漢方薬は、オブラートに包んで飲んでも良いですか?
- 作成:2022/04/25
漢方薬には独特の香りや味があるため、そのまま飲むのが苦手な人も少なくありません。そんなとき、匂いや味をわかりにくくするために「オブラート」を活用することはできるのでしょうか。漢方薬の香りや味が持つ意味から、その是非を解説します。
この記事の目安時間は3分です
漢方薬、基本的には、オブラートに包んで飲んでも問題ない
結論から申し上げると、漢方薬をオブラートに包んで飲んだからといって、効果がなくなってしまう、あるいはオブラートが漢方薬と相互作用を起こして副作用が起こりやすくなるなどのことは基本的にありません。そのため、漢方薬の独特の香りや苦味が嫌でどうしても飲めないという場合には、薬をオブラートに包んで飲む方法も、選択肢に入れていただいて大丈夫です。
香りや苦味にこそ意味がある漢方薬“芳香性健胃薬” “苦味健胃薬”とは
ただ、漢方薬の独特の香りや苦味には、それ自体に意味があるものもあります。たとえば、シナモンの「桂皮(ケイヒ)」、ショウガの「生姜(ショウキョウ)」、「山椒(サンショウ)」などは料理やお菓子などにもよく使われ、特有の香りがすることがはみなさんもよく知っていることかと思います。
実は、それらは特有の香りが唾液の分泌や胃腸の働きを促すことによって、食欲不振や胃もたれ、胃の不快感などを改善する効果が期待される、“芳香性健胃薬”に分類される生薬です。また、「千振(センブリ)」は苦い草として有名ですが、これも苦味によって同じ効果が期待される“苦味健胃薬”です。
※香りや苦味によって効果が期待される生薬の例
こうした生薬を含む漢方薬をオブラートに包んで飲む場合、その香りや苦味がほとんどわからなくなって飲みやすくはなりますが、この香りや苦味によって期待する“芳香健胃薬”や“苦味健胃薬”としての効果は、弱まってしまう可能性があります。そのため、可能であればオブラートなどを使わずに服用した方が良いです。
どうしても飲みづらい場合は、医師・薬剤師に相談を
漢方薬の場合、“この薬でなければならない”、“他の薬では代用できない”といったケースは、それほど多くありません。もう少し香りや苦味の弱い類似の漢方薬に切り替える、あるいは香りや味のほとんどない西洋薬に切り替えるといった方法で、その体調不良にアプローチできる可能性があります。苦手な薬を無理して飲もうとして、治療そのものを挫折する、薬そのものを嫌いになるといったことが起きてしまう前に、「今の薬は苦手で飲みづらい」と、気軽に医師・薬剤師に相談してもらえたらと思います。
(薬剤師)
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