秋の味覚、ブドウは切って食べさせる!ジェル型洗剤や、イヤホンも危険[子どもの誤飲・誤嚥対策]

  • 作成:2021/10/10

AskDoctorsでは、子どもの病気やケアで親が悩みがちなポイントについて、小児科医の森戸やすみ先生に解説いただいています。連載第3回のテーマは「子どもの誤飲、誤嚥」。どんなに目を離さないようにしていても、子どもはほんの一瞬で異物を飲み込んだり、喉に詰まらせたりします。命にかかわりかねない問題なだけに、ヒヤヒヤした経験を持つ人も多いのではないでしょうか? 今回は、特に危険な誤飲・誤嚥の例と、いざというときの応急処置を教えてもらいました。

森戸 やすみ 監修
どうかん山こどもクリニック 
森戸 やすみ 先生

この記事の目安時間は3分です

秋の味覚、ブドウは切って食べさせる!ジェル型洗剤や、イヤホンも危険[子どもの誤飲・誤嚥対策]

食べ物以外のものが食道に入ってしまうことを誤飲、食べ物や食べ物以外のものが気道(空気の通り道)に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言いますが、子どもでは特に注意が必要です。

少量、少数の誤飲でもすぐに受診してほしいものは、タバコと電池です。タバコは2cm程度でも中毒症状が出ることがあり危険です。気づいたら医療機関に電話をして受診しましょう。胃洗浄が必要になることが多いです。
電池は食道や胃に穴が開くことがありますから、すぐに医療機関に行きましょう。最近のおもちゃは乾電池やボタン電池は取り出しにくくなっているものが多いですが、子どもは子ども用ではない製品を触ることがもちろんあります

除光液は1mℓでも気管支炎や肺炎の可能性

ほかにも誤飲すると危険なものはたくさんあります。
尖ったものや針などを口に入れている場合は、飲んだかもしれないものを持って医療機関に行きましょう。
お酒を誤って飲んだ場合は、量によって低血糖や低体温になることがあります。薬品を誤飲した場合、処方薬だったらその薬を出した医療機関や薬局に問い合わせます。市販薬だったら添付文書を読むか、薬局に問い合わせましょう。
灯油、ベンジン、除光液などは1mℓ程度でも気管支炎や肺炎を起こすことがあります。吐かせないで医療機関に行きましょう。防虫剤は舐める程度なら症状は出ませんが、飲み込んでいる場合は医療機関に行きましょう。シリカゲルなどの一般的な乾燥剤は、消化管から吸収されないので中毒にはなりませんが、口の中や食道に炎症を起こすことがあります。

日本小児科学会の「Injury Alert」(傷害速報)を「誤飲」で検索すると、アルコール飲料を飲んでしまったり、イヤホンパーツ、いわゆるウイルス除去製品、ジェルタイプの洗剤を飲んでしまったりなどいろいろな例が載っています。どのような状況だったか、どんな治療が必要になり、その後どうなったかがわかります。小さいお子さんがいる人は、一読することをお勧めします。

消費者庁の「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」も、どの年齢でどういった誤飲事故があるか、予防するためにはどうしたらいいかまとまっているので、ぜひお読みください。

0歳と1歳以上では応急処置が変わる

誤嚥の場合、急を要することが多いので、対処法を知っておいてください。
気道は本来、空気しか入ってほしくない場所なので、異物が入ってくると咳が出ます。突然、むせたり咳き込んだりする、顔色が悪くなり苦しそうになった際には、誤嚥した可能性があります。

口の中に誤嚥したものが見えたら、手でかき出します。1歳よりも大きな子は、まず顎を反らせて背中をたたきます。それでも出てこなかったら背中から抱きかかえるようにして、拳でみぞおちを上方向に圧迫します。「腹部突き上げ法」といいます。
1歳よりも小さな乳児の場合はうつぶせ寝にして頭を低くし、背中をたたきます。「背部叩打法」といいます。それで出てこない場合は、手のひらで後頭部を支えながらあおむけにし、指2本(中指・薬指)で胸部を圧迫しましょう。「胸部突き上げ法」といいます。

それでも苦しそうにしているときには救急車を呼びましょう。これも消費者庁のもしもの時の「応急手当方法」に載っています。救命講習は、地域の消防署で受けられることもありますから、機会があったら受けるといいですね。

直径39㎜以下のものは誤飲・誤嚥のリスク大

誤嚥してしまうものは、お正月のお餅が有名ですが、プチトマト、ブドウ、こんにゃくなどのツルッとして噛まずに入ってしまうものや、ピーナッツや節分に食べる豆も気道に入ってしまうことがあります。小学生でも急いで口に詰め込んだパンなどが原因で、窒息してしまう事故も報告されています。いずれも食べやすい大きさにして、急がずにゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。
他に、小児科学会のInjury Alertでは、哺乳瓶を消毒するタブレット型の薬や大豆、水風船の誤嚥の報告があります。

子どもは、何でも口に入れますし、鼻や耳に入れるなど、ときに思わぬことをします。ちぎることができるもの、破片になって取れやすいものも子どもの近くに置かないようにしましょう。立ち上がったり歩けるようになったりすると、何かを踏み台にして思わぬところに手が届くことがあります。
母子手帳には直径39mmの円が描いてあるものがありますが、これはこの円より小さいものは気道に入ってしまうという危険性を示しています。意外に大きいので、この円に入ってしまう大きさのものは、お子さんの手の届かないところに置くようにしましょう。

1971年、東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内のどうかん山こどもクリニックに勤務。『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)、『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など著書多数。二児の母。

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