皮膚がんの疑問 ほくろ、皮下出血との見分け方は?転移する?形でもわかる?

  • 作成:2016/07/15

皮膚は体の見える部分にできますので、「これはがんなのではないか」と疑ってしまう場合があるかと思います。どのような場合にがんを疑えば良いのかや、ほくろ・皮下出血との見分け方、転移の可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です


皮膚がんの特徴
皮膚がんと、ほくろなどの良性腫瘍などとの見分け方
皮膚がんと皮下出血の見分け方
皮膚がんは形で見分けられる可能性も
皮膚がんは転移しやすい?転移しやすい場所がある?

皮膚がんの特徴

皮膚には様々な病気がありますが、短期間で自然に治るもの、薬を飲むと治るもの、薬を塗ると治るものがあります。ただ、「自然に治らない」「薬を使っても治らない」経過でない時には、腫瘍性の病気を考える必要があり、そのうちの一部が悪性で皮膚がんです。皮膚がんの一部は進行が早いので、数カ月の単位で症状が悪化しますが、進行が遅い皮膚がんは、ほとんど変わらないように見えます。

急速に悪化する病気だけではなく、「何をしても変わらない」皮膚病にも気をつける必要があります。「湿疹だろう」と思って薬を塗っていても治らないものの中に皮膚がんが混じっているのです。隆起(ふくれること)や出血するような傷がないからといって、皮膚がんではないとは言えません。気になる皮膚の変化がある時には、ぜひ皮膚科を受診してください。

皮膚がんと、ほくろなどの良性腫瘍などとの見分け方

がん細胞は、無秩序にどんどん増えていくという性質がありますから、徐々にでも大きくなる傾向のある腫瘍は悪性、すなわちがんである可能性があります。ウイルスが原因となるイボなどでは、急にできて、急に大きくなることがありますから、サイズが大きいから皮膚がんであるということではありませんが、サイズの大きなものには注意しておくことが必要です。また、長い間一定の大きさであった腫瘍が急に大きくなって来た時には、良性の腫瘍が悪性化したということがあります。そのような時には皮膚科を受診するようにしましょう。

皮膚がんと皮下出血の見分け方

足の裏や爪の下には、時々皮下の出血を起こしたために、黒くみえる領域ができることがあります。皮下出血は砂粒を踏んだり、山を歩くことなどで起こることがあります。皮下出血を起こした時には痛みはないことが多いので、気が付きません。このため、ある日突然、足の裏や爪の下に黒い領域ができていることに気がついて怖くなるということになります。

皮下出血かどうかは、皮膚科で「デルモスコープ」と呼ばれる検査を受けるとすぐに分かりますが、自宅で数週間様子を見てもはっきりします。皮下出血の場合は、足底の黒い色は消え、爪の下の黒い色の領域は爪が伸びるのに合わせて前の方に少しずつ移動して、爪の根本の部分には正常の色の部分が見えてきます。もし、黒い色がメラノーマのためである場合には、数週間で消えることはありません。

皮膚がんは形で見分けられる可能性も

正常の細胞や良性腫瘍の細胞は一定の規則に従って増殖していますが、がん細胞は無秩序に増えていくという特徴を持っています。皮膚がんの細胞は、増えていく時の方向性もバラバラですから、皮膚がんの形はいびつな形になりがちです。良性の腫瘍はきれいな円形、球形や楕円形であることが多いのですが、皮膚がんでは腫瘍の一部がくびれていたりして、いびつな形となり、左右対称ではないことが多いのです。また表面にも凹凸ができていることがあります。したがって小さな腫瘍でも、形がいびつなものや、表面に凹凸のあるものは皮膚科を受診して診断を受けることが大切です。

皮膚がんの細胞は互いにくっつくという性質が弱くなっています。がんが転移するのはそのためですが、傷になりやすいという性質もそのためです。皮膚がんでは良性腫瘍に比べて、傷ができるとなかなか治らないとか、ささいな事ですぐ傷になるという性質があります。腫瘍から時々出血するというようなことがあれば早めに受診するようにしましょう。

皮膚がんは転移しやすい?転移しやすい場所がある?

皮膚がんはリンパ節や内臓に転移することがあります。転移がなければ、皮膚の病変を切除することで治癒しますから、転移の有無で治療成績は大きく変わります。転移しやすいかどうかは、皮膚がんの種類により決まっています。

メラノーマ→早期から転移しやすい皮膚がんとしてよく知られており、1cmほどの大きさでもリンパ節や肺や肝臓に転移することがあります。手術をする前に転移の有無について十分な検査を行います。

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん、扁平上皮癌)→大きなものになると、まず腫瘍の近くにあるリンパ節に転移し、さらに進行すると肺などに転移することがあります。なお、有棘細胞癌の前段階である「ボーエン病」や「日光角化症」は、進行して有棘細胞癌になっていなければ、悪性の細胞は、血管やリンパ管の存在しない表皮(皮膚の表面部分)に限定的に分布していますから、転移することはありません。

パジェット病→ある程度進行すると、まず近くにあるリンパ節に転移することが多いので転移についての検査が必要です。

基底細胞癌→転移することは稀で、数センチの大きさになっても腫瘍を切除すれば治癒することがほとんどです。


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皮膚がんの転移可能性や、ほくろ・皮下出血などとの見分け方などについてご紹介しました。皮膚の異変に「がんなのでは?」と、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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