「今回は粉薬…?」同じ薬が形を変えて処方されるわけ
- 作成:2021/10/08
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、お子さんへの処方薬を見て不思議に思ったお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
例えば、子どもが発熱した時、病院によって、処方される解熱剤が粉薬であったり、シロップであったり、座薬であったりします。
いつも、「38度を超えて辛そうだったら使ってください」というような説明を受けて処方されるので、ほぼ同様の効能かと思っていますが、
医師の皆様は、効能がほぼ同様の薬について、剤形は意識して使い分けされているのでしょうか?
医師の回答
結論から言うと、家で飲む薬の剤形は薬の効果の違いと言うより御両親と相談して決めているのが現状と思います。もちろん自分で意思表示できる成長したお子さんには「何なら飲める?」と直接聞いて決めたりします。
子供への薬の剤形を決めるのに大切な事は3つあります。
1つ目は受診時のそれぞれの症状に合わせた剤形の選択をする事です。嘔吐が頻回のお子さんに内服薬を出しても飲めません。また内服もできないような全身状態のお子さんに内服薬を出すのは効果が薄いでしょう。
2つ目は薬を投与するのに本人に苦痛を最小限にするよう考慮する事です。口から取る内服薬では薬の大きさ、味、食感の不快感など、皮膚に塗る外用薬では塗った後の感触など、個別に考えないといけない事は沢山あります。厳密に言えば外用薬一つとっても塗る場所によって軟膏、クリーム、ローションなどの使い分けは必要です。
3つ目はそれぞれの発達状況に合わせた剤形の選択が必要と思われます。小児は常に成長し体重や薬物動態の変化が著しいです。当然それらを考慮する事は大切ですが、自分で薬を認識して飲めるかどうかを考慮していく必要があります。
一般的な問題として、小児への子供の薬に関して日本は世界各国に比べると小児適応が少なく小児用製剤が少ないのが特徴です。国立成育医療研究センターは施設内に治験薬GCP準拠の製剤ラボが設立されており、製薬会社・大学・学会との新しい剤形の開発や検討も進められています。これらの活躍に期待したいところです。
参考文献
1:石川洋一.小児に適した剤形の必要性と小児用製剤の開発.Organ Biology 2018;25:51-55
2:横幕真紀. 小児製剤への期待. 薬剤学2015;75(1):15-21
3:厚生労働省. 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行なった医薬品のリスト
今西 洋介
小児科医/新生児科医。日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。
日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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