子どもに市販薬、使っていますか? 注意したい薬と、困った時の対応法

  • 作成:2023/01/23

AskDoctorsでは、子どもの病気やケアで親が悩みがちなポイントについて、小児科医の森戸やすみ先生に解説していただいています。連載第16回のテーマは「市販薬の選び方、使い方」。薬局やドラッグストアには、子ども用の風邪薬や解熱鎮痛剤なども市販されています。そもそも子どもに市販薬を使ってもいいものなのか、使う場合の選び方や注意点などについて、森戸先生にお話を伺いました。

森戸 やすみ 監修
どうかん山こどもクリニック 
森戸 やすみ 先生

この記事の目安時間は3分です

子どもに市販薬、使っていますか? 注意したい薬と、困った時の対応法

症状がやわらぎ、水分や食事がとりやすく

子どもの体調不良は突然起こることが多いものです。特に冬場は風邪やインフルエンザといった感染症にかかりやすく、かかりつけの小児科の診療時間が終わったあとや、休診日の土日だと困ってしまう親御さんもいることでしょう。
夜間救急外来や休日診療に子どもを連れて行こうにも、待ち時間が長かったり、違う病気に感染してしまったりすることを考え、躊躇する場合もあるかもしれません。

そんな時、ドラッグストアに並ぶ市販薬を見て「うちの子どもに使いたいけれど、なんとなく不安…」と思う保護者も多いのではないでしょうか。

市販薬の中には、商品名や有効成分量が少し違うものの、医療機関で処方される薬(処方薬)と同じような薬もあります。風邪をひいて咳がひどいときや、熱が上がってきて苦しそうなとき、急場をしのぐために市販の風邪薬や解熱剤を使ってもかまいません
普通の風邪などの場合、市販薬で症状が少し楽になれば、水分や食事をとりやすくなります。食欲がわいて、ぐっすり眠ることができれば、少しでも楽に過ごすことができますから、上手に活用してください。

特に解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)は常備しておくといいかもしれません。もしも子どもが新型コロナウイルス感染症に感染し、保護者が濃厚接触者になれば、小児科を受診することも薬を買いに行くことも難しくなってしまいますからね。

また、冬場はかゆみや乾燥などの皮膚のトラブルも気になりますが、症状が軽いものであれば市販薬で対処できます。保護剤のワセリン、保湿剤のヘパリン類似物質、セラミドを配合したクリーム、かゆみや炎症を抑える弱めのステロイドなども、薬局やドラッグストアで手に入ります。

「効かないから多めに」は絶対に×

子ども向けの市販薬は安全性を重視して作られているので、通常は問題なく使用できます。しかし、総合感冒薬の中には、けいれんを誘発する「抗ヒスタミン薬」が含まれているものもあります。熱性けいれんを起こしたことがある子どもには、使わないようにしてください。

また、咳止め薬の中には、長期間漫然と摂取を続けると依存性が生じる「エフェドリン」などの成分が含まれている場合があります。使用する際は、必ず用法・用量を正しく守りましょう。使用しても咳が止まらないからといって、多めに飲ませるようなことはしないでくださいね。

最近は、子ども向けの「漢方薬」も市販されています。子どもが嫌がらずに飲むのなら問題ありませんが、漢方薬は独特の匂いや味があって、飲みづらい子どもも多いもの。風邪の際に無理に飲ませる必要はありません。漢方薬は「穏やかに効く」「副作用がなく安全」というイメージがあるかもしれませんが、即効性がある漢方薬や、副作用が出ることもあります。他の市販薬と同じように、用法・用量は必ず守りましょう。

なお、小児科で処方する薬は、その子のその時点の症状に合わせているので、使いきるのが原則です。きょうだい間の共用や、保存しておいて次の機会に使うことはできません。
それに対し、市販薬は多くの子どもの広い症状に効くように作られているので、用法・用量を守ればきょうだいで共用できますし、ある程度の期間は保存も可能です。とはいえ、何年も持つわけではありません。シロップなどは「開封後〇日以内に使用」などと表示されていますから、注意書きをよく読んで適正に使用してください。そして子どもは思わぬことをするものなので、処方薬でも市販薬でも1人で飲んだりしないように気をつけましょう。

薬剤師は薬のプロ、気軽に相談を

たくさんの市販薬の中からどのようなものを選べばいいのか迷ったり、不安を感じたりする方も多いでしょう。そんなときは、薬局やドラッグストアにいる薬剤師さんに相談してみることをお勧めします。

薬剤師さんは薬のプロフェッショナル。子どもの年齢や症状、使いやすい薬の形状などを伝えると、適した市販薬を選んでくれます。例えば、解熱剤が欲しいけれど薬を飲むのが苦手な子どもには、「坐薬もありますよ」などと勧めてくれたり、薬の上手な飲ませ方を教えてくれたりします。薬のことなら、遠慮なく質問してみてくださいね。

1971年、東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内のどうかん山こどもクリニックに勤務。『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)、『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など著書多数。二児の母。

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