十二指腸潰瘍の検査と診断 瘢痕の意味や危険性、診断の3段階、「胃カメラ」「胃透視」の役割などを解説

  • 作成:2016/01/06

十二指腸潰瘍は、胃透視と胃カメラという2つの検査を用います。健康診断などで聞くことがあるかもしれませんが、「瘢痕」とは傷跡のことです。瘢痕は傷跡だからといって油断できない理由があります。十二指腸潰瘍の検査や瘢痕の意味について、医師の監修記事で、わかやすく解説します。

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十二指腸潰瘍の検査を知ろう

十二指腸潰瘍の検査 胃透視とは?

十二指腸潰瘍の検査の1つは「胃透視」というものです。胃透視は「胃を透かして視る」という意味です。実際の観察範囲は胃だけでなく、食道や十二指腸の入り口も含まれます。胃透視は検診でよくおこなわれる検査で、胃をふくらませる薬を服用後にバリウムを飲んで、レントゲンで形を観察します。

実際の検査は、胃の中が空になるように絶食して準備します。まず、胃をふくらませる発泡剤(バリウムなど)を服用します。その後、レントゲンの検査台に乗ります。検査台では横になったり起き上がったりします。さらに患者さん自身で右を向いたり左を向いたりと体の向きを変える必要があります。そのため自分自身で動けない人や1人で立てない人、指示に従えない人は、胃透視の検査は向いていません。

十二指腸潰瘍は胃の入り口にできやすい性質があります。そのため、胃透視で、十二指腸に変形や壁のひきつれがあると十二指腸潰瘍と診断されます。ただし、検査途中でゲップをしたり、十二指腸の入り口に空気が十分入らないと、検査がうまくいかず、十二指腸の状態を正しく評価できないこともあります。

十二指腸潰瘍の検査 胃カメラでは何がわかる?

十二指腸潰瘍のもう1つの検査は胃カメラです。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれます。胃カメラには口からカメラを入れる「経口カメラ」と鼻から入れる「経鼻カメラ」があります。カメラは、喉を通って食道・胃・十二指腸の入り口まで進んで、体内を観察します。

十二指腸潰瘍の3段階とは?

十二指腸潰瘍以下の3段階で診断されます。

・発症直後で粘膜がはがれた状態である「活動期」
・傷口が縮んでいく途中の「治癒期」
・傷口が閉じてひきつれだけが残っている「瘢痕期(はんこんき)」

胃カメラの検査の場合、必要に応じて、細胞を採取して、がん細胞がないかをみる検査もできます。

瘢痕とは何か?

「瘢痕期」の「瘢痕」とは傷跡という意味です。十二指腸潰瘍の場合、瘢痕とは「過去に十二指腸潰瘍があったけれども今は治癒している状態」という意味です。瘢痕は消えずにずっと残る場合もあります。

瘢痕があると繰り返しやすい

検査を行い、十二指腸潰瘍の瘢痕があるといわれた場合、「もう治っているから気にしなくてよい」というわけでなく、気をつけることがあります。

1つは、十二指腸潰瘍は繰り返しやすいということです。ストレスに弱い、胃酸が出やすい、粘膜を守る力が弱いといった体質や、痛み止めを頻繁に服用している、辛い食べ物が好きといった環境などが、十二指腸潰瘍の一因になっている可能性があります。十二指腸は胃と比較して細い臓器なので、潰瘍を繰り返すと変形が強くなり、食べ物がつっかえることもあります。重症の場合は手術が必要です。

2つ目に、ピロリ菌に感染していないか検査を受けた方がよいということです。ピロリ菌は十二指腸潰瘍以外に胃潰瘍、胃がん、胃炎などの原因になる菌です。ピロリ菌に感染したままだと十二指腸潰瘍を繰り返す可能性が上がるほかに、胃がんになる可能性も上がります。そのため、十二指腸潰瘍と診断された場合は、潰瘍自体が瘢痕になって治癒していても、ピロリ菌がいないかどうか1度調べることが良いと考えられます。



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十二指腸潰瘍について検査などをご紹介しました。もしかして十二指腸潰瘍かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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