ロキソニンで胃が荒れるのはなぜ?飲むのを控えた方が良いタイミングは

  • 作成:2021/08/18

痛み止めとしてよく使われる「ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)」は、副作用で胃を荒らしやすい薬です。そのため、胃が弱い人や、お腹が空いている時に飲むのは控えることをお勧めします。※この記事は医師監修のもと、作成しております

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

この記事の目安時間は3分です

ロキソニンで胃が荒れるのはなぜ?【医師監修】

Q.「ロキソニン」で、どうして胃が荒れる?

A.痛みや炎症の原因物質と、胃を守っている物質が共通しているから

「ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)」は、痛みや炎症の原因物質である「プロスタグランジン」という物質の生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげる効果を発揮します。しかし、この「プロスタグランジン」は胃の粘膜を守る役割も担っているため、胃を荒らすという副作用が同時に出てしまいます。

「ロキソニン」が痛みや炎症を和らげるメカニズム

痛みや炎症が起きている場所では、「プロスタグランジン」と呼ばれる物質が増えています。この「プロスタグランジン」は、「シクロオキシゲナーゼ」という酵素の働きによって増えますが、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」などの解熱鎮痛薬は、この「シクロオキシゲナーゼ」の働きを抑える作用があります1)。これが、「ロキソニン」が痛みや炎症を和らげる効果のメカニズムです。
そのため、捻挫をした時の痛み、肩凝りの炎症から発生した頭痛、生理痛など、「プロスタグランジン」が増えることによって生じる痛みや炎症であれば、基本的にどの場所の症状であっても効果を期待できます。

「ロキソニン」が胃を荒らすメカニズム

しかし、「プロスタグランジン」は痛みや炎症を感じさせることだけに関わっている物質ではありません。他にも、実に様々なところで色々な働きをしています。
たとえば胃では、胃の血流を維持したり、胃の粘液を増やしたりして胃の粘膜を守る役割を担っています。そのため、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」でこの「プロスタグランジン」を減らすと、胃の粘膜の防御能力が弱まってしまうことになります。これが、胃が荒れてしまう原因の1つです。
つまり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患っている人は、その症状がさらに悪化する恐れがあることから、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」などの解熱鎮痛薬を使うのは避ける必要があります1)。また、健康な人であってもお腹に何も入っていない空腹時に使うことは避け、できるだけ食後に服用する、それが難しければ何か一口食べてからコップ1杯の水でしっかりと服用することをお勧めします。

「プロスタグランジン」は妊娠や腎臓の働きにも関わっている

他にも、「プロスタグランジン」は妊娠中に胎児の動脈管という大事な血管を開いた状態で維持する働きも担っています。そのため、妊娠後期(28週以降)に「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」を飲むと、胎児の動脈発達に悪影響を与える恐れがあります。このことから、妊娠している際にはこれらの解熱鎮痛薬を使うのは避ける必要があります1)。ちなみに、この動脈管は産まれた後の赤ちゃんにとっては不要になるので、産まれた後も開いたままになってしまった場合には、ロキソプロフェンに似たイブプロフェンを使って閉じさせる治療を行うこともあります。
また、「プロスタグランジン」は腎臓の血流量をうまく調整することにも関わっています。そのため、高齢者や、元から腎臓の弱っている人、他にも腎臓に負担のかかる薬を飲んでいる人が不用意に「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」を飲むと、腎機能が悪化してしまう可能性2)があり、注意が必要です。

胃の弱い人、妊娠中の人、高齢者は、より安全に使える「アセトアミノフェン」を

同じ解熱鎮痛薬の中でも、「プロスタグランジン」の生成を抑える作用とは別のメカニズムで熱や痛みを治療する薬が「アセトアミノフェン」です。そのため、「アセトアミノフェン」は胃にやさしく、妊娠中でもより安全に使え3)、高齢者でも小さなリスクで使える解熱鎮痛薬と言えます。
ただし、「アセトアミノフェン」は、「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」に比べると痛み止めとしての効果は少しやさしめです4,5)。そのため、胃が弱い人や妊娠中の女性、高齢者であっても、痛みが強い場合には医師や薬剤師がリスクの管理を行いながら「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」などの薬を使うこともあります。

1) ロキソニン錠 インタビューフォーム
2) Kidney Int . 2015 Aug;88(2):396-403.
3) カロナール錠 インタビューフォーム
4) Br J Clin Pharmacol. 2007 Mar;63(3):271-8.
5) Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 30;(7):CD001751

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