健康診断の法定項目と血液検査、尿検査の意味 追加も可?
- 作成:2016/04/19
健康診断には、法律で定められた「法定項目」があります。当然ですが、血液検査や尿検査は、病気を早めに発見するためのものです。追加できるオプション検査の内容と目的する病気などを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します
この記事の目安時間は3分です
健康診断の法定項目とはどんなもの?
定期健康診断は、「労働安全衛生法」という法律に基づく法定健診で、健診項目も法律によって義務付けられている法定項目となっています。以下の内容です。
1. 「診察など」の項目;①問診による既往歴や業務歴に加え、喫煙歴や服薬歴の調査 ②自覚症状や他覚症状の有無の検査 ③身体計測(40歳以上の人は腹囲も必須) ④視力および聴力検査 ⑤血圧測定
2. 胸部エックス線検査
3. 喀痰(かくたん)検査;胸部エックス線検査により肺に病変や結核発病のおそれがない時は省略できます。
4. 貧血検査;①ヘモグロビン(血色素)量 ②赤血球数
5. 肝機能検査;①GOT ②GPT ③γ-GTP
6. 血中脂質検査;①LDLコレステロール ②HDLコレステロール ③トリグリセライド(中性脂肪)
7. 血糖検査;①空腹時血糖 あるいは②ヘモグロビンA1c
8. 尿検査;①タンパク ②糖
9. 心電図検査
健康診断の血液検査の概要と目的
血液検査の主な内容は次のようになっています。
1. 貧血の検査;貧血の有無を知るためですが、全身状態をある程度つかむのにも役立ちます。
2. 肝機能の検査;主に肝臓の疾患の早期発見、肝臓の機能の経時的な変化を見ています。また、お酒や薬剤による肝臓の細胞へのダメージを知ることもできます。
3. 血中脂質の検査;脂質異常症(高脂血症)の早期発見とともに、動脈硬化のリスクがわかります。食事内容のかたより、お酒の飲みすぎなども推測できます。
4. 血糖の検査;糖尿病の有無ばかりでなく、血糖値のコントロールの状態を知ることができます。
法定健診の血液検査では、様々な制約から検査項目は限られています。病気の早期発見に関しては、病院などでさらに詳しい検査を行うきっかけとなる、疾患のスクリーニング(可能性のある人を探し出すこと、ふるいわけ)としての役割が重要です。また検査の中心は、乱れた食生活や飲酒などの生活習慣の是正や、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の予防に関するものです。健診受診者に、生活習慣と検査結果、病気の発症との関係を理解してもらい、生活習慣の改善に役立てもらうことも目的の1つです。
健康診断の尿検査の概要と目的
法定健診の尿検査は次の2項目です。
1. 尿タンパクの検査;腎臓や尿管などの障害の有無を調べるためのものです。尿にタンパクが出ていると「陽性」と判定されて、再検査となりますが、尿タンパクは腎機能の障害ではなく、生理的に起こっている場合があります。常に陽性という場合以外は問題となりません。
2. 尿糖の検査;尿糖が「陽性」となっても、必ずしも糖尿病とはいえませが、糖尿病の疑いを見つけ出すのに有用とされています。
尿検査の主な目的は、腎臓や尿道の病気、糖尿病のスクリーニングになります。特に尿糖検査は、2008年の改正で必須の検査項目とされました。理由は、血糖の検査だけでは把握(はあく)できない糖尿病の疑いのある人を、より正確に把握できるということです。血液検査と同様に、糖尿病という代表的な“生活習慣病”の予防に重点が置かれているようです。
法定項目以外の健康診断の項目(オプション検査)
一般的に健康診断では時間的な制約もあり、人間ドックほどオプション検査の項目を増やすわけにもいきません。総合健診において、しばしばスクリーニングとして追加されている法定項目以外の検査の主なもの紹介します。カッコ内は、検査の目的とする病気などです。
1. 生理機能検査;①眼底検査(動脈硬化、糖尿病)、②呼吸機能検査(慢性閉塞肺疾患<COPD)
2. 血液検査;①総蛋白(栄養状態)、アルブミン(肝臓障害の程度)、②尿酸(痛風)、③クレアチニン(腎機能障害)、④ペプシノーゲン(胃がん)
3. 尿や便の検体検査;①尿沈査(腎臓、尿路の異常)、②便潜血(大腸がん、ポリープ)
4. 画像検査;①上部消化管Ⅹ線検査(食道、胃、十二指腸の病気)、②腹部超音波検査(肝臓、胆のう、すい臓、腎臓の疾患)
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健康診断の項目についてご紹介しました。自覚書状に不安に感じている方や、検査を追加すべきかどうかなどの疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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