急性アルコール中毒で寒気・過呼吸・震え・失禁・いびきが出る?出ない?危険?意識不明の考え方も解説

  • 作成:2016/09/30

急性アルコール中毒で、意識不明になるのは、非常に危険な状態と言えます。意識不明以外に、「寒気」「過呼吸」「震え・痙攣」「失禁」「いびき」との関係や危険性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

目次

急性アルコール中毒で寒気は起きる?まずい?

急性アルコール中毒の症状の一つに寒気があります。アルコールには血管拡張作用があり、これによって体温が上がりやすくなりますが、これは同時に体温を失いやすい状態でもあるのです。本来であれば失った体温を補うために体内で新たな熱を作ります。

しかし、アルコールによって中枢神経が麻痺していると、体温を維持する機能が正常に働きません。すると、急速に体温が失われていくだけになります。屋内や温かい環境であれば失われる熱も少ないので良いのですが、屋外などの寒い環境だとそのまま体温が低下して低体温症を発症します。低体温症は雪山で遭難した時に起こるような深刻な症状ですので、直ちに適切な処置が必要になります。冬場はもちろん、温かい夏場でも夜の外気温であれば急性アルコール中毒で低体温症になる可能性は十分にあります。寒気を訴え始めたら、夏でも毛布などを与えて体を温めるようにしてください。

急性アルコール中毒で過呼吸は起きる?まずい?

急性アルコール中毒では呼吸回数が少なくなる症状が知られていますが、その逆の過呼吸も十分に起こりえます。これは、お酒に弱くアルコールを十分に分解できない体質の人に起こりやすい症状です。アルコールを飲み過ぎるとアルコールが呼吸を司る中枢神経を麻痺させて呼吸の機能が弱くなりますが、過呼吸はこれとは別のメカニズムで起こると考えられています。

まず、中枢神経にアルコールが行き渡る前の段階でアルコールによって血管が拡張すると血圧の低下が起こります。この時、血圧を元に戻すために心臓の働きが活発になるのです。一度に流れる血液の量が増えれば、必要になる酸素の量も増えるので呼吸回数が増えます。呼吸回数の増加が、許容範囲で収まれば良いのですが、アルコールに弱い人は強い人に比べてアルコールの分解速度が遅く、アルコールの影響が普通の人よりも激しく現れるため、血管の拡張も急激で血圧も急にさがります。急な血圧の変化に対応するため心臓が激しく動き、「動悸」のような症状が現れ、呼吸は「過呼吸」のように早くなります。

ただ、必ずしも、過呼吸が急性アルコール中毒の症状として現れるとは言い切れず、「腹式呼吸でなるべくゆっくりと大きく呼吸するように」と声をかけたうえで、見守ることで通常の過呼吸の場合は症状がおさまり、重篤な状態に繋がることはあまりありません。それでも、急性アルコール中毒の前兆症状として現れているケースも少なくなく、「呼吸が落ち着いたからもう大丈夫」と一人にするのは危険です。飲酒中に過呼吸の症状が出た場合は、症状が落ち着いたら飲酒は控え、しばらくは一人にせずに様子を見るようにと良いでしょう。

急性アルコール中毒で震え、痙攣は起きる?まずい?

急性アルコール中毒では、震えや痙攣も起こります。震えが出ている場合には、前述の低体温症の恐れがあり、すぐに体を温める必要があるでしょう。また、痙攣は様々な原因で起こりますが、急性アルコール中毒の場合はアルコールによる中枢神経の麻痺によって起こっている可能性があります。痙攣は体の筋肉を正常にコントロールできていない状態です。呼吸や心拍にも影響を与えている危険性があり、命に関わる非常に危険な状態といえます。痙攣が見られるような状態では、すぐに救急車を呼ぶべきでしょう。

急性アルコール中毒で失禁は起きる?まずい?

急性アルコール中毒で失禁が起こることもあります。アルコールには利尿作用があるため、アルコールを飲むとトイレが近くなります。だからと言って、普通の状態なら、我慢しながらもトイレに間に合わず失禁することはあっても、子供のようにいきなり失禁することはまずありません。急性アルコール中毒では中枢神経の麻痺が始まっているため、尿意に気づかず知らずに失禁してしまう事があるのです。本人が自覚のある失禁ならばまだ良いのですが、本人が気づかない内に失禁していたとなるかなり危険です。既に脳機能の麻痺が始まっている状態ですので、意識があればタクシーで、なければ救急車で病院に運ぶ必要があるでしょう。

急性アルコール中毒でいびきは起きる?まずい?

急性アルコール中毒では、大きないびきを伴う昏睡状態も起こりえます。アルコールによって筋肉機能の麻痺が進んでいると、舌が喉に落ちこみ、寝ている時に大きないびきが出やすくなるのですが、これは普通に寝ている時だけではなく昏睡状態になっても起こるのです。この状態は一目で区別がつくわけではありませんので、とりあえず起こしてみる必要があります。寝ているのであれば、叩くか揺するかすれば何かしらの反応があるはずです。目を覚まさないとしても、声で反応するのであれば寝ているだけでしょう。しかし、全く反応がない場合には昏睡状態の可能性が高いです。少しずつ激しく起こしていき、顔を叩いても反応がないようであれば、救急車を呼んでください。

急性アルコール中毒で意識不明になる?まずい?

意識不明の状態というのは急性アルコール中毒の中でも特に深刻な状態です。脳機能が麻痺するほどにアルコールが血液に混ざってしまっており、脳機能の麻痺に伴って心臓や肺が正常に働かなくなる可能性があります。放置しておくと命に関わる可能性が高いため、すぐにでも病院に運ぶ必要があるでしょう。呼吸と脈拍を確認し、場合によっては心肺蘇生法を実施してください。



【急性アルコール中毒関連の他の記事】


急性アルコール中毒と寒気、過呼吸、震えなどの症状の関係についてご紹介しました。アルコールが原因の体調不良を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師