コロナ禍で増えるリモートワークやオンライン授業 目の異常「VDT症候群」に注意!
- 作成:2021/10/01
新型コロナウイルス感染拡大の中で求められる新しい生活様式で、リモートワークやオンライン授業などが定着し、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを長時間利用する機会が増えています。それに伴い眼精疲労や肩こり、睡眠障害など、「VDT症候群」と呼ばれる、さまざまな症状に悩む人の増加が懸念されています。
この記事の目安時間は3分です
コロナ禍が「VDT症候群」に拍車をかける
コロナ禍以前から、インターネットの普及でパソコンやタブレット、スマートフォン、テレビなどのディスプレイ画面、VDT(Visual Display Terminal)を長時間見続けることで、体調不良を起こすことが問題になっていました。眼精疲労やドライアイなど目の不調に加え、首や肩のこり、頭痛など全身に症状が現れ、慢性化すると作業能率が悪くなり、うつ状態まで引き起こします。このような状態は「VDT症候群」、「IT眼症」、「テクノストレス眼症」などと呼ばれています。
コロナ禍は長期化し、リモートワークやオンライン授業などでディスプレイ画面を見る時間はますます増えています。自粛で外出する機会が減り、パソコンでの仕事や勉強のあとで動画を見たりゲームなどで息抜きし、友人とのコミュニケーションもオンライン。このような状態では、おとなも子どもも目の酷使が心配です。実際、東京都の「家庭における青少年のスマートフォン等の利用調査(2021年2月24日~3月1日実施)」では、小学生から高校生までの約5割がインターネットを利用する時間が増えたと答えています。
ディスプレイ画面を長時間見ると目が傷む
なぜパソコンやスマートフォンなどを長時間使い続けるとよくないのか。それは、ディスプレイ画面を見続けること自体が目を傷めつけることになるからです。チラつき光る画面を近距離で見続けると、明るさやピントの調整を行う目の機能に大きな負担がかかり、目を疲れさせます。目を酷使することで、VDT症候群の主な症状、眼精疲労やドライアイを起こしやすくするのです。
ドライアイは、涙の量が不足したり涙の成分が変化したりして、目の表面にある角膜が乾燥状態になって起こる慢性の病気です。悪化すると、視力の低下や痛みなどで生活の質が落ち、角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)(角膜が乾燥してはがれる)を起こすこともあります。目が「乾く」「ゴロゴロする」「目が開けにくい」「疲れる」「かすんで見えづらい」などの症状が続く場合は、必ず眼科を受診してください。
休憩、体操、環境整備で予防する
VDT症候群予防の第一は、長時間ディスプレイを見続けないこと。パソコンやスマートフォンの使用では最低でも1時間に15分は休憩しましょう。合間にお茶をいれに立ったり、遠くの景色を眺めたりするなど、目を休める工夫も大切です。また、ストレッチ体操などで軽く体を動かし、首や肩、腰の筋肉の緊張をほぐすのも効果的です。意識的にまばたきするのも、目の疲れ対策になります。
無理な姿勢での作業は体に負担をかけるので、正しい姿勢が保てる机やイスを使うなど環境整備も重要です。ディスプレイ画面は上辺をやや高めに、目との間隔は40〜50cmにすると見やすくなります。イスには深く腰掛け、ひざの角度が90度以上になるように。また、窓からの外光や照明が画面に映り込み、反射しないようにします。室内の照明は明る過ぎず暗過ぎない100〜500ルクス程度。室内が乾燥するとドライアイが悪化することもあるので、適度な湿度(40~60%)を保ちます。
気になる症状をチェック
長引くコロナ禍を少しでも健康的に過ごせるよう、下記の症状がないか時々チェックして、チェック項目が増える、不調が続くときは早めに眼科を受診しましょう。
- 目に不調がある(疲れる、重い、かすむ、見えにくい、二重に見える、まぶしい、痛い、乾く、赤くなる、涙がしょっちゅう出るなど)
- 肩こり、首・肩・腕・背中の痛み、だるさなどがある
- 指先がしびれる
- 頭痛やめまいがある
- 吐き気がすることがある
- イライラ、不安感、憂うつ感がある
- 睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に目覚めるなど)がある
参考サイト
公益社団法人 日本眼科医会 目についての健康情報
https://www.gankaikai.or.jp/health/
東京都 家庭における青少年のスマートフォン等の利用 調査結果
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/04/28/30.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.htm
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000828987.pdf
日本予防医学協会 健康づくり かわら版
https://www.jpm1960.org/kawara/kawaraban/post-20-1.html
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