子宮内膜症の治療薬と副作用 ピル?ディナゲスト?漢方薬も使う?ホルモン療法とはどんなもの?
- 作成:2016/02/18
子宮内膜症では、薬を使って治療するケースがあり、低用量ピルやディナゲストなどが用いられています。ホルモン療法や漢方を用いる場合もあります。どんな薬や治療でもそうですが、効果には、副作用が伴います。どのような副作用があるのかも含めて、子宮内膜症で使う薬の種類を、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
子宮内膜症で使うピルの効果と副作用
子宮内膜症では手術を行う場合もありますが、薬物で治療をすることもあります。その治療の一つに低用量ピルを用いた治療があります。子宮内膜症は月経痛などの様々な痛みを伴うため、痛みを抑えるためにロキソプロフェン、イブプロフェンといった鎮痛剤を用います。しかし、患者の約20%は鎮痛剤を使っても、痛みをコントロールできないと言われています。
そこで、鎮痛剤の効果が薄い患者に対して、低用量ピルを用いることがあります。用いる低用量ピルには、卵巣ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と黄体ホルモン作用のある「プロゲステロン」を含む「E・P配合剤」と呼ばれる薬を用います。E・P配合剤は排卵の誘発を抑制し、卵巣からエストロゲン等のホルモンの分泌を抑制します。結果として、E・P配合剤は月経痛を軽減させるだけでなく、月経時の血液量を減らし、内膜症の進行を防ぐ効果があるとされています。
E・P配合剤にも通常の薬と同様、副作用が存在します。E・P配合剤を長期間使うと、子宮頸がんが増加する可能性があるもんおの、乳がんの発生率が増加することはないとされています。卵巣がん、子宮体がんは減少します。また、E・P配合剤の長期間の使用は狭心症など心臓の血管の病気の発症に影響するという報告もあります。そのため、E・P配合剤を長期間使用する場合は定期的な検診が重要になります。
子宮内膜症で使うジエノゲストの効果と副作用
ジエノゲスト(商品名ディナゲスト)は子宮内膜症に対して用いられる薬の一つで、プロゲステロンの効果に影響を与え、卵巣機能を抑制します。また、子宮内膜症自体の増殖を抑制することにより子宮内膜症の症状を改善します。結果として、ジエノゲストを服用すると月経はなくなり、月経に伴う痛みも改善されます。また、ジエノゲストは月経だけでなく、下腹部痛や腰痛、性交痛、排便痛といった子宮内膜症の痛みも改善します。
ジエノゲストにも、不正出血などの副作用があります。ジエノゲスト服用中の子宮内膜はもろく、はがれやすい状態になっています。その結果、予期しない時に不正出血が起こりやすくなります。また、ほてりや頭痛といった副作用も見られることがあります。
ホルモン療法の概要
子宮内膜症は、その発生にエストロゲンという女性ホルモンが影響していると考えられています。そこで、何らかの方法で、エストロゲンの作用を抑えようという、「ホルモン療法」が選択される場合もあります。ホルモン療法は大きく2つに大別できます。エストロゲンとプロゲステロンを投与して、妊娠中と同じ状態を作り出す「偽妊娠療法」や、薬物や注射、点鼻薬で閉経時と同じ状態を作り出す「偽閉経療法」があります。ホルモン療法は体に傷をつけず、薬で治療できるのが利点です。しかし、治療をやめると再発する恐れがあります。さらに、ホルモン療法を行っている期間は妊娠ができないため、妊娠を希望する場合は治療を中断しなければならないという欠点もあります。
漢方薬を使う場合もある
子宮内膜症の症状にもよりますが、漢方薬が治療薬として用いられることがあります。漢方薬だけでも効果が得られることもありますし、ホルモン療法との併用、あるいはホルモン療法による治療が終了してからの状態を維持するために、使われることがあります。処方例としては、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」などが用いられています。漢方薬の使用については、医師と十分相談してみましょう。
子宮内膜症で使う薬についてご紹介しました。もしかして子宮内膜症かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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