ゲップやおならを出すのが苦手な生後3カ月の娘、不安な毎日です
- 作成:2022/11/29
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、ゲップやおならをうまく出せない赤ちゃんについてのお悩みです。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
3ヶ月の乳児ですが、生まれた時からゲップやおならを出すのが苦手です。
最近では授乳後に大きめのゲップを出せる事もあるのですが、2~3回授乳後も出せずに苦しそうに泣く事がよくあります。気持ち悪いからか、ゲップやおならを出そうと更におっぱいを吸おうとするのですが、お腹が張って苦しいのでうまく吸えずにまた大泣きします。その後も生唾を飲み込むような仕草やペロペロ何かを舐めようとして、ハァハァと落ち着かない早い呼吸をし続ける事が多々あります。縦抱きで抱っこしていると暫くして寝るのですが、横にしてベッドなどに寝かせた途端にまた起きて苦しそうな状態に戻ってしまいます。そうなると誤嚥や窒息が怖いので、抱っこし直すといった状況が続いています。ゲップが上手に出た時はすぐに寝ますが、夜でも上記のような状態になるとなかなか寝てくれません。
海外に住んでおり、日本のようにすぐに診てもらえないので不安な毎日を過ごしているため、アドバイスいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
医師の回答
ご質問、ありがとうございます。
「ゲップが出にくい」というのは、実は1カ月健診で最も多い質問のうちの1つです。赤ちゃんの嘔吐は世のお母さんを悩ませるものです。
同じ吐くという行為でも、嘔吐と溢乳(いつにゅう)には大きな違いがあります。嘔吐とは胃の内容物を口から大量に勢いよく吐き出すことをいい、溢乳とは口から簡単に流れ出ることであり、多くの場合ゲップを伴います。
これらのことが起きる理由としては、さまざまな原因が考えられます。1つは胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)です。胃と食道の境に逆流しないように締める筋肉がありますが、その筋肉が未熟なため胃の内容が逆流してしまうのです。これは軽度であれば特に問題はなく、多くは成長とともにこの筋肉が発達していき、嘔吐の回数が劇的に減っていきます。
一方、体重が増えない、授乳のたびに勢いよく嘔吐する場合には、肥厚性幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)など器質的な問題の可能性があるので病院を受診しましょう。
また、通常より多くの空気を飲み込む状態は、空気嚥下症(くうきえんげしょう)といって、授乳中や授乳後にゲップをさせることで改善します。
空気を飲み込みすぎて嘔吐してしまう場合、赤ちゃんが授乳中に休憩する時は、そっとゲップをさせてあげることが必要になります。米国小児科学会は「食後の活発な遊びを制限し、少なくとも20分間は赤ちゃんを縦抱きするように」と指導しています。
実際に1カ月健診で話を聞くと、ゲップをさせてからすぐに縦抱きを終えるお母さんが意外とたくさんいます。米国小児科学会が目安を「20分間」としているのは、ゲップが1回出ただけでは全て出きらないことが多いためだと思われます。
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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