子宮外妊娠の出血 生理や着床出血とどう違う?出血量や腹痛が鍵?
- 作成:2015/12/17
子宮外妊娠では、子宮でない部分に着床してしまうことで、組織が傷つき出血することがあります。生理の出血との違いはわかりづらい側面もありますが、生理との出血量の違いなどがあります。子宮外妊娠では、緊急に対応が必要になる場合も含めて、専門の医師の監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
「生理の出血」、「着床出血」のメカニズムを知ろう
女性の子宮は周期的に状態が変化しますが、その変化の中でも顕著なのが子宮内膜の増殖です。生理前には受精卵の着床に備えて子宮内膜が分厚くなり、生理直後の数倍になります。この分厚くなった部分がはがれ落ちていくのが生理なのですが、ただそのままボロボロと落ちていくのではなく、排出しやすいようにドロドロに溶けて血液状になるのです。これが経血であり、おりものと一緒に排出されてきます。
一方、着床出血(着床前出血と呼ぶ場合もあります)は受精卵が着床する際に受精卵から絨毛が子宮内膜に向かって伸びていく結果、子宮内膜に傷をつけてしまうことで起こるもので、子宮内膜全体が剥落する生理に比べると出血量は極めて微量で期間も1、2日で終わることがほとんどです。着床時に必ず起こるものではなく、確率的には低いものですが、正常な妊娠プロセスの一つであり、異常な症状ではありません。
生理による出血も着床出血も、異常があった場合の不正性器出血と区別が付きにくいことがあります。
着床出血と勘違いしやすい子宮外妊娠 腹痛に注意
生理や着床出血と間違われやすいのが、子宮外妊娠による出血です。子宮外妊娠は放置しておくと卵管破裂などの重大な症状に繋がることがあり、出血は見逃してはいけない体のサインです。
子宮外妊娠の出血は、卵管などで成長した胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が正常な器官を圧迫して破損させた場合に起こったり、流産が進行している場合に起こります。どちらのケースでも治療が必要になるのですぐに病院に行くべきなのですが、特に胎囊が卵管を圧迫した結果、卵管の壁が破れて起こる「卵管破裂」の場合には、お腹の中で急激に多量の出血が起こるので、緊急の対応が必要となります。
卵管破裂と言っても、小さく割れてしまっただけであったり、お腹の中の出血も軽度で済んでしまい、子宮から腟外にでる出血も少ないものである場合があります。このような場合でも、当然痛みも伴うのですが、普段の生理との違いがわからなかったり、「着床出血だ」と判断して放置してしまうことがあるので危険です。強い腹痛が続きますが、何日間も放置すると危険です。出血が止まっても腹痛が続くようであれば子宮外妊娠の可能性もあるので、産婦人科の受診を検討するのがよいでしょう。
出血量に違いがある?
「生理」「着床出血」「子宮外妊娠による出血」の3つの出血は、ある程度個人差があるので、性器出血の傾向だけで判断するのは難しいですが、ある程度の見分けるポイントはあります。生理の出血との違いを比較してみましょう。
まず、着床出血のタイミングは生理予定日かそれよりも少し早い程度なので、「ちょっと早い生理が来た」と思うでしょう。しかし、通常の生理より短く、出血量が少ないという特徴があります。
一方、子宮外妊娠の場合には、出血のタイミングが、生理が少し遅れたころに出血するということが多いです。生理が遅れていて妊娠の検査薬を行ったところ陽性反応が出たので産婦人科を受診したが、子宮内に赤ちゃんの部屋が見えないことがあります。その後、お腹の痛みと少量の出血が起こったので、再び受診するとお腹の中で出血していて、子宮外妊娠と診断がついたということは珍しくありません。
妊娠検査薬は、どのように反応するか
着床出血や子宮外妊娠では正常の妊娠と同じように「HCG」というホルモンが分泌されるので、妊娠検査薬が反応します。一方、生理は妊娠しなかった場合に起こるので、当然妊娠検査薬は反応しません。
また、着床出血で強い腹痛が続くことは無いので、妊娠検査薬が陽性で、かつ腹痛が続いた場合は子宮外妊娠の可能性が高まります。なお、子宮外妊娠でも、卵管破裂や卵管流産の状態になっていなければ痛みがないというケースがあります。妊娠検査薬が陽性で、出血している場合には、一度病院で診てもらうのが良いといえます。
子宮外妊娠について、生理との違いなどをご紹介しました。性器からの出血に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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