はどれくらい?

自費の場合の概算を以下に示します。3割負担はこの30%、1割負担の方はこの10%の値段になります。また、実際にはこの検査費用に加えて初診料・再診料などがかかります。

胸部レントゲン(正面・側面):1940円
ツベルクリン反応:160円+(薬剤費)817円
インターフェロンガンマ遊離試験:6000円
喀痰塗抹検査:320円
喀痰核酸増幅法検査:4100円
喀痰培養検査:1500円

どの検査を何回行うかは、結核の可能性がどのくらいか、初発か再発か、緊急性があるかないかなどによるため、費用に不安がある人は検査を行う前に、医師らに聞いておきましょう。

結核の診断基準とは?

結核の明らかな診断基準はありません。通常は3回の喀痰培養検査を行い、すべて陰性であれば、少なくとも他人への感染力はないと判断されます。しかし、これは結核ではないと判断できるものではありません。ほかの病気であることが明らかにならない限り、そして結核が完全に否定できない限りは、時間をあけて繰り返し結核の検査を行うこともあります。もどかしく感じるかもしれませんが、結核の診断はとても難しいです。さらに、現在でも死亡する可能性があり、他人にうつす可能性のある病気でもあることは、覚えておきましょう。


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結核の検査についてご紹介しました。もしかして結核かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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