8つの口唇ヘルペスと症状が似た病気 性病や薬が原因の場合も

  • 作成:2015/12/15

「口唇ヘルペス」は市販薬でも治る可能性のある病気ですが、安易に自分で決めつけると、別の病気であることを見逃してしまうことがあります。可能性のある病気を専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。なかなか治らない場合や不安を感じる時は、医療機関を受診しましょう。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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口角炎や性病でも似た症状が出る

口唇ヘルペスと間違えやすい疾患は、水ぶくれの症状を伴う皮膚疾患や感染症が多く、口唇ヘルペスだと思って放っておいたために適切な治療を怠ると、危険な場合もあります。皮膚科では、患部の皮膚や粘膜の水ぶくれを採取しての顕微鏡検査、ウイルスのタンパク質検出、あるいは血液検査で抗体を測定するなどして、口唇ヘルペスなのかどうか確定診断します。間違われやすい病気は以下の8つがあります。

口角炎: 口角(唇の両端)の皮膚や粘膜に、ひび割れ、ただれ、潰瘍ができる皮膚疾患です。口を開けた際に痛み、出血もあります。「カンジダ」と呼ばれる真菌が原因となることがあります。また、常に唇をなめる習慣がある、ビタミン欠乏、薬剤乱用、鉄欠乏症貧血でも発症しやすく、病気に応じた治療が必要です。

接触性皮膚炎: 個人によってアレルギー反応が起こる物質(化粧品、医薬品、洗剤、植物など)に接触することで炎症が起こります。痒みを伴うかぶれ、赤い発疹、水ぶくれ、腫れなどが現れます。治療には原因物質を排除する対策、炎症を抑えるステロイド薬などが用いられます。

固定薬疹: 抗生物質、消炎鎮痛薬、総合感冒薬(いわゆる風邪薬)などの特定薬物を服用するたびにアレルギー反応を起こし、患部に水ぶくれと赤い発疹が出ます。治療はアレルギー反応を示す薬物を服用しないことです。薬物服用のたびに症状が繰り返されますので、患部にあざが残る方もいます。

手足口病: 乳幼児に多く発症するウイルス感染症で、口の中、手のひら、足の裏に水ぶくれや発疹が出ます。発熱、喉の痛みを伴いますが、対症療法ですので特別な治療薬はありません。

とびひ: 「伝染性膿痂疹」とよばれ、乳幼児で発症する黄色ブドウ球菌やレンサ球菌による皮膚感染症です。水ぶくれ、強いかゆみが現れます。虫刺されや湿疹をかいたときの傷から、二次感染する場合がほとんどです。治療には、通常の飲む抗生物質や抗菌薬の塗り薬が用いられます。

尋常性天疱瘡: 唇や口の中に突然水ぶくれができます。水ぶくれはすぐに破れますが、痛みを伴い、破れた後のただれは治りにくく、次第に全身に広がります。自己免疫疾患の一つで、この疾患が疑われる場合は、IgG型の自己抗体検査などが実施されます。治療には、ステロイド薬が用いられますが、重症の場合は免疫抑制薬も用いられます。治療を怠ると致死のこともあるため、水ぶくれ(まず口に現れる場合が多いです)ができたら、すぐに皮膚科を受診してください。

カンジダ症: 口の中や消化管に生育する「カンジダ」と呼ばれる真菌が増殖する疾患です。口の中、消化管、膣、性器、肛門の粘膜に、強いかゆみ、痛み、腫れ、灼熱感が出ます。健康な人でも、風邪、疲労、ストレスによって免疫力が低下している際に発症します。口の中に発症することは稀です。

梅毒: 皮膚の傷や粘膜に「梅毒トレポネーマ」という細菌が感染し発症する性感染症です。まず、痛みを伴わないただれが主に性器、時に口に出ます。3ヶ月ほどしてから、陰部や性器にただれを伴う「扁平隆起病変」が起こり、リンパ節に広がり、全身に「バラ疹」(小さな赤い発疹)が現れます。治療には抗生物質が用いられます。


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