感染対策におもちゃのアルコール消毒。体への影響は?

  • 作成:2022/09/29

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、新型コロナの感染対策で、おもちゃの消毒が気になっているお母さんからのご相談です。

今西 洋介 監修
 
今西 洋介 先生

この記事の目安時間は3分です

感染対策におもちゃのアルコール消毒。体への影響は? 感染対策におもちゃのアルコール消毒。体への影響は?

【今回のお悩み】
生後8カ月の子どもがいます。コロナが流行りだしてから、家の中、おもちゃに毎日アルコール消毒をしています。成分は発酵エタノール、精製水、発酵乳酸、ソルビン酸、グリセリン脂肪酸エステルと書いています。赤ちゃんのおもちゃにも除菌で使えると書いてあったのでずっと使っていたのですが、消毒をしたおもちゃが苦くなっていることに今気づきました…。
なんでも口に入れるのでコロナ予防にいいと思ってやっていた消毒ですが、やめておいた方がいいでしょうか。
毎日消毒したおもちゃを口に入れていますが苦そうな顔はしていなかったので今まで全く気がつきませんでした。体になんらかの影響はありますか?

医師の回答

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、街中では消毒用アルコールをよく見かけるようになりました。消毒用のアルコールはスプレーやシートなど、さまざまな形で提供されていますので一気に身近な存在になりました。

日本中毒情報センターの調べによると、消毒用アルコールに関する問い合わせはコロナ禍前に比べて急激に増加しました(#1)。日常生活で消毒用アルコールの使用頻度が多いですが、決して侮れません。消毒用アルコールは濃度が少なくとも60%以上のものが推奨されており、非常に高いアルコール度数と言えます。

例えば濃度80%の消毒用アルコールだと、致死量は成人で300ml、子供で7.5~37.5mlというデータがあります(#2) 。スプレータイプの場合、多くの商品は1本当たり容量が300~500mlですから、子供が口にすると簡単に致死量を超えてしまうことになり注意が必要です。エタノール誤飲は当然ですが急性アルコール中毒に至り、運動失調や昏睡を起こします。子供の急性アルコール中毒では低血糖を起こすことも特徴の一つです。

相談者さんの消毒用アルコールシートでどこまでアルコールが残存しているかは不明ですが、アルコール濃度の高いシートで拭くのは避けたほうが無難でしょう。WHOでは消毒でのアルコールは補助的なもので、基本的には手洗いが原則とされています。生後8カ月だと難しいかもしれませんが、幼い頃から手洗いの教育をしていきたいものです。

#1. 日本中毒情報センター 除菌剤・消毒剤は適切に使用しましょう 2020 (2022年9月8日最終閲覧)
#2. 森博美. 急性中毒情報ファイル 第4版(2008) 249,506,509.廣川書店

小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

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