女性の更年期障害症状とかかる年齢 うつ病に似ている?
- 作成:2015/12/17
更年期障害は、ホルモンの減少で起きる女性に多い病気です。特に、原因となる体の変化は見つかりませんので、ホルモンの少ない状態に体が慣れるまで対応するのが一般的です。また、うつ病や甲状腺の病気と症状が似ている部分がありますので、注意が必要です。なりやすい年齢を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
更年期障害は50歳前後の女性に多い
更年期障害とは、閉経を中心とした約10年間の「更年期」と呼ばれる時期に、体や心の不調があるものの、特定の病気や体の異常がみられない状態のことです。更年期障害が最も起こりやすいのは45歳から55歳前後の女性ですが、閉経が早い人は、更年期障害も早い時期に現れます。また、更年期障害の多くは女性に起こりますけれど、男性にも更年期による変化と思われる症状がみられることがあります。
更年期障害の原因は、40歳を過ぎたころから卵巣の働きが衰えることで、「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌が減るためです。体内のエストロゲンが急減してしまうと、全身機能のバランスを調整する自律神経の働きが乱れ、体や心の不調がみられます。また、更年期障害は、患者さん本人の体の変化だけでなく、家庭や職場などの人間関係などをはじめとする社会的、環境的要因も複雑に影響しているとされています。
更年期にはほとんど自覚症状がない人がいる一方で、更年期障害によって日常生活に大きな支障が及んでいる人もいるなど、現れる症状や程度に個人差が大きいというのも特徴です。体や心の不調を感じて医療機関を受診したものの明らかな異常がみられないときには、更年期障害の可能性があると考えられます。思い当たる場合は、一度婦人科に相談してみましょう
心と体、両方の症状がある
更年期障害の症状には個人差がありますが、大きく分けると身体の症状と心の症状の2種類があります。このうち、最初に現れやすい症状として、突然の大量の汗、のぼせやほてり、不眠などがあります。これ以外の主な身体の症状には、頭痛、めまい、動悸、倦怠感、関節痛、肩こり、腰痛などがあり、女性の場合はとくに肩こり、腰痛が現れやすいとされています。心の症状として主なものは、イライラ、不安、不眠、記憶力低下、もの忘れなどがあげられます。
うつ病や甲状腺の病気に似ている
更年期障害であるかを診断するためには、問診や診察の他に、血液検査などのを行うことがあります。また、更年期障害は甲状腺の病気やうつ病などと症状が似ているため、これらの病気でないことを確認するための検査を行うこともあります。
更年期障害の治療は、体内に不足しているエストロゲンを飲み薬、貼り薬、塗り薬などで補うホルモン補充療法(HRT)が中心です。ただし、この薬は、乳がん、脳卒中など体内の血管がつまる病気などにかかったことがある人は使用できないことになっています。また、喫煙者の場合は、血管がつまる病気になる可能性があるため、禁煙するか他の治療法を選ぶことが望ましいとされています。
ホルモン補充療法(HRT)以外の治療法には、漢方薬や、症状を軽減するために寝付きをよくする薬、不安や緊張を抑える薬などを合わせて使うことがあります。また、閉経からしばらくすると身体がエストロゲン不足の状態に慣れるために、だんだん更年期障害の症状が軽くなり、やがて治まることが多いです。
確実に予防することはできない
更年期障害は、年齢とともに体内のエストロゲンが減少することが原因であるため、更年期障害を100%予防することはできません。ただし、体内のエストロゲンが減少するとされる40歳ごろから、エストロゲンを補うことで更年期障害が起こりにくい状態にすることは可能です。また、予防のためには、普段から規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないようにすることも大切です。
また、更年期障害の症状の程度は、家族や周囲の人の理解も大きく関係していると考えられています。家族や友人に、更年期障害の症状をはじめ家庭、職場、介護などの悩みを話すことで気持ちが落ち着き、症状も軽減されやすいと言われています。
ただし、更年期障害による症状がひどく仕事や家事などにも支障があるときは、無理をしてしまうと症状が長引いてしまいます。症状がつらいときには、周囲の人に協力をお願いし、静養に努めることも大切です。あまり我慢しすぎずに、婦人科で相談したほうがよいこともあります。
更年期障害について女性の症状などをご紹介しました。もしかして更年期障害かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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