症状が和らいだら、抗生物質の服用やめてもいい?【医師監修】
- 作成:2021/07/21
病院で抗生物質(抗菌薬)を5日分処方されたけど、3日目くらいに症状は落ち着いてきた・・・そんな時はもう薬を飲まなくても良いのでは?と感じることもあるかもしれません。しかし、独断は禁物。今回は抗生物質の服用ストップのタイミングについて解説します。
この記事の目安時間は3分です
Q.病院で処方された抗生物質、症状が治まったらもう飲まなくて良い?
A.処方された期間、最後まで薬を飲みきるようにしてください。
医師から処方された抗生物質(抗菌薬)、症状が治まったからといって途中で飲むのをやめてしまうと、退治しきれなかった細菌が増えて症状をぶり返したり、あるいはその薬が効きにくい細菌=耐性菌を生み出してしまったりする原因になります。
最後まで飲みきって、細菌を完全に退治してしまうことが大事
抗生物質(抗菌薬)は、人間に悪さをする病原体のうち、細菌を退治する薬です。そのため、医師から抗菌薬を処方されたということは、その体調不調は何らかの細菌に感染していることが原因と診断された、ということを意味します。この細菌を討ち漏らすことなく完全に退治してしまうためには、医師から処方された抗菌薬は用法用量を守り、しっかりと最後まで飲みきることが大切です。
というのも抗菌薬というのは、どんな細菌に感染している際に、どのくらいの量で、どのくらいの期間を飲めばしっかりと治療できるか、といったことが事細かに決まっているからです。症状が落ち着いてきたからといって、その適切な薬の選択、適切な薬の量、適切な期間からズレた使い方をしてしまうと、しっかりと細菌を退治し切ることができません。細菌をしっかりと退治できないと、今の感染症をちゃんと治療できないだけでなく、その薬が効きにくい細菌(耐性菌)ができてしまう原因にもなります。
治療に使える抗菌薬の種類は数や種類が限られています。耐性菌をどんどん生み出していると、いずれ「どんな薬も効かない」という状況になってしまいますので、ひとりひとりが「薬の用法用量を守って使う」「処方された薬は最後まで飲みきる」といったことを心がけることが重要です。
薬を飲んでいて体調に異変を感じたときも、自己判断するのではなく医師に相談を
医師から処方された抗菌薬を飲んでいて、水のようなひどい下痢になったとき、血便が出るとき、全身に痒みが現れたとき、目や口・鼻・喉などの粘膜に違和感があるとき、息苦しさを感じたときなどは、薬の強い副作用やアレルギーを疑う必要があります。こういった場合は、抗菌薬は最後まで飲みきるのではなく、薬の中止や切り替えを考える必要があります。ただし、この場合も「副作用っぽいから薬を飲むのは止めよう」と自己判断するのではなく、「こういう症状が現れたが、どうすれば良いか」ということを医師に伝え、その後の対応を相談するようにしてください。
飲み残した抗菌薬を、自己判断で使うこともしない
何かの拍子で処方された抗菌薬を飲み残した場合、その薬は廃棄するようにしてください。ときどき、こうして飲み残した薬を「次に使おう」と保管しておく方がおられますが、先述の通り、抗菌薬は感染症の原因となっている細菌の種類によって明確に使い分ける必要があります。似たような症状であっても、前回と同じ薬が適しているとは限りませんし、飲み残した薬の量では治療が完了するまで薬を飲み続けることもできません。つまり、自己判断で中途半端な使い方をすると、大した治療効果は得られず、副作用や耐性菌のリスクだけを負うことになってしまう、ということです。
更に、こうした医師・薬剤師の指示から外れた自己流の使い方をした場合、万が一大きな副作用に見舞われた場合でも、「副作用被害救済制度」による補償を受けられない可能性がある、という点にも注意が必要です。
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