8種類の皮膚がんの概要 メラノーマ、基底細胞癌、カポジ肉腫等を解説

  • 作成:2016/07/15

一言で、「皮膚がん」といっても、多様な種類があるのが現実です。メラノーマからカポジ肉腫まで、8種類の皮膚がんを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です


皮膚がんの種類はたくさんある?
メラノーマとは?
基底細胞癌とは?
有棘細胞癌とは?
パジェット病とは?
隆起性皮膚線維肉腫とは?
血管肉腫とは?
カポジ肉腫とは?
菌状息肉症とは?

皮膚がんの種類はたくさんある?

皮膚がんというのは、文字通り「皮膚にできる癌」ということです。皮膚にはいろいろな種類の細胞が存在しているため、皮膚のどの種類の細胞が癌になったかということで、癌の特徴が違ってきます。ここでは比較的頻度の高い皮膚がんを個別に紹介します。

メラノーマとは?

皮膚がんで、最も注目されているのは「メラノサイト」というメラニン色素を作る細胞ががん化した「メラノーマ(悪性黒色腫)」です。メラノーマは、いわゆる「ほくろの癌」で、早期から、別の部位に転移しやすく、治療成績が悪い(治療がうまくいかない)ことでよく知られています。メラノーマの発症は近年増加してきており、その増加傾向は世界的にも確認されています。

メラノーマは、全身どこの皮膚にもできるのですが、「手足の指」「足の裏」「外陰部」に比較的よくできます。爪の下にもできることがあり、爪の下がいつまでも黒くなっている場合は、実はメラノーマであることがあります。メラノーマは1センチくらいの長さで平坦な黒い色素斑のように小さな段階でも、内臓やリンパ節に転移することがあります。

メラノーマが転移を起こすと治療が極めて難しくなりますから、早期発見がとても大切です。いびつな形のシミやホクロ、老人性のイボのように見えるものの中にメラノーマが混じっているのです。なおメラノーマは黒っぽい色調であることが多いのですが、まれには黒い色素が全くなく赤色調であることもあり、そのような場合にはさらに診断が難しくなります。

基底細胞癌とは?

「基底細胞癌」は、黒い色で少し隆起していることが多く、外見がメラノーマに似ていることもあります。しかし、基底細胞癌はメラノーマとは全く性質が違っており、転移することは極めてまれで、命に関わるということはほとんどありません。しかし、放置しておくと潰瘍が生じて出血するようになって、どんどん深い部分へ進行して骨にまで到達することがあります。基底細胞癌は顔面に発生することが多く、手足に生じることはまれです。目の周りや鼻などにできた場合、手術を受けることによって「外見上の問題が生じる」と心配する方もあるようですが、手術に熟練した皮膚科医や形成外科医は、術後の外見を綺麗に仕上げることも目標の1つとして手術を行っています。

有棘細胞癌とは?

「有棘(ゆうきょく)細胞癌(扁平上皮癌)」は角質を作る「表皮」と言われる部分の細胞の癌です。隆起していることが多いのですが、隆起がほとんどなく、くぼんだ潰瘍の状態で出血する傷となっていることもあります。有棘細胞癌は2cm程度の大きさになるとまずリンパ節に、その後肺などに転移することがあります。有棘細胞癌は紫外線が発症に関与していることが多いため、高齢者の顔面や手の甲など長い間日光にさらされてきた部位にできやすいことがわかっています。しかし日光に当たらない外陰部や肛門周囲などにも生じることがあり、そのような部位の有棘細胞癌ではイボを作るパピローマウイルスとの関連が指摘されています。また有棘細胞癌は放射線を当てた部位に生じることもあります。

パジェット病とは?

外陰部(性器の周辺)やわきにできることの多い「パジェット病(ページェット病)」という名前の皮膚がんもあります。初期の段階では、外見が湿疹やカビの感染症にとても似ています。また少しかゆみがあることもあるので、湿疹やカビの感染症と思ってしまうことがよくあります。微妙な病変で単に色が抜けて白く見えるだけということもありますので、治療のしやすい初期には見逃されていることが多いのです。

パジェット病は、数年経過して、潰瘍ができたり一部が少し隆起するような段階になるとリンパ節に転移して治療が難しくなることがあります。なお、パジェット病は周囲にどこまで広がっているのかを見極めることがとても難しいことが多く、手術の前に周辺部を念入りに調べることになります。なお乳房部にできるパジェット病は乳癌に関連した病態で、皮膚科の領域ではなく、外科の担当領域となります。皮膚のパジェット病については、https://www.askdoctors.jp/articles/200365で詳しく解説しています。

隆起性皮膚線維肉腫とは?

皮下から出てくる皮膚がんもあります。「隆起性皮膚線維肉腫」もその一つです。これは、皮下の繊維を作る細胞が悪性化したもので、不規則な形で、コブ状に皮膚が隆起して少しずつ増大してきますが、表面の皮膚に潰瘍ができることはまれです。他の部分へ転移をすることは少ないのですが、切除が不十分な場合、同じ所に再発を繰り返すことがあり、再発のたびに悪性度が増していきます。

血管肉腫とは?

血管肉腫は、高齢者の頭部にできることが多い悪性腫瘍です。皮膚の血管の細胞から生じたもので、赤黒い色の領域が頭部に生じ、やがて出血するようになります。隆起はあまり目立たず、周囲に広がって肺などに転移します。治療が難しいことで知られています。

カポジ肉腫とは?

カポジ肉腫も血管の細胞からできた悪性腫瘍です。カポジ肉腫は、エイズの時にできやすいことで有名ですが、エイズとは無関係に生じるタイプもあり下腿(もも)に、点々と赤黒い領域が多発してきます。

菌状息肉症とは?

菌状息肉症は、リンパ系の悪性腫瘍の一つです。まず背部から臀部、腹部などの皮膚に生じてくることが多いのですが、初期ではカサカサとした湿疹に似た症状となります。少しかゆみがあることもあり、症状が湿疹に似ていますから、「痒みが少ないので気にならない」と思ってしまい、長期間見過ごしてしまうもあります。「菌状息肉症」は悪性度があまり高くないため、長い間、気にならないような状態が継続することもあります。ゆっくり進行している場合でも、初期には強力なステロイドを塗ると改善する傾向があります。数年放置しているような場合では、やがて隆起し、全身のリンパ節にまで広がることがあります。


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8種類の皮膚がんの概要についてご紹介しました。皮膚の異変に「がんなのでは?」と、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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