様子見でいいの?生後2カ月の「出べそ」が気になります

  • 作成:2022/11/09

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、生後2カ月のお子さんの出べそに悩む、お母さんからのご相談です。

今西 洋介 監修
 
今西 洋介 先生

この記事の目安時間は3分です

様子見でいいの?生後2カ月の「出べそ」が気になります

【今回のお悩み】
今日で2カ月になった乳児です。
2500gで小さく生まれましたが、ミルクもよく飲み、5.5キロとなりました。
おへそが出べそになってるのが気になっています。
元気だし痛がりもしませんが、
小児科に連れて行くべきでしょうか?
様子を見て良いのであれば来週市の保健師さんが来て下さるのでその時に見せてみようかと思っています。よろしくお願い致します。

医師の回答

出べそは、医学的には「臍(さい)ヘルニア」と呼ばれていて、赤ちゃん10人に1人の割合で発症します。こう考えると結構いますよね。臍ヘルニアは、臍の根元にある穴(ヘルニア門)から腸管が飛び出している状態です。赤ちゃんが大声で泣いたり、うんちを気張ったりしてお腹に力を入れると、その飛び出し具合はさらに大きくなり4~5cmになると言われています。しかし、よく子供で見られる鼠径ヘルニアと異なり、嵌頓(かんとん)、すなわち、腸がヘルニアの出口から出て戻らなくなることはほとんどありません。

臍ヘルニアの現状としては、放置しても1年で約80%、2年で約90%が自然に治ると言われています。この自然に治るとは、ヘルニアの出口である臍輪が閉鎖して腸の飛び出しがなくなる状態のことです。

近年、臍ヘルニアの治療として、腸を腹壁内に戻した状態で臍をテープで固定する「臍圧迫法」の効果が改めて見直されています。九州小児外科研究会が行ったアンケート調査では、テープで圧迫した方が自然放置よりも治癒する時期が有意に早く、最終的に治癒率が高かったという報告もあります。しかしながら、このような治療をしても治らない場合は、1~2歳で手術を行って臍輪(さいりん;へその緒が取れた後の穴)を縫合して閉鎖します。相談者さんのお子さんは2カ月ですし、もちろん焦ることではありませんが、気になるようであれば一度医療機関でご相談されても良いでしょう。

#1.日本小児外科学会 臍ヘルニア (2022年9月19日最終閲覧)
#2. 谷口直之. 日小外会誌 2019;55(5):920-926

小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

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