更年期障害の治療の流れ - 何科を受診?どんな検査を行うの? -

  • 作成:2025/01/08

顔がほてったと思ったら頭痛がしたり、気分がイライラしたり。更年期症状は非常に多様で、病院を受診するほどのことなのか、受診するとしたら何科なのか迷うこともあるかもしれません。そうしたときは、一度、婦人科(産婦人科)に相談してみてください。婦人科医は子宮や卵巣の病気だけでなく、女性ホルモンに関わる病気の専門家でもあります。

柴田 綾子 監修
淀川キリスト教病院 産婦人科医長・産婦人科専門医
柴田 綾子 先生

この記事の目安時間は6分です

キャッチ

問診では「月経歴」がカギとなる

更年期障害は標準的な診断基準がなく、まずは問診や検査を通してほかの病気の可能性を除外していきます。その上で、症状、年齢、生活背景などから総合的に判断して、更年期障害であるかを診断します。

【問診】
症状がいつから始まり、どのように困っているのか確認します。この際、重要なのが「月経歴」です。更年期は女性ホルモン「エストロゲン」の低下によって、月経周期が不順になったり、経血の量が増減したりします。また、最終月経から1年以上たって月経がなければ「閉経」と診断でき、更年期症状か否かの重要な判断材料となります。

更年期障害には、エストロゲンの低下だけでなく、生活環境の変化や心理的ストレスなども関係していることがあります。そのため、問診では日常生活でのストレスや、睡眠は十分にとれているかなども確認します。

〈更年期障害に関する問診でよく聞かれる事項〉

  • 困っている症状(いつから、どんな状態か)
  • 月経歴(最終月経、月経周期、経血の量など)
  • 既往歴
  • 使用している薬
  • 生活環境、人間関係などの周辺状況

【検査】
内診、経膣超音波検査、血液検査などにより、症状の原因を調べます。
内診や経膣超音波検査では子宮や卵巣の様子を確認します。血液検査では、エストロゲンと卵胞刺激ホルモン(FSH)の値を調べます。閉経するとエストロゲンが低下し、FSHの値が上昇するためです。閉経前後にはこれらの女性ホルモンの値が大きく変動するため、これらの値だけから更年期障害かどうかを診断することはありません。

ほかにも、血液検査でコレステロール値や血糖値、肝機能や甲状腺機能などの数値を調べたり、心電図や骨密度の検査などを行ったりする場合もあります。更年期の女性によくある生活習慣病や甲状腺疾患が隠れていないかを確認するためです。

〈更年期障害の診察時によく行われる検査〉

  • 内診
  • 経膣超音波検査(エコー)
  • 血液検査
  • その他(尿検査、血圧測定、心電図、骨密度検査など)

オンライン診療でフォローアップを受けられる場合も

問診や検査の結果、身体の病気が見つかったらそちらの治療をおこないます。中等度以上のうつ病など精神症状が重い場合は、精神科の受診をおすすめすることもあります。

更年期障害と診断された場合は、症状に応じた治療を行います。治療には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、抗うつ薬、サプリメントなどがあります(詳細は「治療法」のページ参照)。

更年期は、一般的に閉経前後の5年間、10年程度続くため、更年期障害も短期間で終わるものではありません。医療機関によってはオンライン診療での問診や、薬の宅配(もしくは近所の調剤薬局で受け取り)に対応しているので、無理なく通院できるようご自身にあった合った受診方法をご検討ください。

2006年 名古屋大学情報文化学部を卒業し群馬大学医学部に編入
2011年 沖縄で初期研修を開始し、2013年より現職
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から、母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)、『産婦人科ポケットガイド』(金芳堂)、『女性診療エッセンス100』 (日本医事新報社)など。

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