慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状とセルフチェック 初期の特徴は?呼吸音、痰、末期の状態、合併症も解説
- 作成:2016/08/16
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期症状は咳や痰ですが、それぞれ特徴があります。呼吸音については、聴診器で聞けばわかりますが、自覚は難しいといえます。セルフチェックの項目や、末期の状態や合併症を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
目次
COPDには初期症状、セルフチェック項目はある?どんなもの?
COPDの初期症状は咳や痰です。日常的に、咳や痰が出るようになり、なんとなく風邪が治りにくくなったと感じる方もいるようです。放置すると少しずつ咳や痰が悪化し、次第に息切れの症状が現れます。階段を上るだけで息切れがしたり、少しの距離を歩くだけで息切れがするようになります。「タバコのせいだと思うけど、タバコをやめればすぐに治る」「年のせい」などと軽く考え、放置してしまうと次第にCOPDは進行し、最重症例になると、自宅で酸素吸入を行う在宅酸素療法を行わなければなりません。
COPDかもしれない、と思った場合には以下のセルフチェック表を使用してみましょう。
【COPDセルフチェック】
出展:田辺製薬販売株式会社のホームページより
https://www.tanabe.co.jp/general/generic-plus/medicine_illness/ohanashi_39.html
*以下のセルフチェックで17点以上の場合はCOPDの可能性があります。
【1.年齢】
40歳から49歳 →0点
50歳から59歳 →4点
60歳から69歳 →8点
70歳以上 →10点
【2.Pack・year(1日の喫煙本数(箱)×喫煙年数)】
0-14 Pack・year →0点
15-24 Pack・year →2点
25-49 Pack・year →3点
50 Pack・year以上 →7点
【3.BMI(体重(kg)/身長(m)2 )】
BMIが25.4未満 →5点
BMIが25.4から29.7 →1点
BMIが29.7以上 →0点
【4.天候により咳がひどくなる】
はい→3点
いいえ(天候に関係なく咳が出る)→0点
咳は出ない→0点
【5.風邪を引いていないのに痰がからむことが良くある】
はい→3点
いいえ→0点
【6.朝起きてすぐに痰がからむことが良くある】
はい→0点
いいえ→3点
【7.喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー) が良くある】
いいえ→0点
時々、もしくは良くある→4点
【8.現在、または今までにアレルギーがある】
はい→0点
いいえ→3点
COPDは初期に発見し、禁煙を行うことで少しずつ症状が改善する可能性があります。セルフチェックを行い、合計が17点以上の方はCOPDの可能性があるため近くの呼吸器科を探して、受診しましょう。また喫煙者の方で最近なんとなく咳が多い、痰がからむと感じる方は病院で検査を受けたり、禁煙する必要があります。
COPDの症状 呼吸音や痰に特徴がある?
COPDの症状は初期には咳、痰で始まり、次第に息切れが加わります。放置すると咳、痰、息切れは次第に悪化し、末期になると呼吸が苦しいためにベッドから起き上がる事ができず、寝たきりになってしまいます。
【呼吸音】
COPDの初期から中期の場合、呼吸音に異常はみられません。正確には、病院の診察などに使用される聴診器を使用して呼吸音を聞くと、細い気管支に痰がからんで「ヒューヒュー」「ピー」というような雑音が聞かれる場合がありますが、聴診器を使用しないと聞こえない音のため、患者さん本人は自覚できません。また、肺の組織に水がたまっている場合は、呼吸に合わせて、「バリバリ」とマジックテープをはがす時に似た音が聞こえる場合があります。ただ、この音も聴診器を使用した時だけ聞こえる音です。
【喘鳴】
COPDが進行すると「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれる特徴的な呼吸音がするようになります。喘鳴とは。「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」というような呼吸音で、聴診器を使用しなくても聞こえる場合があります。COPDで聴診器を使用しなくても喘鳴が聞こえる場合は、かなり進行していると考えなければなりません。
【痰】
また、COPDの患者さんでは初期から痰の増加がみられますが、COPDの場合の痰は白っぽくうすい痰がみられることが特徴です。痰の色には様々な種類があり、黄色い痰が出る場合は感染症、赤い痰は血液の混入などが考えられます。COPDでも感染症を併発した場合は痰の色が黄色くなる場合があります。
COPDの末期症状とは?
末期のCOPDでは痰や呼吸困難が非常に強くなり、食事や横になって寝ているだけでも非常な息苦しさを感じます。寝たきりとなり、酸素マスクで酸素を投与しなければなりませんが、酸素投与によっても呼吸困難が完全になくなることはなく、少しでも身動きするだけで喘鳴がしてゼイゼイと息が苦しくなります。
COPDで呼吸が苦しくなると、呼吸することにも体力を使うため、どんどん痩せてしまいます。すると呼吸が更に苦しくなって体力を使うため、またやせて・・といった風に悪循環になってしまうのです。この悪循環を改善する方法は現在まだ発見されておらず、酸素マスクで呼吸しつつ、体力が衰えて死に至る状態を継続するしかありません。
また末期のCOPDの患者さんの多くは心臓病や糖尿病、高血圧、腎臓病などを合併しており、これらの合併症の状態によって亡くなる場合も多いため、日ごろから治療を受け、体調管理について注意しなければなりません。
COPDの合併症 肺炎や心不全?他には?
COPDの影響は肺だけでなく全身に及ぶということが分かっています。肺に生じた炎症が全身に及ぶ具体的なメカニズムはまだ十分に解明されたわけではありませんが、実際、COPDの人では、肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、がん(肺がんだけでなく他の臓器のがんも含めて)、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症、うつ病などの他の病気にかかる割合が、COPDのない人と比べて有意に高いことがわかっています。つまりCOPDとは、肺だけではなく全身に炎症を起こし、様々な病気のもととなる重大な病気と言うことができるのです。
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状やセルフチェックなどについてご紹介しました。咳が続くなどして、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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