人間ドックとは?受ける意味、年齢、所要時間を解説 胃カメラは必須?

  • 作成:2015/12/22

人間ドックは、病気を早期発見するだけでなく、病気にならないようにする「予防」の観点から、近年重要視されています。受けるべき年齢については、遅すぎる早すぎるということはありませんし、最近は日帰りで済むものの増えてきています。具体的な受けるべき年齢やメニューを、医師の監修記事でわかりやすく解説します。

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人間ドック、何歳から受ける?

これまで、医療では病気を治す「治療」の医学が中心でした。最近、肥満、ダイエットをはじめとして「メタボ」という言葉をよく耳にしませんか?間違った生活習慣を改め、病気にならないようにする重要性から、「予防」の医学が注目されだしています。ガンの早期発見はもとより、「予防」の医学の観点から、人間ドックの意義もあらためて見直されているようです。

病気は、ある程度進行して自覚症状が現れますが、糖尿病、高血圧、高脂血症などの「生活習慣病」は、かなり進行しても自覚症状がありません。また、がんは自覚症状が出た段階では治療が極めて困難になっている場合も多いと言わざるをえません。自分では健康だと思っている(症状がない)うちに、病気を早期発見し、治療を早期に始めれば、治すことができるというのが、人間ドックを受ける意義となります。人間ドックは詳しい検査を多項目にわたって行うので、多くの病気の早期発見に効果があります。

受ける年齢としては、何歳だと早すぎるとか、遅すぎるということはありません。しかし、生活習慣病をはじめとする病気が増えてくる年代、35歳から40歳を超えたら、健診はもとより、人間ドックの受診を考えたほうが良いでしょう。

胃カメラは必須でない

日本人間ドック学会の推奨する基準検査メニューは(1)身体計測、(2)血圧、(3)心電図、(4)眼科検査、(5)聴力検査、(6)呼吸機能検査、(7)胸部X線、(8)上部消化管(食道、胃、十二指腸です)X線または内視鏡(胃カメラ)、(9)腹部超音波、(10)血液検査、(11)尿検査、(12)便潜血、(13)内科診察、と多岐にわたります。

オプション検査として(14)婦人科検診(乳がん、子宮がん)、(15)前立腺(PSA)検査、(16)C型肝炎抗体検査があります。上部消化管はバリウムによるX線検査を基本としているので、胃カメラが必須ということはないようです。

人間ドックの所要時間はどれくらい?

人間ドックの種類は、1日人間ドック、2日ドック、1泊ドックなどがあります。施設によって実施している内容は大きく変わりますので、必要な時間や費用もさまざまです。最近では、病院1泊型のドックよりも1日で済む外来型や総合健診型(病院からは独立した部門で行われている)のドックが増加しています。特に総合健診型の施設では、生活習慣病予防健診や一般健診も行われ、受診者数が増えているようです。

1日人間ドックでは、患者さんのライフスタイルに合わせて、実施時間を午前中で終了する設定や午後スタートなど豊富に設定しているところもあります。日本人間ドック学会で定める基準検査だけであれば、所要時間は3時間から4時間くらい、オプション検査として比較的時間のかからない数種類の血液検査をプラスしても5時間前後と、かなり効率的に行われているようです。どうしても時間のかかる糖尿病の精密検査や脳ドッグなどのオプションがある場合は、2日に分けることが多いようです。

定期健診は重要、ぜひ受けよう

健康診断(健診)の目的は2つの予防です。1つは健診の結果から生活習慣を改善し、病気を予防すること(1次予防)です。自分自身の生活習慣の問題点を自覚し、改善に取り組むきっかけになります。もう1つは病気を早期発見し、早期治療につなげること(2次予防)です。2次予防に関しては、多項目の詳しい検査のある人間ドックが、さらに有用です。

企業には法律で1年ごとに1回以上実施するものとして定期健診が義務付けられています。「面倒だから」「時間がない」という理由で、健診を受けたり受けなかったりしている人もいるようですが、健診はただ受けるだけでなく、毎年継続して受けることに大きな意味があります。定期的に健診を受ければ、以前の状態との比較で変化を見つけることが可能です。定期健診は、その結果から生活習慣を見直し、病気を予防する健康生活への改善に生かすこと(1次予防)において、ますます重要性が認識されています。


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