子供の動悸の原因とは?
- 作成:2015/10/30
振動がドキドキすると感じる動悸(どうき)の症状は子供でもなることがあります。今回は、子供に動悸の症状が出た場合、考えられる病気はどのようなものがあるかについて解説します。
この記事の目安時間は3分です
子供の動悸と考えられる病気
緊張しているときなどに心臓がドキドキすることがありますが、特に理由が見当たらないのにドキドキ、バクバクと心臓の拍動を感じてしまうことがあります。これは、動悸と呼ばれる症状です。血液や心臓にまつわる病気などの、身体的な原因のために引き起こされることがあります。
動悸は大人によく見られる症状ですが、子供にも起こることがあります。考えられる主な原因に、小児貧血(しょうにひんけつ)とWPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイトしょうこうぐん)があります。
もし子供が、よくドキドキする、胸が苦しいときがある、というように動悸を訴えたら、小児貧血やWPW症候群の可能性がないか探ってみましょう。
小児貧血とは?
子供に起こる貧血を、総じて小児貧血と呼びます。
動悸を伴う小児貧血の場合、鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)が疑われます。私たちの身体に流れる血液には、ヘモグロビンという酸素を運ぶために欠かせない物質があります。ところが、栄養の偏りや不足によって鉄分が足りないと、身体がヘモグロビンを作れなくなってしまいます。そうして血中のヘモグロビンの数が少なくなると、動悸やめまい、体がだるいなどの症状となって現れます。これが鉄欠乏性貧血です。動悸の症状を訴える子どもの顔色が青白かったり、倦怠感があったりする場合はこの病気が疑われます。
鉄欠乏性貧血は、鉄分を食事からしっかり採ることで改善が期待できます。サバやイワシ、カツオなどの青魚は鉄分が豊富で、成長期に必要なカルシウムも含まれているため貧血対策に有効です。また、鉄分の吸収をよくするため、レバーなどに含まれる動物性タンパク質や、ホウレンソウなどに含まれるビタミンCもおすすめです。毎日手軽に摂れる食材なら、ひじき、納豆、卵などが挙げられます。
WPW症候群とは?
WPW症候群とは、不整脈を引き起こす先天性の心疾患です。本来心臓には、鼓動を起こさせるための電気の通り道が1本だけあります。ところがWPW症候群の人は、この電気の通り道が生まれつき2本あるのです。
この疾患を持っていても、普段は通常と同じように電気の通り道を1本だけ使って心臓を動かしています。しかし、時々もう1本の通り道を電気が逆流してしまい、2本の通り道の中をぐるぐる回り続けてしまう発作が起こります。発作が起こると、脈拍は毎分150~250までに速くなってしまい、ドキドキと胸が苦しく感じます。発作は突然起こりますが、通常であれば3~10分ほどでぴたりと止まります。 気を付けなければならないのは、発作性心房細動(ほっさせいしんぼうさいどう)が起こった場合です。発作性心房細動とは、心房内のあちこちから電気信号が発生してしまう不整脈の一種です。通常の人であればそれほど恐ろしい症状ではありませんが、WPW症候群の人に起こると、脈拍が毎分240~300、あるいはそれ以上に速くなってしまい大変危険です。意識不明、呼吸困難に陥り、最悪突然死するケースもあります。
WPW症候群は、ほとんどの場合心電図ですぐに分かります。WPW症候群と診断された場合は、症状がどの程度かをよく観察し医師と相談しましょう。症状が軽ければ、特に運動制限などをつけず普通に生活できます。生まれつきの心臓の構造が原因のため、完治させるにはカテーテル手術が必要です。
子供の動悸の治療法について
子供が動悸を訴えたら、まずは原因を探るため小児科や循環内科を受診しましょう。小児貧血であれば食事療法、WPW症候群であれば観察・対処など、大人がきちんとサポートしてあげて下さい。 今回ご紹介した以外にも、ストレスなど精神的な原因やWPW症候群以外の不整脈などの可能性もあります。子供が「胸が苦しい」などと訴えたら、どんな風に苦しいか、どんな時に苦しいかなど、なるべく詳しく症状を聞きましょう。他にも、動悸が起こる頻度などを把握することも原因をつきとめる手がかりになるかもしれません。
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