西洋薬と漢方薬の成分・副作用の違い 副作用のない薬はない?薬を飲む必要性も解説
- 作成:2015/11/24
薬は大別すると、西洋医学に基づく薬と、東洋医学に基づく漢方がありますが、西洋医学の薬のほうが、ある原因を狙って効き目のある成分をしぼって作られるため、副作用も強くでやすいです。また、薬に限らず医療は、すべてリスク(よくないこと)とベネフィット(よいこと)がありますので、良い効果だけを期待するのは難しいと言えるでしょう。薬の種類と副作用の考え方について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
西洋医学と東洋医学の違い
西洋医学は300年から400年の歴史があり、日本では最近約100年間、西洋医学の考え方に基づいて医学が発展してきました。戦争や感染症の流行の度に進歩を重ね、外からの原因や特定の臓器による疾患に対しては強い力を発揮する医学です。一方、東洋医学は2000年から3000年の歴史があり、長い年月をかけて人間の体の内部環境を整えることを主な治療として発展してきました。鍼(はり)やツボ、漢方薬は東洋医学に分類されます。
西洋の薬と漢方薬の違い
西洋医学から発展した薬(西洋薬)は、有効成分が単一で切れ味が鋭いことが特徴です。例えば抗菌薬により感染症の原因となる菌を殺したり、熱や痛みをとったり、血圧や血糖を下げるなど1つの症状や病気に対して、1つの薬剤が対応し、強い効果があります。
一方、東洋医学で使われる漢方薬の材料は草根木皮などの自然のもので、複数の生薬を組み合わせています。そのため、それぞれの生薬が含む多くの有効成分により1つの漢方薬で、複数の病気や症状の治療に有効です。西洋薬で効果がない場合や慢性的な病気や全身的な病気の場合、効力を発揮できる可能性があります。例えば漢方薬で最もよく処方される葛根湯(かっこんとう)は、風邪のひきはじめだけでなく、頭痛や肩こり、蕁麻疹(じんましん)などにも効くと言われています。
全ての薬に副作用がある
全ての薬は、薬の本来の目的である主な作用と、期待していない作用である「副作用」の両方を併せ持っています。風邪薬や花粉症の薬を飲んだ後、眠くなったことがある人も多いかと思います。これは薬の抗ヒスタミン作用が脳にも作用して眠気を引き起こすからです。副作用の症状には眠気だけでなく、発疹、かゆみ、胃痛、吐き気、めまい、けいれん、下痢、肝機能障害や腎機能障害など様々なものがあります。
眠気などの軽度の場合は車を運転しない、仮眠をとるなどの対策をすればよいこともありますが、副作用によっては内服を続けると体に悪影響を及ぼすだけでなく、副作用に対する治療が必要になってしまうこともあります。どのような状況でも、薬の副作用かもしれないと思った時には、処方された病院、医師に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。また、副作用の出る原因も様々で、「胃腸の調子が悪かった」「薬の成分が病気の部分以外の所に作用した」「アレルギー反応が出た」「用量を間違えて多く飲んでしまった」「他の薬との併用で薬の効果が増強された」などが考えられます。
漢方薬にも副作用がある
漢方薬は自然の素材を使用しているので副作用がないと考えている人もいますが、漢方薬も薬の1つなので副作用が起きることもあります。ただし、西洋薬に比べると程度も軽く頻度も少ないことが多いです。漢方薬の副作用は、体にその生薬が合わない場合に出ます。具体的な症状としては、胃腸障害、食欲低下、発熱、蕁麻疹、むくみ、動悸、不眠、血圧上昇、肝機能障害などです。西洋薬と同様に漢方薬内服後に異常を感じた時にはすぐに処方された病院や医師に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。
なぜ、医師は副作用のある薬を出すのか?
薬には期待する効果だけでなく、副作用も起こることがあります。しかし、薬による効果(ベネフィット)が副作用(リスク)を上回ると判断された場合には医師から処方されます。薬の承認に関してもリスクとベネフィットを考慮し、臨床試験(人体への作用を見る試験)データを元に販売されています。例えば臨床試験で副作用が多く出過ぎた薬はリスクが高いため承認されません。
医療はすべて、リスクとベネフィットがある
薬だけでなく、医療における手術や処置などの治療、検査も全てリスクとベネフィットを考慮して行われています。例えば手術などは全身麻酔で行うので、麻酔によって引き起こされる症状だけでなく、手術部位からの出血や感染を起こす可能性があります。しかし、そのリスクを上回るくらい手術によるベネフィットが高い時には医師から治療法として提示されます。医師の十分な説明の後に、手術を受けるかどうかは患者や家族の意志に任せられています。
ワクチンによる予防に関してもリスクとベネフィットを考慮します。例えばインフルエンザワクチンによる副反応(ワクチンの場合は、副作用でなく副反応と呼びます)のリスクとワクチンによるインフルエンザ重症化の予防効果(ベネフィット)を天秤にかけ、どちらが良いかを選択します。医療におけるリスクとベネフィットのバランスとても大切ですし、医療を受けるほうも意識しておいたほうがよいでしょう。
薬の副作用などについてご紹介しました。薬による副作用に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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