コロナで増加傾向 放置すると心筋梗塞や脳梗塞を招く危険もある「痛風・高尿酸血症」
- 作成:2021/10/27
コロナ禍の長期化で生活環境は大きく変化し、緊急事態宣言が解除されても、すぐにすべてが以前のように戻るわけではありません。リモートワーク、お取り寄せなど “新しい生活様式”が定着しています。 一方、この状況が健康に影響を与えていることも明らかになってきました。心筋梗塞など命に関わる病気のリスクを高める生活習慣病の「痛風」や「高尿酸血症」も、新たな患者が増えています。
この記事の目安時間は3分です
痛風の真の怖さは命に関わる病気を誘発すること
大いに食べて飲んだ翌日、突然、激烈な痛みと炎症が足親指の関節を襲う。その痛みは風が吹くだけでも悲鳴を上げるほどで、歩けない。これが典型的な「痛風発作」です。症状は足首、足の甲、アキレス腱、ひざ、手首、ひじ、耳などにも起こります。痛みは徐々に和らぎますが、適切な治療をしないと、発作を繰り返し悪化します。
健康診断で尿酸の値が7.0mg/dlを超えたら「高尿酸血症」、血液中の「尿酸」が多すぎる状態です。自覚症状はありませんが痛風予備軍です。
尿酸は体の新陳代謝でできる老廃物で、体内で作られては排泄されバランスを保っています。ところが、尿酸のもとになる“プリン体”という成分を含む食品を食べすぎて尿酸が過剰に作られたり、腎臓の機能が衰えて排泄が減少したりすると、余分な尿酸が体内に留まります。血液中の余分な尿酸は結晶化し、とがったガラスのようになり、関節や腎臓などにたまります。関節にたまった尿酸の結晶は痛風発作を、腎臓にたまった尿酸の結晶は腎臓病や尿路結石を引き起こします。
また、高尿酸血症の人の多くにメタボリックシンドロームの傾向があり、血管がもろくなる動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気につながりかねません。
痛風発作を引き起こしやすくする条件とは
高尿酸血症から痛風への道を進みやすいのは、次の条件が揃った時です。当てはまることが多い場合は要注意、尿酸が基準値を超えていたら受診をおすすめします。
- 尿酸値が7.0mg/dl以上
- 成人男性(痛風患者の95%は男性、30~40代男性の3割が高尿酸血症)
- 閉経後の女性(尿酸を排泄する働きがある女性ホルモンが減るため)
- 肥満気味(痛風患者の37%がメタボリックシンドローム)
- 毎日、飲酒する
- 早食いで大食い
- 水分をあまり摂らない
- 激しいスポーツをする
- 生活時間が不規則
- せっかち、行動的で仕事や趣味などに熱中しがち
- ストレスが多い
- 家族、身内に痛風の人がいる
ライフスタイルを見直せば予防改善できる
2021年7月、日本生活習慣病予防協会では医師向けのアンケートを行い、長期化するコロナ禍の影響で「約5割の医師が、高尿酸血症・痛風の新患増加を実感(前年比:15%増)」、「8割以上の医師が、心血管死・総死亡リスクと高尿酸血症との強い関連性を指摘」という結果を発表し、警鐘を鳴らしています。多くの人が運動不足、食べすぎ飲みすぎ、ストレスの蓄積などに陥っている可能性が高いと考えられます。
「痛風」や「高尿酸血症」の予防改善には、何をどう食べるかが大切です。そのコツは、プリン体が多く含まれる食品は控えめに、プリン体が少ない食品を心がけて食べること。水分を多く摂ることで尿から尿酸の排出を促すことができます。食事以外も時々、意識してライフスタイルを見直すことが、病気から体を守る一歩です。
<ライフスタイルの見直しポイント>
- 食事は適正カロリーで肥満解消
- 魚卵や内臓などプリン体を多く含む食品の食べすぎに注意する
- 野菜、海藻、乳製品などアルカリ性の食品を積極的に食べる
- アルコールを飲みすぎない(1日の目安:ビールなら500mL、日本酒・ワインなら180mL、ウィスキー・ブランデー40度なら60mL)
- 積極的に水分を摂る(水:1日2Lを目安)
- ウォーキングなど適度な有酸素運動を続ける
- のんびりリラックス、ストレスをためない
食品中のプリン体含有量(100あたり)
参考サイト
一般社団法人日本生活習慣病予防協会
http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/hyperuricemia.php
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2021/010491.php
日本痛風・尿酸核酸学会
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001086/4/hyperuricemia_and_gout_digest.pdf
公益社団法人日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/gout.html
厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-003.html
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