子どもの1日3回の薬、「お昼」に飲めない場合はどうすれば良い?
- 作成:2021/12/09
子どもの薬を、1日3回毎食後に 飲むように指示された場合、幼稚園や保育所に行っている時間帯の「昼食後」の薬をどうすれば良いか、悩む親御さんも多いと思います。このとき、自己判断で1日2回に飲み方を変えてしまったり、あるいは朝や夕にまとめて2回分を飲んでしまったり・・・といったことをされる方もおられますが、こうした自己判断による飲み方は、薬がきちんと効かなくなるだけでなく、思わぬ副作用の原因にもなります。 薬の種類によっては、「昼食後」にこだわる必要のないものもありますので、「お昼の薬を飲むタイミングが難しくて困っている」という旨を、ぜひ薬局で薬剤師に相談してください。
この記事の目安時間は3分です
薬の飲み方を勝手に変えてはいけない理由~薬の「用法・用量」は何のためにあるのか
一般的に、薬を飲むと薬の有効成分は血液中に吸収され、全身を巡ってその効果を発揮します。このとき、血液中の薬の濃度は、適切な高さに保つ必要があります。もし薬の濃度が低すぎれば薬は本来の効果を発揮せず、薬の濃度が高すぎれば、中毒症状を起こしてしまうことになるからです。薬を安全かつ効果的に使うためには、この“血液中の薬の濃度が適切になるような使い方”をする必要があります。これが「用法・用量」で定められた使い方です。
そのため、医師や薬剤師から指示されたものとは異なる使い方、自己判断で薬の飲み方を変えてしまうと、薬の効果が十分に発揮されず病気の治療に支障を来たしたり、本来は起こらなかったような副作用を起こしたりする原因になります。
特に、子どもで使うことの多い抗生物質・抗菌薬(※細菌を退治する薬)は、薬のタイプによって、少しずつこまめに飲んだ方がよく効くものと、1日の薬をできるだけ1回にまとめて飲んだ方がよく効くものとがあります。抗生物質・抗菌薬の飲み方を下手に変えてしまうと、しっかりと細菌を退治できず、薬が効きにくい「耐性菌」を生み出す原因にもなりますので、非常に危険です。
「食後」でなくても良い薬もある~1日3回のタイミングのとり方
通常、薬を飲むタイミングは「食後」とされているものが多いです。これには、食後に服用した方が吸収されやすい、胃への負担が少ない、といった明確な理由があるものもありますが、中には「食後が一番飲み忘れないから」という理由のものもあります。前者の場合、「食後」以外のタイミングで薬を飲むのは避けた方が良いですが、後者の場合は、必ずしも「食後」でなければならないというわけではありません。実際、子どもの薬には「食後」でなくても良い薬もたくさんあります。
そのような薬の場合、「1日3回毎食後」で処方された薬は、「約6~8時間おき」で服用することもできます。たとえば、「朝食後(7時頃)、幼稚園や保育所から帰ってきたとき(16時頃)、寝る前(21時頃)」の3回で服用する、といったような方法です。幼稚園や保育所に行っている時間帯には薬を飲ませることができない・・・という場合には、飲んでいる薬の種類によってはこうした変則的な対応ができることもあるため、薬局などで薬剤師にその旨を相談してもらえたらと思います。
自己判断で、薬の飲み方を変えたり、薬に手を加えたりしないように
子どもにきちんと薬を飲ませる、という作業はかなり大変なことです。用法・用量の通りに飲ませられない、薬の味や匂いを嫌がって飲んでくれない・・・そんな時には、1日分の薬をまとめて飲ませてしまう、錠剤を潰して粉にしてしまう、粉薬をジュースに溶かしてしまう、といったことを試したくなるかもしれません。
しかし、用法・用量から外れた使い方をしたり、薬に手を加えたりすると、きちんと病気を治療できなかったり、思わぬ副作用を起こしたりするリスクが高くなります。場合によっては、薬が余計に飲みづらくなってしまうこともあります。
そのため、自己判断で薬の飲み方を変えたり、薬に手を加えたりする前に、必ず薬剤師に相談をしてください。指示された飲み方ではどうしても問題がある場合には、薬を安全かつ効果的に使える範囲内で、できるだけお子さんの生活サイクルや好みに合わせた服薬の工夫を提案してくれます。
執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。