更年期障害が原因の動悸とは?対処法は?
- 作成:2015/11/02
心臓がドキドキすると感じる動悸(どうき)の原因の一つの更年期障害(こうねんきしょうがい)があります。今回は、なぜ更年期障害で動悸が起こるのかについ、対処法も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
更年期障害とは?
女性は、卵巣の働きが衰えて閉経を迎える頃からエストロゲンという女性ホルモンの量が急激に減少します。そこで脳は、女性ホルモンの分泌を増やすように命令を出しますが、卵巣の働きが衰えているためにエストロゲンを分泌することができません。すると脳からの命令を全身に伝える自律神経の働きが乱れてしまい、体や心の不調としてあらわれることがあります。これが更年期障害です。
更年期の主な症状は、体の不調と心の不調に分けられます。体の不調の症状として、ホットフラッシュと呼ばれる顔のほてりやのぼせ、動悸や息切れ、突然の大量の汗、血圧の上下、耳鳴り、頭痛、めまいなどがあります。心の不調の症状には、イライラ、不安感、うつ状態、不眠などがあげられます。
更年期障害の場合は、検査をしてもとくに異常がないのも大きな特徴ですが、つらいのを我慢して仕事や家事をこなそうとすると不調が長引いてしまう可能性があります。また、体や心の不調を更年期のせいと自己判断してしまう人も少なくありませんが、甲状腺の病気や、子宮がんなど他の病気が不調の原因のことがあります。これらの症状が気になったら、無理に我慢はせず早めに婦人科を受診しましょう。
どうして更年期障害で動悸が起きる?
更年期障害の症状には個人差がありますが、人によっては心臓がバクバクと速く大きく脈打つ動悸や息切れが起こることがあります。これらの原因はよくわかっていませんが、体がエストロゲンの減少による変化に対応できずに自律神経のバランスが乱れ、緊張したときや興奮したときに活発になる交感神経の働きが、リラックスしたときに活発になる副交感神経の働きよりも強くなってしまうためと考えられます。
ただし、動悸は心臓や肺など呼吸・循環器の病気、甲状腺の病気、貧血など更年期障害以外の病気が原因の場合もあります。そこで、動悸や息苦しさが気になるときは内科を受診して異常がないか検査を行い、とくに異常がないときは婦人科を紹介してもらいましょう。
動悸が起きた時の対処法
動悸が起きたときは、無理をして動こうとせず、服をゆるめて楽な姿勢で安静にしましょう。可能であれば横になるとよいでしょう。多くの場合は、短時間で症状が落ち着きます。アルコール、タバコ、カフェインは交感神経の働きが活発になり動悸が起こりやすくなるため、なるべく控えるようにしましょう。また、ストレスも交感神経の働きが活発になる一因です。普段からストレスを溜めないように、体も心もリラックスするように心がけましょう。
ただし「また動悸が起こるのでは」と心配しすぎると、仕事や家事など毎日の生活に影響を及ぼしてしまうこともあります。動悸に対して不安が強いときは、必要に応じて抗不安薬や漢方薬などを使用することもあります。
更年期障害の治療法について
更年期障害の主な治療法は、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬などがあります。ホルモン補充療法は、外からエストロゲンを補い更年期のさまざまな症状を軽減する治療法で、飲み薬、貼り薬、ジェル剤があります。ただし、乳がんや子宮がんにかかっている人、血栓症になったことがある人は原則的にホルモン補充療法は受けられません。この他にも過去の病歴や治療中の病気によってはホルモン補充療法が受けられないことがあります。そのため、ホルモン補充療法を始める前には、これらの病気でないことを確認するための検査を行う必要があります。また、喫煙者がホルモン補充療法を行うと、血栓ができやすくなるため、ホルモン補充療法を行うときは禁煙が望ましいとされています。
ホルモン補充療法以外の治療法には漢方薬を用いる他に、その人の症状に応じて、不安を和らげる抗不安薬、寝付きを良くする睡眠導入剤、うつ状態を軽減する抗うつ薬などを使うこともあります。
更年期障害について、動悸の症状との関連をご紹介しました。もしかして更年期障害かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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