子宮外妊娠の症状 痛みや出血は必ずある?破裂とは?

  • 作成:2016/04/01

子宮外妊娠では、「痛み」や「不正出血」が特徴とされます。ただ、子宮外妊娠は、着床する場所によって、症状が違うのが実情です。どのような症状がありえるのかを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は3分です

子宮外妊娠の症状とは?

子宮外妊娠は「着床の場所が違う」こと

子宮外妊娠というのは、受精卵が子宮以外の部分に着床して成長してしまうものです。本来、受精卵は卵管表面の線毛と呼ばれる部分によって、少しずつ子宮まで動かされて子宮に着床します。しかし、この線毛の機能が弱っていたり、クラミジアや淋病によって卵管に炎症が起きていたりするとスムーズに受精卵が移動できず、卵管内で着床してしまいます。受精卵がうまく卵管内に吸い込まれなかったために、腹膜や腸管等での妊娠につながってしまうケースもあります。

また、体外受精した受精卵を子宮に着床させる際に子宮内部からずれてしまったり、以前の手術で、臓器と臓器が癒着していた、つまりくっついてしまった部分に受精卵が引っかかってしまったりすることもあります。

自覚症状は「痛み」が多い

子宮外妊娠の場所にもよりますが、自覚症状、兆候として最も多いのが「痛み」です。卵管に着床する「卵管妊娠」のように、狭い場所で受精卵が成長していくと、卵管などの器官が圧迫され、下腹部などに痛みを感じます。発見が遅れると、卵管破裂等が起こり、腹部の中で出血が始まるため、それによる強い腹痛がおこります。

出血なしでも、激しい痛みがある場合も

ただ、出血量と下腹部の痛みには関係性がありません。ただし、出血がないからと放置していると、しだいに下腹部の痛みが激しくなり、やがて、自分で立ったり歩いたりできず意識がもうろうとするほどの激しい痛みとなります。吐き気などの症状が起きることもあります。

子宮外妊娠、破裂すると大量出血のリスク

子宮外妊娠では、着床しても不安定で胎盤が大きくなれないことが多く、流産して体内に吸収されるものもあります。卵管妊娠では、受精卵が発育不可能となり「卵管流産」といった状態になったり、受精卵がどんどん成長し、卵管がその大きさに耐えられなくなると卵管破裂が起こったりします。

卵管が破裂するまでに至ると、少量の出血が長時間続く事によって、大量の出血となり、2リットルから3リットルに達することもあります。その結果、激しい腹痛、心拍数の増大、顔面蒼白、血圧低下などのショック状態を起こし、緊急の手術や輸血が必要になります。また、子宮の外の腹腔内妊娠の場合は急激な大量出血が起こることもあります。子宮外妊娠は、胎児が成長できないだけでなく、妊婦の生命にも危険を及ぼすことがあるのです。

痛みや出血以外の症状は?

子宮外妊娠の場合、腟からの出血、下腹部の痛み、急な腹部のけいれん性の激しい痛み以外には、以下のような症状が出ることがあります。

・片半身の痛み
・目まい
・倦怠感
・肩や首あるいや腸の痛み
・痛みを伴う吐き気や嘔吐

このように、子宮外妊娠は、命の危険にさらされることもあります。生理が遅れている、妊娠反応が出た、あるいは腟の出血や下腹部の痛みがあったら、早期に検査を受けることで、正常な妊娠なのかどうかを確認し、もし子宮外妊娠であれば早期に治療することが大切です。

子宮外妊娠の症状についてご紹介しました。妊娠の状態に不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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