皮膚がんの原因、(初期)症状、できる場所 痛みやかゆみあり?
- 作成:2016/07/15
皮膚がんは他のがん同様、細胞の遺伝子に傷ができることでおきます。5種類の皮膚がんの初期症状や、できる場所、いたみやかゆみの有無を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
皮膚がんの原因
皮膚がんに初期症状や前兆はある?
皮膚がんの症状はどんなもの?痛みやかゆみがある?
皮膚がんができるのはどこ?顔?背中?足?
皮膚がんの原因
皮膚がんは、皮膚の細胞の遺伝子に「傷」ができたあと、うまく治すことができなかったことにより、発生します。遺伝子の「傷」は紫外線、放射線、化学物質、活性酸素、ウイルス感染など様々な理由で生じます。遺伝子に傷がつくようなことは、日常的に避けがたいことですから、完全に避けようとする必要はありません。というのは、そもそも人の細胞には、遺伝子の「傷」を治す働きがあるからです。遺伝子の「傷」は通常修復されているのですが、不運にもうまく治せなかった時にだけ、がんが発生するのです。
がんには様々な要因があり、放射線や化学物質は多様ながんの原因になりますが、紫外線は内臓のがんには無関係で、皮膚がんに特有の要因となります。日光にあたることは皮膚でビタミンDを合成するために必要なことなのですが、過度な日焼けにはメリットがありません。子供の頃から帽子、衣服、日傘、日焼け止めなどを使う習慣を身につけて、過度な日焼けを避けるようにしましょう。
皮膚がんに初期症状や前兆はある?
どの癌でも早期発見が望ましいことは、言うまでもありません。本来、皮膚がんは目で見えるところにできますから、早期発見は容易なはずです。しかし、不幸なことに皮膚がんがかなり進行してから受診される方も多いのです。これは、皮膚がんの初期症状を見つけることができないためか、見つけても「がん」とは考えないためかもしれません。次のようなことに気がついたら、皮膚科を受診して相談してみることが皮膚がんの早期発見に役立つでしょう。
【メラノーマ】隆起のない(ふくれていない)黒い「シミ」が、メラノーマの初期症状であることがあります。メラノーマは、手足の指、爪の下、足の裏や外陰部(性器周辺)に比較的多いのですが、全身どこにでもできることがあります。メラノーマは普通のシミと違って不規則な形であったり、色に濃淡があるのが特徴です。1センチの程度の変わった「シミ」に気がついて、かつ「半年前にはなかったのに」と感じれば、受診のタイミングと言えます。
また、メラノーマは、初期から軽くイボ状に隆起していることもあります。よく見ると、隆起した部分の周辺に、黒い色がしみだした領域があることがあります。この「しみだし」は老化のイボにはなく、メラノーマの特徴とされています。
【パジェット病】
全く隆起がなく、色だけが抜けて白くなっている病変が、パジェット病の初期症状であることがあります。パジェット病は外陰部とわきに多いので、鏡などを使ってよく見てください。外陰部やわきに、色が白っぽいところがあれば一度受診してください。
【基底細胞癌】
顔のわずかに隆起した褐色、もしくは黒褐色の小さな腫瘍で、「イボやホクロかな」と思っているものが、「基底細胞癌」であることがあります。中年以降に生じてきたものは基底細胞癌かもしれません。特に、時々、腫瘍部分から出血するという場合には要注意です。顔は皮膚に余裕のなく広がりづらい部位もありますから、5mm程度の大きさならば、受診してみてください。
【有棘細胞癌】
(1)高齢者で顔や腕に赤みがかったシミがあり、少しかさぶたが付くような時には、「日光角化症」かも知れません。日光角化症は小さいころから、日光にあたることを繰り返したことが誘引となって発生します。日光角化症は進行すると有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん、扁平上皮癌)となります。日光角化症は顔や腕の皮膚の日に当たる部位に多発していることが多いようです。
(2)高齢者で「イボ」がある領域にかたまって多発している時には「ボーエン病」であることもあります。余り隆起がなくて、表面がザラザラしているだけで湿疹のように見えることもありますから、湿疹の薬で様子をみておこうと考えることもあるかもしれません。しかし、ボーエン病は湿疹の塗り薬では改善せず、しばらくたって進行してしまうと有棘細胞癌(扁平上皮癌)となります。
(3)傷が長い間どうしても治らない場合、その傷も有棘細胞癌(扁平上皮癌)であることがあります。何年も前のやけどの傷が治らないという時などに注意が必要です。
【菌状息肉症】
数年前からカサカサした湿疹が腰から背部、腹部にあって湿疹の薬を塗っても治らないと思っていたら、実は「菌状息肉症」というリンパ系の悪性腫瘍の初期症状であったということがあります。菌状息肉症では、少しかゆみがある場合があり、ステロイド外用剤を塗ると痒みがなくなることはありますが、ステロイド外用剤で完治することはありません。
皮膚がんの症状はどんなもの?痛みやかゆみがある?
通常、皮膚がんには痛みやかゆみがありません。これは皮膚がんを発見する大きな手がかりになることがあります。外陰部に「湿疹」や「カンジダ」や「タムシ」ができて、薬を使っても治らない時に「かゆくないので大丈夫」と思うのは間違いです。かゆみがないからこそ受診することが必要なのです。
ある程度皮膚がんが進行してくるとほとんどの場合、隆起(ふくれること)してきますが、「隆起してこないから皮膚がんではない」というのも正しい考えではありません。メラノーマやパジェット病という種類の皮膚がんでは、かなり進行した状態でも、ほとんど隆起がないことがあります。また、隆起がない時こそ早期発見で、治療するチャンスなのです。皮膚の一部に「白い」「黒い」「赤黒い」など周囲とは色が違っている部分があり、数カ月様子を見てもほとんど変わらないというのが皮膚がんの症状であることがあるのです。
皮膚がんが進行すると皮膚に潰瘍(かいよう)ができて、出血する傷となることがあります。ほとんど隆起せずにくぼんだ傷となる皮膚がんもあります。傷に痛みはなくても、傷が治らないということ自体が皮膚がんの症状であるかもしれないことは、覚えておくとよいでしょう。
皮膚がんができるのはどこ?顔?背中?足?
皮膚がんの種類によってできやすい部位がそれぞれ決まっています。
基底細胞癌→顔に多く、手足にはほとんどできない
メラノーマ→手足の指や足の裏、外陰部(性器周辺)にできやすい
パジェット病→ほとんどが外陰部と脇の下に発生
有棘細胞癌(ゆうきょうくさいぼうがん、扁平上皮癌)→「日光角化症」という病気からは進行する。名前の通り、日光により誘発されたもので、日に当たることの多い顔や前腕によく発生
血管肉腫→頭部にできることが多い
菌状息肉症→リンパ系の皮膚がん。背中から臀部、腹部に始まることが多い
皮膚がんには多くの種類があり、それぞれよくできる部位が違っています。また、各種類の皮膚がんは、まれな部位にできることもありますから、皮膚がんは皮膚のどの部分にもできるということになります。
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皮膚がんの原因や症状、できる場所などについてご紹介しました。皮膚の異変に「がんなのでは?」と、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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