生まれつきの疾患?大量の吐き戻しをしてしまう5か月の子ども、受診したほうがいい?

  • 作成:2022/06/03

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、5か月の赤ちゃんの吐き戻しの量や頻度について心配するお母さんからのご相談です。

今西 洋介 監修
 
今西 洋介 先生

この記事の目安時間は3分です

生まれつきの疾患?大量の吐き戻しをしてしまう5か月の子ども、受診したほうがいい?

【今回のお悩み】
もともと毎日というほど吐き戻しのある子ですが、量が少ないのと、3~4ヶ月頃になれば落ち着いてくるかと様子見していました。

しかし5ヶ月になった今も改善なく、むしろ授乳量や運動量が増えるほど吐き戻しが目立ってきて、これまでの授乳後の吐き戻しに加え、何かとコポッいう音が喉から聞こえたり、ごくっと飲み込む音がしたり、いきんだり左右に寝転がったり歯固め等に夢中になったりでも吐き戻したり、しまいには平熱で噴水のような大量の嘔吐(小児科では軽い胃腸炎とのことでしたが、元気な時も嘔吐しました)をしたりで心配です。生まれつきの何かの疾患じゃないかと思っており、不安で仕方がありません。

このように吐き戻しが多い状態は5か月でもよくあるのでしょうか。
引き続き様子見で問題なさそうでしたら、家庭内で心がけることをアドバイスいただけると助かります。よろしくお願いいたします。

医師の回答

5ヶ月のお子さんが吐き戻しでご心配ということですね。嘔吐は子育ての中で母子共にストレスですよね。お母さんは吐いた物を処理したり、お子さんは嘔吐したりするだけで辛いですよね。少し情報が少ないので、一般的な話をお伝えします。

0〜4ヶ月赤ちゃんの嘔吐には、口から母乳やミルクを垂らす「溢乳」(いつにゅう)と呼ばれる状態や、飲んだ後に一気に吐き出す「吐き戻し」と言われる状態があります。この吐き戻しは赤ちゃんの胃の容積が小さいので、飲んだ後にゲップが不十分だとその空気の分胃の容積を制限してしまい嘔吐してしまうというものです。お母さんのおっしゃる通り、3〜4ヶ月で改善してくる傾向にあります。

5ヶ月で嘔吐していても体重がしっかり増えて全身状態が良い場合は多くが問題ありませんが、中には気をつけないといけない病気が隠れている場合があります。それを疑うのは「嘔吐以外の症状が伴うとき」です。

嘔吐以外で、慢性的に咳をしている、呼吸がぜーぜー言う「喘鳴」(ぜんめい)を認める時には胃食道逆流症を疑います。これは食道と胃の間の逆流を防ぐ機能が弱いため、胃の中の物が食道に逆流してしまう現象です。また体重が増えない、血便が出る、お腹が張っているなどの症状があれば、新生児・乳児消化管アレルギーを疑います。これは粉ミルクに含まれる牛乳のたんぱく質によって起こるアレルギーで、アレルギー用ミルクにする事で症状は改善します。また、嘔吐し始めると共に急激に泣いたり、いちごジャムのような血便を認める場合には腸重積を疑います。これは腸の一部が腸に潜り込む病気で、緊急性を要します。

ご不安であれば一度かかりつけの小児科に受診しても良いと思います。

小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

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