生理不順へのピル、漢方薬の効果 市販薬やサプリも効く?価格は?LEP製剤も解説

  • 作成:2016/02/26

生理不順には、ピルや漢方薬が用いられることがあります。市販薬もありますが、処方される薬に比べて効果が弱いなどの特徴があります。生理不順に使われる薬やサプリの考え方などについて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

生理不順で処方される薬 ピルとはどんなもの?

病院では、生理不順の治療としてピル(低用量経口避妊薬)が処方されることがあります。ピルは避妊に使われることでよく知られていますが、避妊以外にも生理不順、重い月経痛、月経前のイライラや気分不良、貧血にも効果があります。

ピルには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが配合されています。女性ホルモンを薬でコントロールすることによって、月経周期が安定する仕組みです。月経の初日から毎日1錠ずつ21日間飲み続けた後、服用を中止して3日から4日後に生理が来ます。

ピルを使えば、高い確率で生理不順が改善するほか、月経痛が重い・経血量が多すぎるといった「過多月経」と呼ばれるの症状も軽減できます。ピルには保険が適用されないため、自費診療となります。費用は病院ごとに決められていて、1か月分で約2,000円から3,000円くらいのところが多いです。生理不順に使用される低用量ピル(OC)は、含まれるホルモン量が少ないためそれほど重い副作用はありませんが、人によっては吐き気や乳房の張りなど、つわりのような症状が出ることがあります。

LEP製剤とは?

なお、避妊用のピルよりもさらにホルモン量を少なくした「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)」というものがあります。LEP製剤は月経困難症に対して保険適用となっています。ピルやLEP製剤を使う場合、喫煙者は血栓症や心臓・血管系の病気のリスクが高まるので注意が必要です。血栓症が起こると生命が危険にさらされる状態になる可能性もありますので、ピルを服用する前に血栓症の症状を知っておき、万が一血栓症の可能性が考えられる症状がみられる場合には、早めに診察を受けることが大切です。

生理不順に効果があるとされる漢方薬

生理不順の治療のひとつとして、漢方薬という選択肢もあります。副作用が少なく体に優しいということで、生活の見直しでは症状の改善が見られない場合や、ピルを飲むことに抵抗がある場合、あるいは妊娠を考えている場合には効果が期待されます。

生理不順に効くとされる漢方薬には、さまざまな種類があります。たとえば月経周期が長めで経血量が少なめ、普段から冷え性という方には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などが向いていると言われています。また、月経周期が短くだらだらと出血が続く場合は「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、月経周期が一定せず、肩こりやイライラがある方には「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、のぼせて便秘しがちな方は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」がよくすすめられる漢方薬です。漢方薬の処方を決定する際には、上記の症状の他に舌や腹、脈など、体質を確認するるとが必要になります。

漢方薬は、病院で処方してもらえるほか、薬局・漢方薬局、ドラッグストアで購入できます。なお、漢方薬を取り扱っている婦人科などもあり、その場合は保険が適用されます。一般的な薬局やドラッグストアでも漢方薬は売っていますが、個人の体質や症状に合わせた漢方薬を希望する場合は漢方薬局の方がよいでしょう。

ただし、処方箋がない場合には費用は自己負担となります。症状や内容にもよりますが、漢方薬の薬代は調合薬で1日1,000円前後、漢方製剤(錠剤や顆粒)は1日500円程度かかるとされています。

生理不順に効く市販薬はある?

効能に「生理不順」が含まれる市販薬は、多数販売されています。多くが、比較的安全に使用できる「第2類」「第3類」に分類される医薬品で、薬局、ドラッグストア、インターネット通販で薬剤師の面談なしに購入することができます。

病院に行くことも薬剤師と相談することもなく手軽に購入することができますが、個人の体質や体重、症状に合わせて処方されたものではないので、効果は限定される可能性があります。また、体力がない時は飲まない方が良い、肝機能障害がある方は重篤な副作用の危険性があるなど、服用の注意事項はよく読んでから飲む必要があります。

市販薬でも生理不順が改善することはありますが、長く服用しているのに効果が見られない場合は、婦人科を受診するのがよいでしょう。

サプリへの過剰な期待はやめましょう

生理不順が改善すると期待されるものの中に、サプリメントがあります。病院や薬よりも手軽に手に入るほか、より「自然に治る」感じがするとして一定の支持を集めています。しかし、本当に生理不順で悩んでいるなら、サプリメントへの過剰な期待はやめましょう。なぜなら、サプリメントの効能には真偽が疑わしいものが含まれているからです。

サプリメントには、医薬品とは違って「○○に効く!」と宣伝することに厳しい規制がありません。薬の場合、きちんと統計処理された臨床データによる裏付けが必要ですが、サプリメントには必要ありません。そのため、世の中には「このサプリメントで治った!」という情報があふれています。しかし、その効果はあるていど差し引いて考える必要があります。

たとえば「生理不順には大豆イソフラボンが効く」と一時ブームになりました。そのわけは「大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに構造が似ているから」というものでしたが、大豆イソフラボンを摂取しても体内の女性ホルモンに変化はないことはすでに証明されています。他にも、葉酸、鉄分、マカ、各種ハーブなど、一見体に良さそうなサプリメントが生理不順に効くとして多く販売されています。

栄養補助剤としてサプリメントを摂ることは悪いことではありませんが、それだけに頼ってしまうといつまでたっても正しい原因や治療法が見つかりません。生理不順の改善には、それぞれの体質や原因に合わせた治療をおこなうことが大切です。サプリメントだけで生理不順を治そうとするのではなく、病院を受診して正しい治療をおこなう際の補助的役割にとどめるようにしましょう。

生理不順で使われる薬についてご紹介しました。生理不順に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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