Q熱の原因、感染経路、症状、治療、再発可能性、予防 ペットが危険?診断が難しい?

  • 作成:2016/09/28

Q熱とは、変わった名前ですが、人と獣の両方に感染する病気の1種です。インフルエンザなどの感染症と症状が似ている部分がある上、日本では珍しい病気ですので、診断が難しいケースがあります。症状や治療、予防方法などを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

Q熱の原因、感染経路

Q熱とは「コクシエラ菌」という菌の感染によって起こる感染症です。変わった名称ですが、これは英語の「Query Fever (不明熱)」から来ているちゃんとした病名です。

人間と動物の双方に感染する「人獣共通感染症」の1種で、Q熱の主な感染経路はペットや家畜の糞尿・乳となっています。コクシエラ菌は感染力が強く、僅かな細菌でも感染するため危険です。また、乾燥にも強く、糞尿に直接触れていなくとも乾燥した糞尿が粉塵になって空気中に舞い、それを吸入するだけでも感染します。人から人へ感染することもありますが、基本的には糞尿や乳に含まれるだけなので気をつけていれば滅多に起こりません。

長い間、日本ではまれな疾患だと考えられていたため知名度が極めて低く、適切な診断を行える病院が多くないのが実情です。実際に感染してしまった場合、原因不明の熱やその他の感染症と判断されて適切な治療が行われないことも考えられるため、注意が必要でしょう。

Q熱の症状

Q熱では、インフルエンザのように頭痛・筋肉痛・全身倦怠感・喉頭痛などの感染症特有の症状と共に、高熱が出ます。多くのケースでこの症状は1週間程度で自然回復しますが、注意が必要なのは最初の症状が回復したあとです。

完全に治癒している場合には当然問題はありません。ただ、細菌が体の中に残って症状が慢性化してしまった場合、発熱はほとんど伴わないものの強い倦怠感や不眠などの症状が現れ、場合によっては一種のうつ病のような症状となります。この段階では感染症らしい症状がほとんど現れないため、病院に行っても感染症の症状だとは判断されない事が多いです。また、精神疾患と診断されてしまうことがあり、適切な治療が施されないと、症状がなかなか収まりません。

この慢性化している段階でも、コクシエラ菌は活動を続けており、放置すると感染が骨髄や心臓にまで広がり、「骨髄炎」や「心内膜炎」を発症することがあります。骨髄などに炎症が起きる状態になると、命にかかわるため、「風邪を引いてから倦怠感がずっと取れない」という場合、Q熱の可能性が否定できません。

「Q熱かも」 何科にいく?

症状としては内科になりますが、珍しい病気なので特定できないこともあります。慢性化した場合には精神科を勧められる可能性もありますが、Q熱の診断や治療にはふさわしくありません。精神疾患を疑われた場合、「風邪がきっかけ」ということを強調すれば、Q熱の診断につながる可能性があります。血液検査で必ず判明するというわけではなく、「Q熱かどうかを調べる検査」が必要になります。「Q熱の可能性はないのか」という相談をしてみるのも1つの考え方です。

Q熱の治療

Q熱の治療には抗生物質を使います。ただ、Q熱では慢性化のリスクが高いため、2週間から3週間と長期に渡って抗生物質を服用することがほとんどです。また、慢性化してしまった場合には、別の抗生物質を併用することもあります。治療自体はそれほど難しいわけではありませんが、Q熱特有の症状などがあまりなく、まれな感染症なので、特定が非常に困難になる可能性があります。特定には血液検査が必要ですが、日本ではQ熱の検査ができる病院が少なく、医師もQ熱を疑わない事が多いです。基本的には動物との接触がきっかけになりますので、何らかの形で動物に接触した場合には、医師に報告するようにしましょう。

Q熱の再発可能性

Q熱は、一旦自然治癒すると抗体ができる病気ですので、再発はしません。また、この抗体を調べることで過去にQ熱に感染したかどうかが分かります。Q熱が疑われた場合には、ペットなどの血液に抗体があるかないかを調べることで、感染源が特定しやすくなると考えられます。

Q熱の予防

予防についてですが、Q熱にはワクチンが存在しますが、日本でワクチンは一般的に使われていません。オーストラリアから取り寄せる形になります。どうしても心配な場合は受けることが可能ですが、保険適用外ですので自己負担となります。

ワクチン以外で、基本的な予防法としては、動物の糞尿の管理には細心の注意を払い、生乳や生肉の摂取は控えるということが考えられます。

Q熱についてご紹介しました。原因のわからない体調不良が長引き、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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