「正しい手洗い」きちんとできていますか? アルコール消毒との効果の違いは?
- 作成:2021/09/01
「手洗いをしましょう」というと、そんな昔からある原始的で時代遅れなものが本当に役立つのか?と疑問に感じる方も多いかもしれません。そんな「手洗い」には、実は意外と侮れない効果がある、ということを改めて復習しておきましょう。
この記事の目安時間は3分です
Q.「手洗い」程度では、風邪やインフルエンザを防げない?
A.きちんとした手洗いは、風邪やインフルエンザに罹るリスクをしっかりと減らします。
流水と石鹸を使ったきちんとした「手洗い」を徹底することで、風邪やインフルエンザに罹るリスクを軽減することができます。清潔な水を手軽に使える日本では、むしろ「手洗い」ほど誰にでも簡単にできて確実な感染対策はありません。
きちんと行えば、侮れない効果がある「手洗い」
「外から帰ったときや何かを食べる前には手を洗いましょう」、「外で不用意に目や鼻・口を手で触らないようにしましょう」ということは、日頃からよく呼び掛けられている話です。しかし、これに対して「手洗いなんていう原始的なものが感染対策になるか」「もっと科学的な感染対策はないのか」という声もあがっています。どうやら、「手洗い」というものが“原始的”で“非科学的”な、ろくに効果の期待できないものだ、と思われている節もあるようです。
しかし、清潔な流水と石鹸を使ってしっかりと「手洗い」をする習慣を身につけることで、実際に風邪やインフルエンザの罹患率を軽減できることが、いくつもの研究から明らかになっています1,2,3)。つまり、「手洗い」は決して原始的でも非科学的でもなく、きちんと感染予防の効果が科学的に証明されている対策である、ということです。
ただし、ここで言う「手洗い」とは、指先だけをサッと濡らして終わるようなものではありません。爪の間、指先、指の間、手の甲、手のひら、手首など手全体をまんべんなく丁寧に石鹸で洗うもので、こうした「手洗い」をすると通常は最低でも30秒はかかります。一度、自分の「手洗い」が本当にきちんと行えているかどうか、その方法を確認してみてください。
(参考)
厚生労働省「手洗い」
・抗菌石鹸を使う必要はあるか?
手洗いの際に使う石鹸は、普通の石鹸で問題ありません。抗菌石鹸のようなものも販売されていますが、特にそういった商品を選ぶメリットはありません3)。
・アルコール消毒とどちらが効果的か?
手洗いと並んでよく感染対策として話題になるのが、70%程度のエタノールを使ったアルコール消毒です。このアルコール消毒と手洗いでは、基本的にどちらかが際だって優れているとか劣っているということはない4)ため、その場所、そのタイミングでやりやすい方を選んでもらえればOKです。ただし、上記のような「きちんとした手洗い」ができないような乳幼児や高齢者の場合は、アルコール消毒の方が簡単で効果的な可能性もあります5)。
また、手洗いとアルコール消毒は、どちらか片方をしっかりと行うことができれば、無理に重ねて行う必要はありません。
・手洗いや手指消毒で手が荒れる場合は、どうすれば良い?
石鹸を使った手洗いやアルコールでの手指消毒をずっと行っていると、皮膚が荒れてくることがあります。こういった場合、ハンドクリームを活用することで手洗いなどによる手荒れを防ぐことができます6)。 特別な成分の入った高価なものである必要はありませんので、自分の気に入ったハンドクリームを試してもらえればOKです。
“科学的っぽく見える”感染対策に注意
巷には様々な“感染対策グッズ“が溢れています。しかし、その多くは「雑貨」であり、感染リスクを減らすという効果が実証されたものではありません。場合によっては、人体に害しかもたらさないものまであります。こうした雑貨品に気をとられ、本来行うべき「手洗い」などの対策を疎かにしてしまっては本末転倒です。新しくて斬新そうに見えるものにあれこれと手を出すよりも、「手洗い」のような基本的な対策を根気よく続けていくことの方が、感染対策としては圧倒的に重要です。
1) J Sch Health. 2016 Dec;86(12):873-881.
2) Medicine (Baltimore) . 2016 Mar;95(11):e3046.
3) Am J Public Health . 2008 Aug;98(8):1372-81.
4) Pediatr Nurs. 2007 Jul-Aug;33(4):368-72.
5) Pediatrics. 2018 Nov;142(5). pii: e20181245.
6) BMC Dermatol. 2006 Feb 13;6:1.
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