薬の食前、食後、食間の定義と3種ある意味 飲み忘れたらどう対応?タイミング間違えると危険?
- 作成:2015/12/08
医師に薬をもらうときに「食前」「食後」「食間」などと飲むタイミングを指定されますが、食べ物や消化のための胃液などが薬の効果にもたらす影響を考慮してのことです。薬によっては食前が良いもの、食後がよいものと様々ですが、「飲み忘れたから2回分飲む」などの行為が危険な理由も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
「食前」「食後」「食間」の定義
それぞれの薬は用法用量、飲むタイミングが決められています。その薬の効果が最も良く出るように、また副作用や中毒などが起きないように考慮されています。
食前とは食事の1時間から30分前のことです。食べ物や胃酸によって影響を受けたくない薬や糖尿病において食後血糖価を下げることを目的とした薬は食前に内服します。胃の調子を整える薬や吐き気を抑える薬も食前に飲む方が効果的と考えられています。
食後とは食後30分以内のことで胃の中にまだ食べ物が残っている状態なので、胃粘膜への刺激が少ないと考えられています。ほとんどの薬は食後内服となっています。空腹で内服すると胃が荒れる薬や食べ物と一緒の方が吸収の良い薬が食後の内服に適しています。
食間とは「食事と食事の間」で、食事の2時間後が目安です。空腹の方が吸収されやすい薬や胃の粘膜保護薬は食間に内服します。
食前でないと効果が出ないものも
食前に内服がすすめられる薬は、食前の方がより効果的であるもの、食前でないと薬の効果が出ないもの、食前でないと薬の効果が弱くなってしまうものです。
漢方薬やナウゼリン、プリンペランなどの吐き気止めの薬は、食前内服の方がより効果的だと考えられています。
糖尿病に適応がある食後血糖価を下げる薬や食後のインスリン分泌抑制薬は、食前に内服しないと食後の血糖を抑えられず意味がありません。これらの薬は血糖値が急上昇することを抑える作用があるので、食前以外に内服すると血糖を下げ過ぎてしまい低血糖の副作用を起こすこともあります。
結核に適応のあるリファンピシンや骨粗しょう症治療薬は、食前に内服しないと効果が減弱してしまうと言われています。
食後の薬は「飲み忘れ防止」の意味も
食後とは食事が終わってから30分以内のことで、降圧薬や抗菌薬など内服薬のほとんどは、食後に飲むタイプです。食後30分は食べ物がまだ胃の中に残っており、胃酸の影響を受けやすい時間帯です。空腹時に内服すると胃を荒らす可能性のある薬や食べ物と混ざることで吸収が良くなる薬が食後内服となっています。
胃を荒らすのを防ぐ、または吸収を良くするという理由以外には、規則正しく1日3食摂る日本人にとって食後内服にしておけば薬の飲み忘れを防げるという理由もあります。また、タイミングを食後にしておけば食事と食事の間隔が6-8時間程度と均等になるため、有効成分の血中濃度を維持させやすくなるので良いとも考えられています。
飲むタイミングを間違えるのは危険
食前、食間、食後の説明をしてきましたが、それ以外にも「食直前」「食直後」「就寝前」「起床時」など、医師が決めた厳密な時間に内服するように指示されることがあります。いずれの場合も、飲むタイミング、用法用量を守り正しい内服の仕方をしないと効果が出なかったり、副作用が出ることがあり危険です。
また、服用時間は薬の有効成分の血中濃度を一定に保てるように決められています。血中濃度は低すぎると効果が出ず、高すぎると副作用や中毒症状が出ることがあります。内服後数時間で血中濃度は上昇しますが、その後少しずつ下がっていきますので、下がりきる前のタイミングで内服をすれば、一定の血中濃度を保てる仕組みになっているわけです。そのため飲み忘れたからといって倍量内服したり、内服間隔が開きすぎていると、血中濃度を一定に保てず薬の効果に期待できません。喘息や不整脈の薬などは特に血中濃度を保つことが大切で、タイミングを間違えると命に関わることもあります。
分からないことや不安なことがある時には、自分で判断せず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
薬について食前や食後など飲むタイミングの定義や考え方をご紹介しました。薬を飲み忘れて、不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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