子どもが薬を誤飲するのを防ぐには?年齢別の対策
- 作成:2022/01/16
子どもが薬を間違って飲み込んでしまう事故は、毎年たくさん起きています。飲み込んだ薬の種類や量によっては、時に生命に関わるような事態にもなりかねない危険な事故ですが、子どもの特性を踏まえた対策をしておくことで、その多くは防ぐことができます。それと合わせて、万が一、誤飲が起きてしまった場合にはどんな対応をすれば良いかも知っておくことが大切です。
この記事の目安時間は3分です
生後6ヶ月から2歳くらいまでは、特に薬の誤飲が起こりやすい
子どもの誤飲事故は、玩具や電池、磁石などさまざまな物品で起こっていますが、その中でもタバコに次いで多いのが「医薬品」です1)。医薬品をPTPシートのまま飲み込んでしまった場合は、食道や胃・腸を傷付けてしまうこと、剥き出しの医薬品を飲み込んでしまった場合は、その薬による副作用や中毒症状などを、それぞれ起こす恐れがあります。
特に、生後6ヶ月から2歳くらいの子どもで誤飲事故は起こりやすいですが、これは、その時期の子どもの行動とある程度の関連があります。そのため、時期に合わせた注意を行うことで、それなりに誤飲事故のリスクを減らすことができます。
生後6ヶ月くらい
この時期の子どもは、身近にあるものや興味を抱いたものを何でも手に取ったり口に運んだりします。特に、薬をPTPシートのまま飲み込んだり、塗り薬を容器のチューブごとかじったり・・・といったようなことも起こり得ます。そのため、子どもの手の届くところに医薬品を置きっぱなしにしない、ということが基本の対策になります。また、薬だけでなく、小さな玩具や磁石・電池なども同じように注意が必要です。
できる対策
- 子どもの手の届く場所、見える場所に薬(※塗り薬や貼り薬も含めて)を放置しない
- 医薬品は高い場所や鍵のついた引き出しなどに保管する
1歳~1歳半くらい
この時期になると、周囲にいる大人・・・つまり親の行動を真似するようになってきます。同じ誤飲事故であっても、手に届く距離に薬が置いてあったことが原因ではなく、親の「薬を飲む」という行動を真似しようとして起こる誤飲事故が増えてきます。引き出しの中から薬を取りだして飲む、足場を使って手の届かない場所に保管してある薬を取りだして飲む、といったことも実際に起こっています。そのため、場合によっては子どもの前で薬を飲まない、子どもに薬の保管場所を知られないように気をつける、といったことも必要になってきます。
できる対策
- 子どもの手の届く場所、見える場所に薬を放置しない
- 子どもの目の前で自分の薬を飲まない・使わない(※興味を惹かない)
- 「少し高い場所や引き出しに保管しておけばOK」ではないことを前提に、薬の保管場所を考える
2歳くらい
2歳くらいになってくると、「薬」というものをそれなりに理解した上で興味を抱き始めます。たとえば、自分がこれまでに飲んだことのある小児用の薬がとても甘かった場合、「他の薬もきっと美味しいだろう」と思って積極的に薬を探し出して飲もうとする、ということが起こるようになります。また、大人用の薬にも色が綺麗だったり、PTPシートが煌びやかだったりして、子ども目線では“ラムネ菓子”や“飴玉”、“ゼリー”のように見えてしまうものもあり、注意が必要です。
できる対策
- 医薬品は、子どもの知らない場所や鍵のかかる場所に保管する
- 理解できそうであれば、子どもには薬の「意義」や「注意点」をきちんと説明する
祖父母の家に遊びに行くときは、特に注意
自宅では上記のような対策をしっかりと行っていても、普段と違う場所に移動した際には、うっかりと対策が疎かになることが多いので注意が必要です。特に、普段は小さな子どもが居ない祖父母の家には、“子どもの誤飲対策”がほとんど行われていないのが普通です。むしろ、薬を飲み忘れないよう、食卓の上に自分たちの薬が出したままになっていたり、お菓子の箱などに薬が保管されていたり、といったことがあります。
こうした状況では、子どもが祖父母の薬に興味を持って飲んでしまう、といった事故が起こりやすくなります。家を訪問する際には、予め医薬品や小さな電池・磁石などを片付けておいてもらうようにお願いすることをお勧めします。
もしも薬を誤飲してしまったら・・・
万が一、薬を誤飲してしまった場合の対応を知っておくことも大切です。かかりつけの病院や薬局に電話しても良いですが、「#8000(小児救急電話相談)」に電話すると、都道府県の相談室に自動的に転送されます。いざという時は気が動転していてうまく調べられないことも多いため、あらかじめ電話の近くに貼り紙などで掲示しておくと良いでしょう。
なお電話などで対応を相談する際には、できるだけ子どもの状況を正確に伝える必要があります。薬には色々なものがあるため、間違って誤飲してしまっても健康にはさほど影響のないものから、生命に関わる事態に陥る恐れのあるものまで、さまざまです。そのため、まずは「何を誤飲したのか」という情報が重要になります。誤飲したものを特定できていない場合には、“誤飲した可能性のある薬”・・・つまり自宅にある薬を全て確認しましょう。
また、薬をPTPシートなどの包装のまま飲み込んだのか、あるいは剥き出しの錠剤やカプセルの状態で飲み込んだのかによっても、必要な対策は異なるため、子どもの周囲に薬の空のシートが落ちていないかなども簡単に確認できるとなお良いでしょう。それと合わせて、“いま子どもはどんな様子か”も大事な情報です。
時折、水などを強引に飲ませて吐かせようとする方もいらっしゃいますが、尖ったPTPシートなどを飲み込んでいた場合、無理に吐かせようとするとかえって食道などを傷付ける恐れがあります。また、タバコを誤飲した際も、水を飲むことでかえってニコチンの吸収を早めてしまう恐れがあります。「水を飲ませて吐かせる」ことは、必ずしも適切な方法でない可能性もある、という点は押さえておくようにしてください。
1) 厚生労働省「家庭用品等に係る健康被害 病院モニター調査(2018年版)」
2) 消費者安全調査委員会「子供による医薬品誤飲事故(平成27年)」
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