RSウィルス感染症とは?
- 作成:2015/09/28
RSウィルス感染症は、冬に流行し1〜2歳までの赤ちゃんがかかると肺炎や気管支炎を引き起こします。今回はRSウィルス感染症の症状について紹介します。
この記事の目安時間は3分です
どんな症状がでるの?
RSウィルス感染症の症状は、発熱、鼻水、咳で大概は上気道炎症状(風邪)のようなものです。
初めて感染した乳幼児も約70%は上気道炎症状を呈し、徐々に改善していきます。しかし、約30%ではその後に咳がひどくなり、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が起きることがあります。喘鳴とは、呼吸のための空気の通り道である気道(きどう)が部分的に狭くなり、呼吸の際にゼイゼイ、ヒューヒューと鳴る音です。
さらに症状が進み、細気管支炎(さいきかんしえん)、肺炎へと症状が悪くなり、入院が必要になることがあります。
生後1か月の乳児に感染すると経過が典型的でないため診断が遅れることもあり、無呼吸発作により死亡する可能性もあります。
また、未熟児や心疾患、神経筋疾患、免疫不全の乳幼児は重症化しやすいと言われています。
RSウィルスは大人になるまで何度も感染するため、大人がかかっても上気道炎症状程度でほとんど重症化はしません。しかし糖尿病や心疾患などの持病があったり、高齢だと大人でも重症化することがあるので注意が必要です。
RSウィルスにはどのように感染する?
RSウィルスの感染経路は飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染です。
RSウィルスに感染している人の咳や鼻水、くしゃみに含まれているウィルスを吸い込んで感染することを飛沫感染と言います。RSウィルス感染は主に冬に流行しますが、冬は空気が乾燥してウィルスを含んだ痰や鼻水が一度地面に落ちたとしても空中に舞い上がりやすく、通学や通勤中にそれを吸い込んでしまうと感染します。
接触感染は、RSウィルスに感染した人が触ったおもちゃ、ドアノブや机、タオルなどを感染していない人が触り、手を介して鼻や口からウィルスが入ってしまうことです。ウィルスを吸い込まないようにマスクをして、手洗い、うがいをすることは感染を防ぐために重要です。また、ウィルスを舞い上がらせないために加湿器も有効です。
生後間もない赤ちゃんは要注意
RSウィルスは生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%が感染し、大人になるまで感染を繰り返すと言われています。
大人は何度もかかっているため体の中で免疫が反応しやすいと言われていますが、初めてかかる赤ちゃんはまだRSウィルスに対する免疫ができていないので重症化することがあります。特に生後3か月未満の赤ちゃんでは呼吸停止を起こす可能性も高いため注意が必要です。
RSウィルスは大人が感染しても風邪程度の症状なので気付かれにくく、知らない間に家庭で乳幼児にうつしてしまう可能性もあります。咳や鼻水が出ている時には、マスクをするなどしてなるべく近くに行かないように注意してあげた方が良いです。
RSウィルス感染症の治療について
RSウィルス感染症に対するワクチンや特効薬は現在のところありません。そのため対症療法と言って、発熱に対して解熱薬(げねつ)、咳や鼻水に対しては止める薬を飲みます。
呼吸状態が悪い時には酸素を吸入することがあります。乳幼児で呼吸状態が悪い時には、入院して経過を見ます。
唯一RSウィルス感染の重症化を防げる予防法として、パリビズマブという抗体(こうたい)の投与があります。しかしこの注射は、未熟児や心疾患、神経筋疾患、先天性免疫不全をもつ乳幼児にしか保険適応がありません。
今回は冬に流行するRSウィルス感染症の症状について解説しました。この病気は小さい赤ちゃんがなると重い症状が出る場合があり注意が必要です。この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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