子どもの予防接種、途中でメーカーが変わったらどうなる?
- 作成:2022/08/03
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、予防接種にまつわるご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
現在5ヶ月の赤ちゃんです。
小児科に予防接種に通っていましたが、車で通うのが大変なので、徒歩で行ける別の小児科に変更しようかと思っています。
ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、4種混合と受けてきましたが、途中から別のメーカーの注射に替わっても大丈夫でしょうか?
交差接種?になるのが気になっています。
ロタはすでに完了しています。
医師の回答
予防接種のメーカーが途中で変わると驚きますよね。生まれて間もない状態ですから、不安になるのも無理がありません。当然の話ですが、国内で販売されているワクチンの取り扱いメーカーは一つではなく、複数あります。四種混合ワクチン(DPT-IPV)だけでも4つのメーカーが取り扱っています。投与間違い防止のため施設単位で、扱うワクチンのメーカーは統一されていることが多いですが、引っ越しなどで施設が変わると、同じ予防接種でも取り扱いメーカーが変わることがあるわけです。
製造メーカーの変更に伴う有効性や安全性に関するデータは乏しいですが、結論から言うと、「ほとんど問題ない」と考えられています。一般的に、混合型ワクチン同士の互換性に関する情報は限られていまるものの、参考になるデータとして、複数のメーカー同士で検証したカナダの臨床研究があります。この研究では15~20ヶ月の児433名をランダムに2 群で振り分けた結果、両群とも効果、安全性ともに同等な結果でした。
この研究は「効果や安全性に差がない」という点をある程度保証しますが、一方で、この研究結果だけで、「すべての類似ケースにおいても同じ結果が得られるはずだ」と判断するのは早計でしょう。しかしそれを気にするあまり、適切なタイミングで予防接種を受けないことの方が子どもの健康に不利益が生じます。当然、引っ越しや製剤不足などの不測の状況がなければ、同一メーカーで完了することが理想だと考えます。
参考文献:
#1. HalperinSA, et al. Vaccine 2006; 24: 4017-4023
#2. 一般社団法人日本ワクチン産業協会. 国内で販売されているワクチン等と取り扱い会社(2022年6月17日最終閲覧)
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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