子宮外妊娠になる確率と兆候の症状 その後の妊娠に影響?
- 作成:2015/11/12
子宮外妊娠は、全妊娠の1%から2%程度といわれていますが、診断が難しい面があります。破裂を起こさなようにするため、卵管を摘出するケースがありますが、後で妊娠できるようにする処置もあります。子宮外妊娠が起きる確率と兆候について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
子宮外妊娠は1%から2%の確率
妊娠の際に受精卵が着床する正しい位置は、子宮の体部の内膜です。それ以外の場所に着床するものを、正式には「異所性妊娠」と呼ばれ、一般的には「子宮外妊娠」という言葉で認識されています。着床する部位によって大きく分けて、以下のような種類があります。
・卵管妊娠
・卵巣妊娠
・頸管(けいかん)妊娠
・腹腔妊娠
子宮外妊娠のうち、98%は卵管妊娠です。妊娠検査薬で陽性でも着床部位がはっきりしない場合や、子宮内外で同時に妊娠が起こるもあります。なお、異所性妊娠が起こる確率は、全ての妊娠のうち1%から2%とされています。
生理の遅れなどが兆候?
子宮外妊娠の典型的な症状は、「生理が遅れていて下腹部痛と不正性器出血」があるというものですが、流産でも同じような症状を示すことがありますので、両者を判断することは簡単ではないこともしばしばあります。ただ、最近では経腟超音波診断装置の性能が上がっていますので、無症状の子宮外妊娠であっても比較的早い段階で診断できることもあります。
子宮の外に赤ちゃんを包む「胎囊」があり、中に胎児の心拍が確認できた場合には、子宮外妊娠の診断が確定します。しかし、こうしたケースはまれで、多くは妊娠反応が陽性であるのに、超音波で子宮内に胎囊が見えないということで子宮外妊娠が疑われることがほとんどです。このような場合には、正常妊娠の早期であったり、流産や子宮外妊娠のいずれかの可能性があり、日にちをあけて再度超音波検査を行います。
正常妊娠の早期で胎囊が見えない場合には、後に見えるようになってきます。流産と異所性妊娠の判断が付きにくい場合には、子宮内の膜をお試験的にかき出して、組織検査を行うことがあります。子宮内に人体組織の形跡を認めれば、子宮内妊娠の初期流産ということになります。超音波検査でお腹の中で出血していると考えられる場合には、子宮に針をさす検査を行うことがあります。着床部位がはっきりしない場合には、腹腔鏡で確認することもあります。
卵管妊娠は保存治療もできる
子宮外妊娠と診断された場合には、基本的には手術による治療を行います。卵管妊娠の流産では少しずつお腹の中で出血が起こりますが、卵管の狭い部分である卵管間質部妊娠などでは卵管破裂が起こりやすく、卵管が腫れると急速に出血するためにショック状態となることがあり、その場合には緊急手術が必要になります。
手術は、卵管切除か卵管切開になります。手術は、開腹で行われることもありますが、腹腔鏡で行われることも多くなってきています。なお、未破裂の卵管妊娠であれば、手術を行わずに細胞増殖を抑える薬で体の組織を発達させない保存的治療ができることがあります。頸管妊娠の場合には、大量に出血することが多く、止血の目的で子宮の全摘出が必要となることがあります。
クラジミア対策が予防の1つ
子宮外妊娠は、クラミジア感染症や子宮内膜症によって卵管の受精卵を輸送する機能に障害が起きた場合に起こりやすくなります。したがって、クラミジア感染を予防すること、クラミジア感染や子宮内膜症と診断されたらそれに対して治療を行うことが予防につながります。また、一度子宮外妊娠となりますと、10~15%の方でその後も子宮外妊娠となることが知られています。また、自然の状態で子宮内外同時妊娠が起こることはきわめてまれなのですが、最近は生殖補助医療が行われることも多くなり、複数個の胚移植を行った場合には子宮内外同時妊娠が起こる可能性があります。
子宮外妊娠の確率と兆候についてご紹介しました。もしかして子宮外妊娠かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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