頭痛で痛み止めを頻繁に飲んでいると、クセになる?“使い過ぎ”にならない、上手な痛み止めの使い方と選び方
- 作成:2021/12/12
頭痛持ちの人は、痛み止めを使う機会も多いと思います。薬で頭痛が治るのはありがたいことですが、薬をあまり使い過ぎるのも良くないのではないかと不安を抱くこともあるでしょう。確かに、薬の使い過ぎは問題ですが、それを気にして薬を使わず、頭痛で生活に支障を来たすことも問題です。 今回は、“使い過ぎ”にならない、上手な痛み止めの使い方と選び方をお伝えします。
この記事の目安時間は3分です
痛み止めを使っているとクセになる?だんだん効かなくなってくる?
頭痛によく使われる痛み止めとしては、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」といった解熱鎮痛薬が挙げられます。こうした解熱鎮痛薬は、病院で処方される医療用医薬品だけでなく、ドラッグストア等で購入できる一般用医薬品としても販売されているため、使う機会も多いと思います。
この薬は、胃を荒らしやすいほか、腎臓にも負担をかけやすいといった注意点はありますが、用法・用量を守って使っている限りは、基本的に習慣性や依存性、耐性を生じることはありません。
そのため、「薬を飲んでいるとだんだんクセになってくる」とか、「薬を使っているとだんだん効かなくなってくる」といった心配をする必要はありません。頭痛で日常生活に支障を来たすような場合は我慢をせず、薬を使うことも選択肢に入れたケアを考えてください。
痛み止めの選び方によっては、“クセになる”こともある
ただし、痛み止めの選び方によっては“クセになる”こともあります。特に、一般用医薬品の『ロキソニンSプレミアム』や『バファリンプレミアム』、『イブクイック頭痛薬』、『ナロンエース』などに含まれる「アリルイソプロピルアセチル尿素」や「ブロモバレリル尿素」といった成分は、習慣性医薬品に指定されている催眠鎮静薬です。痛み止めそのものでは“クセ”になることはなくても、こうした付属の成分が“クセ”になる可能性は十分に考えられます。
実際、こうした催眠鎮静薬の入った痛み止めを長年に渡って使い続けていた結果、神経障害などの中毒症状を起こした事例は多く報告されています1,2)。眠くなるなど副作用も多い成分でもある3)ので、どうしても必要な場合を除いては、これらの成分の入っていない痛み止めを選ぶことをお勧めします。
痛み止めを使い過ぎたことで起こる「薬物乱用頭痛」
痛み止めを“使い過ぎ”ていると、薬が原因で起こる頭痛「薬物乱用頭痛」を起こすことがあります。
「薬物乱用頭痛」が具体的にどのくらいの頻度で薬を使っていた場合に起こるのかについては、個人差もありはっきりとした線引きは難しいですが、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」といった解熱鎮痛薬であれば、月に110回を超えるような頻度で何年も使い続けていると、そのリスクは高くなってくる4)・・・といったくらいのものです。いくら頭痛持ちの人であっても、用法・用量を守って使っている限り、このような使い方になることは基本的にないと思われますので、あまり心配する必要はありません。
しかし、薬の種類によっては、もっと少ない回数・頻度で「薬物乱用頭痛」の原因になることもあります。たとえば、「アセトアミノフェン+アスピリン+カフェイン」の3剤を一緒に使うタイプの痛み止め(例:エキセドリンA錠)では「1ヶ月に10日以上使う5)」ことが、病院で処方される片頭痛専用の治療薬「トリプタン」では「1ヶ月に18回以上使う4)」ことが、それぞれ「薬物乱用頭痛」のリスクに繋がるとされ、注意喚起がされています。この頻度は、たとえ用法・用量を守って使っていても超えてしまうことがありますので、注意が必要です。
なお片頭痛が頻繁に起こる場合、“予防薬”を使って片頭痛の頻度そのものを減らすこともできます。片頭痛をよく起こすので痛み止めを使い過ぎてしまう、という人は、一度病院で相談してみてください。
執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目
1) 日本内科学会雑誌.106(11):2410-2417,(2017)
2) Intern Med . 1998 Sep;37(9):788-91.
3) Yakugaku Zasshi . 2017;137(10):1301-1311.
4) Neurology. 2002 Oct 8;59(7):1011-4.
5) 厚生労働省「外国での新たな措置の報告状況(平成29年12月1日~平成30年3月31日)
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